第129話 悪者の勝者
こんにちわ!
先週は更新できなくてすみません!
昨日、大谷津学院は初の甲子園で強敵である京都の洛陽高校に勝利した。しかし、甲子園のアイドルであるエース三条から真樹がサヨナラホームランを打ったが故に、三条を応援しに来た女性ファン達が大激怒。グラウンドにいた真樹にくじ儀たない罵詈雑言と共に物を投げ込む等の暴動を起こし、甲子園初勝利とは違う意味で話題になってしまった。そして、この試合から一夜明けた翌日。この日は試合がなく、部員たちの休息日だったのだが、朝食を終えた真樹は同部屋の伸治と共にテレビで朝のスポーツニュースを見ていた。当然甲子園のことも取り上げているのだが、やはり昨日の事件が話題を先行していた。
『昨日行われた甲子園一回戦第3試合。京都の名門、洛陽高校と初出場、千葉県の大谷津学院高校の対戦では予想外尽くしでした。試合は序盤に洛陽が2点を先制し、エース三条も9回途中まで大谷津打線に得点を許さない好投。しかし、ツーアウト1,2塁で打席には7番、2年生の湯川。三条の懇親の速球を振り抜き、打球はバックスクリーンに一直線。劇的な逆転サヨナラホームランで大谷津学院に甲子園初勝利をもたらしました。』
ここまでは普通だった。しかし、その後にあの事を報じない訳がなかった。
『しかしその後、予想外の事件が起きます。三条選手を応援しに来ていたとみられる大勢の女性ファンが、この喧嘩に対して暴動を起こし、湯川選手に野次を飛ばしながら物を投げ込むという事態が発生しました。』
テレビ画面には悪口を言われながらゴミを投げつけられる真樹の姿が映し出されている。
『この事案に関して、京都市内に住む20代の女性を含む10名が逮捕されました。大会運営本部は、「神聖な大会では決してあってはならない愚かな行為であり、是非ともやめてほしい。」と述べており、球場内の見回りを強化するなど注意喚起をする模様です。』
「ま、当然だよな。」
テレビを見た伸治がベッドから立ち上がって言った。
「大体意味分かんねえよ。洛陽は去年準優勝でその時は負けても野次なんか起こんなかったじゃねぇか。」
「簡単だよそんなの。うちが初出場の無名校だからだよ。」
伸治に対し、真樹は無表情のままそう言った。真樹は更に溜息交じりで続ける。
「それに、ここは関西で俺らは関東の地方都市。俺達は完全なアウェーだ。あの女どもは自分が惚れていた相手が、そんなアウェーでbどこの馬の骨か分からない奴に負けるのが腹立たしかったんだろう。名門校相手に負けたんなら「まぁ、仕方ない」で済ませられるからな。」
「で、でもよ。だからって野次りながら物ぶつけていい理由にはならないだろ。マナー悪過ぎだぜ。全く。」
伸治はまだ不満げだった。一方の真樹は何かを悟ったような表情で言った。
「多分、相手が俺だからかもしれないな。俺は今まで、数多くの女性に嫌われてきた。大半が初対面でな。自分でもうまく説明できないけど、女性から嫌われるオーラが全身から出てるんだと思う。だから何をやっても煙たがられるんだろうな。」
「…。なんか、お前を見ていてますます悲しくなってきたよ。」
伸治がそう言った所でドアがノックされた。
「真樹ー、伸治-!俺だー!」
外からは別の部屋に宿泊している武司の声がした。真樹はドアを開けて武司を中に入れる。
「どうしたんだ、武司?」
「そりゃぁ、お前のことが心配だからだよ。様子見ん来たんだ!」
「大丈夫だよ。あんなの気にするだけ時間の無駄だ。」
真樹は武司にそう答えた。そして、武司は少し安心した様子で続けた。
「それならよかった。あと、昨日深夜のスポーツニュース見てたけど、お前への野次や物の投げつけに関してコメンテーターが怒ってたぞ。『真剣に試合している大谷津学院に対して失礼極まりない行為』だって。だから気にすんな。全部野次った客どもが悪いんだから。」
「わ、分かったよ。わざわざ励ましてくれてありがとうな。」
真樹は武司に微笑みながらそう言った。そんな時、真樹の携帯にメッセージの通知が来た。
「ん、何だ?相手は、オニィか。」
慶からのメッセージを開く真樹。そこには『ロビーにいるよー!』というメッセージと共に美緒とのツーショット写真が添付されていた。場所は本当に真樹が宿泊しているホテルのロビーの様だ。
「オニィと菅野が来ている。一緒に行こう。」
「おう!」
「分かった。」
真樹は伸治と武司と共に部屋を出てロビーに降りて行った。
「あ、来た来た!おーい、ここここ!」
1階に降りると慶が手を振りながらそう言っていた。隣には美緒もいる。
「おお、オニィに菅野。わざわざ来てくれたのか。」
「うん。僕も、真樹が心配になってね。」
「私もよ。あんなことがあったんですもの。中山君に前原君もお疲れ様。」
「いえいえ。」
「俺達はそんなに…。」
真樹はあたりを見回し、気になっていたことを慶に聞いた。
「そう言えば、杜夫はどうした?一緒じゃないのか?」
すると、慶と美緒が困った表情で言った。
「メッセージ送ったけど既読つかないんだ。多分今頃寝ているのかもね。」
「まぁ、無理もないわね。炎天下の中、一番はしゃいでいたし、あんな事件に巻き込まれたんですもの。ゆっくり休ませてあげましょう。」
二人がそう言った後、まs機は一番気になった事を聞く。
「そう言えば、今日は試合ないけどどうしたんだ?来てくれて嬉しいが。」
真樹の言葉に慶と美緒は今度は申し訳なさそうに言った。
「実は、僕達自分の部活の合宿があって、今日にはもう千葉に戻らなきゃいけないんだ。ホントは2回戦以降も見に行きたかったんだけど、ごめん。」
「私も。本音を言えば最後まで見届けたかったけど、バレー部も今年こそ大会で優勝を狙ってるの。1日だけしかいられなかったけど、帰っても陰ながら応援させてもらうわ。」
確かに、慶と美緒はスーツケースを持っていて、明らかにおかえりモードの様子だった。そんな二人に真樹だけでなく武司や伸治も例を言った。
「大丈夫。応援感謝する。お前らも部活頑張れよ。」
「わざわざありがとうな!絶対次も勝つ!」
「また真樹に酷いことする奴が現れたら、今度はゆるさねぇ!3回戦進出、期待してくれ!」
3人はそう言って慶と美緒を見送り、彼女達はスーツケースを転がしながら新大阪駅へ向かって東京行きののぞみに乗って帰って言ったのだった。そして、大谷津学院の2回戦も着々と迫っていたのだった。
こんにちわ!
今回は少し短めでした。
次回はたっぷり書きたいと思ってます。
お楽しみに!




