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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode8 大波乱の甲子園
128/327

第126話 真樹達の初陣

こんにちわ!

二日連続投稿です!

 夏の甲子園、全国高校野球選手権が開幕した。第一、第二試合が終了し、第三試合目の真樹達大谷津学院の出番がやってきたのだった。そして、その相手は昨年度準優勝校で春にも選抜でベスト4になった優勝候補の洛陽高校。正直実力や経験値の差は目に見えていたが、そんな強敵に真樹達は挑もうとしていた。


『夏の甲子園初日、本日の第三試合です。二年連続出場の名門、京都府代表洛陽高校。そして、対するは春夏通じて初出場、千葉県代表の大谷津学院高校。今年4年ぶりの優勝を目指す洛陽、甲子園初勝利を手にし、学校の歴史に名を残したい大谷津。注目の一戦です。』

 実況のアナウンサーはそう伝えた。一方、3塁側アルプススタンドでは杜夫と慶が大はしゃぎしている。

「きたきたきた!遂に真樹達を甲子園で見る日が来たぞ!よーし、シャッターチャンスだ!」

「うん、僕も今最高に嬉しいよ!真樹ー!ガンバレー!」

 一方の美緒と立石はいたって冷静だった。

「もう、二人とも。少しは落ち着きなよ。試合はこれからなんだから!」

「そうよ。その喜びは、うちが勝ってからにしなさい。」

 そう言われた二人は大人しく座った。すると、慶の隣にある人物が座った。

「やあ、みんな来てたんだね。」

「あ、飯田さん!」

 杜夫が笑顔で挨拶する。そして、慶も飯田に微笑みながら話しかけた。

「来てくれたんですね!」

「うん。僕も陳さんの事が気になってたし、会社からも取材して来いっていわえたからね。喜んで観戦させてもらうよ。」

 飯田はそう言うと、椅子に座ってカメラを取り出した。一方、吹奏楽部とチア部も気合を入れており、大神と宮下も張り切っている。

「みんな、全力で演奏するわよ!」

「野球部の皆が頑張るんだから、私達も全力で応援するわよ!」

 そして、遂に戦いの幕が切って落とされようとしていた。


「両校整列!」

 試合前練習を終え、洛陽とお谷津学院の部員が整列した。そして、挨拶をする。

「礼!」

「「「「宜しくお願いします!」」」」

 試合開始だ。先攻は洛陽で高校が大谷津学院である。なので、初回のマウンドには大橋が登った。

『まずは先攻、洛陽の攻撃。大谷津学院のマウンドには3年のエース、大橋が上がります。県大会では全試合に登板し、防御率も3点台。洛陽打線相手にどのような投球をするのでしょうか?』

 アナウンサーが大橋の事を伝える。そして、真樹も7番ファーストでスタメンに名を連ねた。

「プレイボール!」

 審判が大声で試合開始を告げた。大橋も全力で所空を投げ込んだがボール球になる。その後、フォアボールでランナーを出した大橋は過ぎの打者に送りバントを決められ、3番打者に先制のツーベース、4番にもタイムリーを浴び、あっという間に2点を失った。

『洛陽打線、初回から繋がります!大橋は苦しい立ち上がりとなりました。』

 アナウンサーがそう告げた所で、堀切がタイムを掛け、内野陣がマウンドに向かった。

「す、すまん。フォアボール恐れて簡単にストライク取りに行っちまった。」

 申し訳なさそうに大橋は言った。それを堀切が宥める。

「気にすんな。相手は洛陽なんだ。次の打者集中しよう!」

 真樹の方も微笑みながら言った。

「そうですよ先輩!次俺の所に打球飛んだら、身体張ってでも止めて見せます!一緒に頑張りましょう!」

 真樹がそう言った所でタイムは終了し、全員が守備位置に就く。その後、大橋は次のバッターをキャッチャーフライに打ち取り、その次にバッターは三振、更に…。

「あっ!」

『おっと、いい当たりだ!』

 大橋はストレートをジャストミートされて焦った。それでも、真樹は諦めていなかった。

「おらぁぁぁぁ!」

 真樹は叫びながらジャンプして打球に飛びつく。打球は見事真樹のミットに収まり、ファーストライナーでチェンジになった。

『撮りました!2年生の湯川、ナイスプレーです!』

 アナウンサーも真樹のプレーを褒める。大橋はそんな真樹に感謝を述べた。

「サンキュー、真樹。助かった!」

「いえいえ、そんな。俺も勝ちたいですから!」

 そう言いながらベンチの戻ってくるお箸と真樹。次は大谷津学院の攻撃だ。そして、洛陽のマウンドには予想通り、2年生エースの三条友明が上がる。

『さあ、洛陽のマウンドは今大会屈指の右腕、三条が上がります!最速156km/hのストレートにカーブやシュート、高速フォークが武器。更に成長した所を見せつけられるか?!』

 三条はマウンドで投球練習を始める。すると、スタンドから大勢の女性の黄色い歓声が上がり始めた。

「キャー!」

「三条君カッコいい―!」

「今年は優勝して―!」

「応援してるわー!」

「頑張って―!」

 三条は選手としての実力が超高校級というだけでなく、190cmの長身と俳優やモデルも青ざめる位のイケメンだった。そんなこともあって昨年の大会から若い女性を中心に大人気となり、試合だけでなく練習までも一目見ようと多くの女性が学校に押し寄せる事態が発生したのだった。因みに、洛陽高校も共学なので、学校の女子生徒からも大人気なのは言うまでもない。現に、洛陽側のスタンドでは学校関係者だけでなく、三条を一目見ようと多くの女性がスタンドを埋め尽くしている。一方、彼の投球を見た丈と登戸は青ざめている。

「は、速い…。」

「厳しいわ、あれ。」

 だが、落ち込んでいる暇などなかった。いよいよい大谷津学院の攻撃開始だ。

『1回裏、大谷津学院の攻撃は…1番レフト、前原君。』

 この試合、武司もスタメンに抜擢され、早速先頭バッターとして打席に入る。そして、初球…。

「ストライク!」

 153km/hの直球が内角いっぱいに入る。武司は打席で顔を真っ青にした。

「ええ…マジかよ。エグいわ…。」

 そんな武司に三条は容赦なく投げ込み、武司は空振り三振に打ち取られた。

「無理無理無理!あんなの打てる訳ない!」

「おい、まだ1打席目だぞ。諦めんな!」

 愚痴りながらベンチに戻ってきた武司に対し、真樹は発破をかけた。しかし、次の打者も三振し、3番打者でキャプテンの堀切もサードフライに打ち取られて、あっという間に大谷津学院の攻撃が終了した。

「くそぉ、良い球だったけどな。でも、俺は諦めないぞ!みんなもガンバろ!」

 堀切は皆にそう言い、ポジションに就く。2回は大橋がランナーを溜めながらもなんとかゲッツーとファーストフライで無失点で切り抜けたが、三条はまたも大谷津打線を3人で打ち取った。3回は大橋が少し立ち直ってようやく3人で洛陽を打ちとり、遂に真樹の打順が来た。

『3回裏、大谷津学院の攻撃は…7番ファースト、湯川君。』

 そのコールを聞いた杜夫と慶は、更にテンションが上がっている。

「真樹の打順きたぁぁぁ!これは世紀の瞬間、シャッターチャンスだ!」

「真樹ー!ホームラン打っちゃえー!フルスイング、フルスイング!」

 そして、美緒と立石も元気よく声援を送る。

「湯川くーん!頑張んなさーい!」

「先生は湯川君のこと信じてるわよー!」

 そして、吹奏楽部とチア部1年生達も引き続き演奏と応援に力を入れている。

「疲れる。でも、ここで演奏できるなんて楽しい!」

「うん。もっとパフォーマンスしたいから、勝ってほしいな!」

 そんな友人たちの期待を胸に、真樹はゆっくりと打席に入り、その初球…。

『おっと、良い当たりだ!打球は…ファールです。2年生の湯川、三条の球に食らいついていきました!』

 アナウンサーが声を張り上げながら言った。真樹は内角低めの球を引っ張って著―だコースに当たりを見せたものの、惜しくもラインの外側に切れたのだった。それを見た三条が微笑みながら真樹に言う。

「ほう、ようやく手ごたえのあるのが来たやないか。」

「そいつはどーも。」

「だが、負けへんで!俺は優勝したいんや!」

「その言葉、そっくりそのまま返すよ!」

 冷静にそう言った真樹。その後、ファールなどで粘り、カウント2-2からの7球目…。

「これでどうや!」

「ストレート…しまった!フォークだった!」

 真樹は低めの球に手を出してしまい、結果セカンドゴロで打ち取られてしまった。悔しそうにベンチに戻ってきた真樹は少し落ち込んでいる。

「くそぉ、やられた!悔しいなぁ。」

「ドンマイ。三条から粘っただけでも儲けもんだぜ!」

 武司がやさしく慰める。だが、後続のバッターが連続で打ち取られ、結局一人のランナーも出せないまま3回が終わった。そして、その後は大接戦となった。大橋は徐々に安定感を取り戻して無失点を続けており、大谷津打線もようやく三条からヒットが打てたものの、後が続かず無得点のままだった。そして、大谷津学院は2-0でリードを許したまま9回まで来てしまった。

『洛陽のエース三条、本日は絶好調です。ここまでわずか3安打、13奪三振。完封まであと3人です。』

「三条くーん!」

「やっぱりカッコいい!」

「このまま抑えちゃって!」

「ファイト、ファイト!」

 今日の三条のピッチングを見て、スタンドの女性ファンは大盛り上がりだった。一方、3塁側大谷津学院の応援スタンドはお通夜モードのなりかけていた。

「ああ…ヤバい。真樹達が負けちまうよ。」

「うう~…僕、胃が痛くなってきた。とにかく頑張れー、大谷津学院!」

 杜夫と慶の表情からすっかり元気が無くなっている。美緒と立石も深刻な表情で言った。

「悔しいけど、洛陽が強かったわ。2点に抑えただけでも大したもんよ。」

「そうだけど、でもみんなに諦めて欲しくないわ。」

 その後ろで、吹奏楽部の大神とチア部の宮下は大声で全員に言った。

「みんな!これが最後になるかもしれない!でも、悔い無く全力で演奏しよう!」

「そうよ!チア部の応援も、野球部の皆に届けようよ!」

 1年生達はやる気満々だった。そして、ベンチでは関屋が部員を集めて円陣を組んだ。

「みんな、正直厳しい展開になったがまだ諦めないでほしい!これが例え、悲しい結末になったとしても俺は文句は言わない!力の限りを出し尽くしてくれ!」

「「「「はい!」」」」

 部員達も関屋の言葉に何かを感じたのか、目に光が戻っていた。

『9回裏、大谷津学院の攻撃は、3番ショート、堀切君。』

「行ってきます!」

 堀切は気合いっぱいで打席に入る。そして、5球粘った後…カキーン!

「あっ!」

「よっしゃー!」

 打球は三遊間を破った。

「打った、レフト前ヒット!キャプテン堀切、意地を見せます!」

 1塁でガッツポーズをする堀切。その後、次のバッターがフォアボールで出塁してノーアウト1,2塁になったものの、その次から2者連続三振であっけなくツーアウトに。最後の打者になりそうな真樹に打順が回ってきた。そんな真樹に声をかけたのは沙崙だった。

「真樹!」

「ん、どうした。」

「私、みんなで甲子園行けて嬉しかった。ありがとう。でも、全力でバット振ってきて!真樹に後悔が残らないように!」

「おいおい、半分諦めモードじゃないか。安心しろ、俺はまだ希望を捨ててない!」

「えっ?」

「じゃあ、行ってくる!」

 真樹はそう言って打席に入る。そして、三条が真樹に声をかけた。

「いやぁ、大谷津学院強かったで。だが、遠慮はせん。次に行かせてもらうで!」

「俺は諦めないさ。来い、勝負だ!」

 二人は真剣な表情で向き合っている。一方、スタンドの三条目当ての女性ファンのボルテージは最高潮になっていた。

「あと一人よー、三条君!」

「このまま決めちゃえ!」

「いけぇー!」

 異常なまでの盛り上がりを見せる1塁側スタンド。アナウンサーも緊張を交えながら実況する。

『さあ、ツーアウト1,2塁。完封まであと一人のマウンド上、洛陽のエース三条。一方、バッターボックスの湯川は今日はまだノーヒットですが、最後に意地を見せられるのか?!』

 緊迫した状況の甲子園球場。三条はセットポジションから思い切り腕を振り上げ、外郭いっぱいに豪速球を投げ込む。そして、真樹はまるで食らいつくように三条の所空ストレートを振り抜き…。

「おらぁぁぁ!」

「なっ!?」

 バットに当たっただ打球はセンターへ向かっている。

『打った、いい当たりだ!打球はセンターへ!どうだ?!』

 真樹は打球を見つめながら一塁へ向かって走って行ったのだった。

こんにちわ!

ようやく試合を書くことができました。

長くなってごめんなさい。

次回もお楽しみに!

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