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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode1 女嫌い現る
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第11話 モンペが来た!

おはようございます!

今回の件もいよいよ最終決戦です!

 週が開けた月曜日。真樹はいつも通り家を出て、電車に乗り学校の最寄り駅である成田駅に到着。改札を出た所で、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「おーい、真樹!」

 声の主は慶だった。女嫌いで学校の女子と敵対している真樹の唯一の女性の友人である。慶は真樹と合流すると、心配そうに話し始めた。

「真樹、大丈夫?野球部はいつも通り練習したって聞いたけど。」

「ああ、大丈夫だ。だってホントにやってないからな。」

「そうか。よかった。」

「そう言うオニィはどうだったんだよ?何かいい情報は得られたのか?」

 先日、真樹は慶に対してある頼みごとをしていた。現在のところ、ユカリの方が支持されている人が多い事もあって自分自身の立場が圧倒的に不利であること自体真樹は分かっていた。だが、真樹自身が下手に動くと余計立場が不利になってしまうので、慶に無実の証拠を探す手伝いをしてもらったのだ。真樹がその質問をすると、慶は深刻な面持ちで答えた。

「…。得られたよ。だけど、正直僕としては笑えるものじゃ無かったよ。どうしてこんな…。」

「そうか。今は言わなくていい。どうせ今日もまた呼び出されるだろうから、機会を見て説明してもらえればな。」

 真樹は慶の反応が想定内だったのか、思いのほか冷静にそう答えた。そして、いつもより暗い雰囲気に包まれながら、二人は学校に到着したのだ。


 午前中の授業が特に何の問題も無く終了した。しかし、相変わらず真樹へ向けられる視線は厳しいものだった。朝真樹が登校すればクラスの女子全員(ユカリも含む)から一斉に暴言を吐かれ、机には「野蛮人」「学校くんな」「女の敵」などの悪口が書かれた紙が置かれたりしていた。真樹は当然の如くそれを無視し、慶の方もやり過ぎだと他の女性陣をなだめたのだが誰も聞く耳を持ってはくれなかった。そんな険悪な雰囲気が続いたまま昼休みを迎えた時に事件は起こった。

「1-Aの丘ユカリさん、湯川真樹君。至急職員室に来てください!」

 担任の立石の校内放送によって、ユカリと真樹は呼び出された。真樹はやっと来たかとでも言わんばかりにゆっくりと立ち上がって職員室に向かう。一方のユカリは何故か自信満々で上機嫌な様子だった。真樹もどうした事かと首をかしげていたが、その答えは職員室に入った後に分かった。二人が中に入ると、立石と関谷の他に見知らぬ女性が一人立っていた。

(誰だ…この人?)

 真樹がそう思ったのは言うまでも無い。そして、立石と関谷は深刻な顔をしていたが…。

「ママ!」

「ユカリ!」

 女性を見た瞬間、ユカリは笑顔になった。言葉通り、この女性は丘ユカリの母親だったようだ。何でいるのかは、真樹にも大体想像がついていた。

「では改めまして、私は丘ユカリの母、丘サユリです。いつも娘がお世話になっております。」

 ユカリの母、サユリは丁寧だが少しとげのある口調で自己紹介をした。そして、ユカリの方を向いて尋ねた。

「ユカリ、その子があんたに怪我させたって子?」

「そうよ。」

 ユカリは真樹の方を向いてそう答えると、サユリハ真樹の前に立って訪ねた。

「あなた、名前は?」

「湯川真樹です。」

 真樹は無機質な感じで名前を言う。その瞬間、サユリは血相を変えて真樹の胸倉を掴んで詰め寄った。

「よくも、よくもうちの大事な娘に大けがさせてくれたわね!傷でも残ってこの子が一生悲しい思いでもしたら、あなたどうやって責任とってくれるのよ?!」

「お、お母さん落ち着いて下さい!まだ湯川君がやったって証拠も無いんですから!」

 その様子に驚いた立石は慌てて仲裁に入る。だが、怒り狂ったサユリの耳には届かない。

「何よ、証拠ならあるじゃない!この子の頭の傷と、そして娘自身がこの生徒にやられたって言ってるんです!あなたは担任教師のくせに、自分の生徒の事まで疑うんですか?!」

「そう言う訳はないんですが…。他にもいろいろ事情聴取をした結果、娘さんとの証言との食い違いが起きていまして。」

 立石も必死で弁明する。無論立石自身は真樹もユカリも心の底から信じていない訳ではない。しかし、いろいろ事情聴取をして不自然な食い違いが起きていることに関しては疑問を抱いていた。一方のサユリは怒りが収まるどころか、今度は野球部顧問の関谷に牙をむく。

「あなたが野球部顧問ね。」

「はい。関谷賢一と申します。」

「どういう練習をさせているんですか?野球ボールって硬いですよね?頭に当たったらどれだけ危険か分かりますよね?それなのに碌に安全管理も出来ないなんて、顧問どころか教師失格だと思います。」

「お騒がせしたことは申し訳ありません。しかし、安全管理はおごそかにしていませんし、私も見ていましたが湯川君の打球が誰かの頭に当たった所は確認できておりませんのでそう一方的に決めつけるのはどうかと…。」

「目の前で被害を受けた娘がいるって言うのに信じられないんですか?はぁ、もう話になりません!」

 サユリの怒りは収まらない。一方のユカリは真樹に対して「ざまぁみろ」とでも言いたげに薄笑いを浮かべている。勿論真樹は気にも留めてはいないが。怒りが頂点に達したサユリは立石に対して更なる無茶を突き付けてくる。

「先生。私はこんな危険な状況で娘を安心して通わせられません。ですので、この湯川君の退学と、野球部の廃部を要求します!娘には楽しい高校生活を送ってもらいたいので!」

「そ、そんな。」

「無茶苦茶だ。」

 あまりにも現実離れした要求に立石と関谷は唖然としている。立石は慌ててサユリを宥めようとするが…。

「待って下さい、お母さん。まだ証拠不十分ですのでそんな一方的に決めつけるのはできません。ましてや湯川君の退学と野球部の廃部に関しては度が過ぎてます!」

「娘は野球部と、そこに所属している湯川君のせいで大怪我したんです!それなりの処分をするのは当然だと思いますがね。もし要求が飲めないのであれば、私は裁判を起こす準備はできていますので。覚悟して下さい。」

 サユリのあまりの剣幕に、立石も関谷もすっかり押し黙ってしまった。ユカリは真樹の方を向きながら心の中で呟く。

(あんたも終わりよ、湯川君。)

 勝ちを確信したユカリだが、真樹はいたって冷静だ。真樹の方も思う事があるのか、心の中でこう呟く。

(随分と大騒ぎになっちゃったな。まあいい、もう少し暴れさせよう。切り札は最後に出すもんだ。)

 様々な思いが交錯する中、昼の職員室の騒ぎは収まる気配が無かった。

こんにちわ。

先週は更新しなくてごめんなさい。

追い詰められる真樹、彼はこのまま退学になってしまうのか?

次回をお楽しみに!

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