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第1章

第1章 Beginning


____「ピピッピピッ」____

 iPhone XXIに設定したアラームで目を覚ました俺は、

まだ眠く強引に閉じようとする瞼を落ち着かせてあることを確認した。

それは『権限世界順位』。

 2518年現在、法律によって生まれた時に網膜にあるシステム基板を

埋め込まれるようになっている。

それによって、人々は世界規模で脳の性能、つまり頭の良さで

順位付けされる。

順位に応じて、世界に存在する物質を自在に操る『権限』が上がって行く。

順位が584739826などのように低ければ低いほど、権限が低く

物質操作も制限される。

最下位である、4713243546位の人は実質ただの人となり、なんの操作も

できない。

反対に最上位である、1位の人は世界に存在する全ての物質を

操作できるようになり、つまり自分の体細胞も操作でき、必然的に不死となる。

ちなみにその権限を悪用した場合、『権罪者』となり刑務所で一生を

過ごすことになる。

 そして俺、櫻井さくらい 縢兜かなとは全世界順位42位という

とんでもなく頭がいい、俗に言う天才なのだ。

 「あ、一つ上がってる。41位だ…」

「やっべ……! もうこんな時間…ッ!」

8時12分を指しているiPhoneをポケットに入れて、

食事もほどほどに家を出た。

少々遅刻し、先生に注意された俺はまず教室の隅っこにいる

岳田 賢太と依澄 沙良のところへ直行した。

 「ちょっとー! 何してたのよ!」

たった1時間程遅れただけで何言っているのかさっぱりだったが、

とぼけているともう一つの鋭い視線と痛い言葉が俺のメンタルに突き刺さった。

「みんなの大嫌いな1限目すっぽかすなんて度胸あるじゃねーか」

そう、今日の1限目は『順位確認』という授業だったのだ。

 さすがにサボるために遅れてきたわけではないのだが、

毎週月曜日は必ずこの授業が入ってきており、

先生に全世界順位を確認されるのだ。

仮に1234567位くらいだったら別にいいが、例えば

「なぁ、お前いい加減順位上がったよな」

俺が聞くと賢太は、

「えーっと、4713243546位」

「……」

そう、全世界最下位である賢太だと、先生は爆発する……ように怒る。

なぜそんなにアホな賢太がこの進学校に入れたのかは謎だ。

今日もクラス全員の前でこっぴどく怒られたらしい。情けない……。

ちなみに沙良の順位は、461838位でなかなか頭がいい。

逆に、俺のように順位がバカ高いと、先生ではなくクラスの人たちに

こいつ41位とかウゼェな調子乗ってんじゃねぇ的な目線をかけられるので

そういう意味ではこの授業はあまり好きにはなれない。

 「2限目国語だって!」

はぁ〜…

ということを同時に考えたらしい賢太はトイレに行って来ると言い、

輪から抜けた。

 「よーし、じゃあ始めるぞー」

国語の先生は、女性のくせに声と性格が男性という男勝りな人だ。

しかも、たいがい国語の授業は最初に確認テストがある。

「時間は10分、最後まで気を抜くなよ」

毎回同じことを言い、次は大音量で

「始め!!」

_____________________________________

この漢字の中で、部首が違うものを答えよ。


ア:篤 イ:筆 ウ:験


_____________________________________

10分後、無事終わったテストの採点が次の時間に渡される。

そして、前の授業でやったテストが帰ってくる。

「岳田ァァァーーーー!!」

そぉーらきた。

先生の怒号が賢太に降りかかってくる。

「いぃつもいつもなんでこんな点数なんだぁ!!」

先生の手の中でひらひらしている賢太のテストの点数は……

「今までのテスト全て0点をとってきたお前の頭はオートミールかぁ!!」

……0点だった。

「いやぁ、テストが俺を嫌って、いっつも答えを間違わせるんすよーははは」

こんな風に毎回授業は始まる。

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