隣の席は……
学校へ着くと、ちょうどチャイムが鳴って授業が終わったところだった。
ナイスタイミングだな。
俺はさりげなく教室に入って何事も無かったかのように席に座った。
「や〜、おはよう〜那月くん〜」
背後からダラァっとした声で話しかけられた。
こっちまでダラダラしたくなるが、それを抑えて挨拶する。
「ああ、おはよう。吉城はまた授業中寝てたのか?」
彼女の名前は吉城 佳香。
1年の頃から同じクラスで席も近かったため、仲が良くてよく話をする。
時々ではあるが一緒に昼メシも食べたりするくらいに仲が良い。
授業中に寝ることも多いのだが、先生達も諦めて注意しなくなった。
「今日はいつも以上に眠くてー。那月くんは〜、珍しく来るのが遅かったねぇ〜」
「寝坊だよ、寝坊。誰も起こしてくれなかったんだよ」
「ダメだよ〜、ちゃんと起きないと〜」
説得力が微塵もねぇ……
「お、おはよう……」
「え?」
隣の席からも声をかけられた。
とっさのこともあって驚いたが、それ以上に驚いたのは声をかけられることは無いと思っていたからだ。
「お、おはよう平泉さん……」
隣の席は昨日フラれた平泉さんだったから。