それってプロポー……
先生の家に着いたが、先生はまだ酔っているようで足元がおぼつかない。
先生の家はアパートやマンションの1部屋を借りている訳でもなく、意外なことに家を持っていた。
「ほら、先生。家に着きましたよ。1人で歩けますか?」
「私を舐めるな! これくらいなんてことはないぞぉ〜! っとと、この床動くぞ!?」
ゲームじゃあるまいし……そんなホイホイ床が動いてたまるか。
「床じゃなくて先生が動いてるんですよ……先生、家の鍵は?」
「ん〜、カバンの中に入ってる〜」
先生はそういうとカバンを差し出してきた。
いや、そんな簡単に渡していいの?
とりあえず鍵を探すべく、カバンの中を失礼して漁る。
すぐに見つかり、鍵を開けて扉を開けた。
「先生、開きましたよ。中に入って下さい」
「んー! 那月、おまえもこい!」
「え、えぇ……先生流石にそれはダメですよ。完全にアウトです、レッドカードですよ。ここからは1人で歩きましょうよ!」
「嫌だ! 私は那月と2人じゃなきゃダメなんだ!! これからの人生に那月は必要不可欠なんだ!!!」
先生、それじゃプロポーズだよ!?
俺はそういうのに耐性が無く、顔を赤くしながらあたふたしてしまう。
「せ、先生……気持ちはわかりましたけど、俺がしているのは人生の話ではなく、家に1人で入れるかという話です!! 頼みますから家に入ってください!」
「那月は私を捨てるのか!? そんな酷いやつだったなんて……う、うぅ……」
「わかりました!! だから泣かないでください!」
泣き出してしまった先生をなんとか家の中に運び、リビングのソファに寝かせた。
先生の家は綺麗に片付いており、物も必要最低限しか置いてなくてシンプルな部屋だった。
コップに水を入れ、先生に渡して水を飲ませた。
しばらく話に付き合ってあげ、酔いが抜けてきたところで帰ることにした。
だ、誰か! 先生が可哀想だからもらってあげてください!




