打ち上げ?
体育館の中が歓声で埋めつくされる。
それもその筈だ。誰もが勝負は決まったと思っていた試合が最後の最後で覆されたのだから。
応援に来ていたクラスメイトは大盛り上がり、チームメイトは抱き合って祝福している。
お、俺にそんな趣味はないからな? だ、抱き合わないぞ?
知り合い達はどうなっているのか、視線を移してみるとそれぞれいろんな反応をしていた。
平泉さんはものすごい勢いで拍手をしていた。
その隣にいる佳香は平泉さんに抱きついて喜んでいた。
抱きつくのは流行っているのだろうか?
凛はありえないと言わんばかりに目を大きく見開き、腰を抜かしていた。
水島さんは拍手をしながらそれを見て笑っていた。
桜羽さんは…あれ?いない……どこに行ったんだ…
うん? 遠くで一眼レフで写真を撮ってるのって、まさか桜羽さんじゃ…?
いつの間に用意したんだか……
試合も終わり、閉会式も手早く終わった。
競技順位ではバスケットボールが1位になったが、他は上位に入れなかったということで全体順位では下の方だった。
それでも、クラスメイトは打ち上げだと騒いでいた。
俺は打ち上げに誘われたが、大人数が苦手なので断った。
閉会式が終われば下校しても良いので、教室に鞄を取りに行く。
鞄を手に取り帰ろうとすると、平泉さんと佳香がやってきた。
「優勝おめでとう〜! と〜っても〜カッコ良かったよ〜!」
「ありがとう、2人ともお疲れ様」
「うん、お疲れ様! 凄い活躍だったね!」
2人とも最後の試合の余韻が残っているのか、変にテンションが高かった。
「涼くんは〜、打ち上げに行かないの〜?」
「うーん…行かないかな? あんまり大人数は好きじゃないし…」
「そうなの? 今日の主役が欠席なら、私達も欠席にしようかな……」
2人とも打ち上げに行かないつもりなのかな?
せっかくだし行ってきたらいいのに……
あ、俺も人のこと言えないな……
「じゃあ〜、私達で打ち上げしない〜?」
「俺達で?」
「たまには佳香もいいこと言うじゃない!」
「涼くんもそれならいいでしょ〜?」
「んー……まぁ、いいか!」
たまにはそういうのもいいかもしれないな。




