応援してもらえること
試合は前後半10分ずつで途中に2分休憩できる。
今は前半が終わり、休憩に入っているが……
正直、酷い試合だ。
チームメイトはみんな疲れでほとんど動けず、やられ放題だ。
点数は10対32で負けている。
10点も決められればいい方だろう。
相手はほとんど3人で試合をしているようなものだ。
後半があっても点差を埋められるとは思えない。
俺は頑張ると言った手前、全然頑張っていなかった。
あまりにもやりたい放題され、仲間たちも休みきれていない。
しかし、俺は動いていなかった。
動いていても何も変わらないと思っていたのだ。
そして、考えた。どう頑張るかではなく、どう勝つかを。
結論を出すことに、迷っている。
目立ってしまう上に、これからすることは面白いことでもない。
果たして、こんなことのためにしてもよいのだろうか……
辺りを見回すと、体育館の端っこの方で桜羽さんが座っているのを発見した。
目が合うと、頬を緩ませ、小さく手を振ってくれた。
軽く目礼だけ返しておく。
さらに見回すと、やはり端っこの方に水島さんと凛がいた。
仲のいい2人組を見ていると、あちらも気づいたようで凛が大きく手を振り、水島さんが軽く会釈をした。
思わず頬が緩んでしまった……
意外と応援されてるんだな〜。
ふと、視線を感じてキョロキョロ見渡す。
すると、佳香と平泉さんがいた。
佳香はニコリと笑い、平泉さんは手を振っていた。
……ちょっとばかり…いや、かなり嬉しいな。応援してもらえることは。
よし!
迷ってる場合じゃないな!
そろそろ頑張ってみましょうか!




