デート『勝負編』
上手く区切りが付けられなくて後編になりませんでした。
申し訳ございません。
「それで、なんで2人はこの公園に来たんだ?」
「もちろん運動するためっすよ! ここにはよく来ますし、常連客っすね」
「……私は…凛ちゃんの…付き添いで……来てます…」
「そうなのか。水島さんは運動しないの?」
「……私は…運動があまり得意ではないので……」
失礼かもしれないが、確かに得意そうではないな。
スポーツ少女というより文学少女っていうイメージの方が似合っていると思う。
そんな話をしているとベンチに座っていた吉城がやってきた。
「那月くん〜、お友達〜?」
「ああ、同じ学校の後輩だよ」
「はじめまして!1年の小早川 凛っす、よろしくお願いしまっす!」
「……1年の水島雲雀…です…よろしくお願いします……」
「はじめまして〜、那月くんと同じクラスの〜吉城 佳香だよ〜! こちらこそ〜よろしくね〜!」
自己紹介が済むと水島さんが何か言いたそうにしている。
もしかしてトイレかな?
いや、さすがにそれはデリカシーが無さすぎるな。
口に出したらさすがの水島さんも怒りそうだし……
どうしたものかと困っていると、凛が予想外のことを聞いてきた。
「涼さんと佳香さんって付き合ってるんですか?」
「へ?」
「え?」
「…! ……凛ちゃん!……」
俺と吉城は驚き、水島さんは焦ったように凛を咎める。
「いいじゃないっすか〜。それに、雲雀も気になってた様でしたし」
「…わ、私は別に……」
「実際、どうなんっすか涼さん?」
「お、俺たちは付き合ってないって! 同じクラスの友達だ!」
水島さんは安堵し、凛は意外そうに驚いた。
そして、なぜか吉城は不機嫌になっていた。
「どうした、吉城?」
「別に〜、どうもしないよ〜」
絶対なんかあったな……俺、なにかしたか?
「はぁ〜、まったく〜那月くんは〜……」
吉城はどこか諦めたようにため息をついた。
「そ、そうだ! 吉城、これからシュート練習するから手伝ってくれないか?」
「しょうがないな〜、まったく〜」
吉城は機嫌が戻ったわけではないが、少しだけ良くなったと思う。
シュート練習といっても、吉城からパスをもらってシュートするだけの単純な練習だ。
それにしても、ひっさしぶりだな〜この感覚。
好きではないのにハマってしまったあの頃の自分を思い出す。
日常生活の中に唐突にバスケットをしたくなる時もあった。
そうか、毎日練習していたから好きではなかったんだ。
疲れても次の日また練習をして、練習でつらい思いをしてもまた次の日に練習をして、それでも試合に負けた時悔しくてまた練習して。
今のように、休みの日をゆっくりと過ごすようなことが無かった。
休みがあっても次の日に練習があると考えるとリラックスなんてできなかった。
だから疲れきっていて、好きになれなかったのか。
でも、今は自由だ。
休みはあるし、やろうと思えばこうしてバスケットをすることもできる。
今ならバスケットを好きになれそうな気がする。
そんなことを考えながらシュートを放っていると、凛が提案をして来た。
「涼さん、勝負しないっすか?」
「勝負? シュートが何本入るかっていう勝負か?」
凛も反対側でシュートを打っていた。
水島さんはベンチに座っていたけれど……
時間を確認してみると意外にも30分程、シュートを打ち続けていた。
吉城をこれ以上練習に付き合わせるのは悪い気もするし、提案に乗るか。
「そうっす! 負けたらジュース奢ってくださいよ!」
「その言葉、そっくり返すよ!」
フリースローの場所でシュートを5本打ってより多く決めた方が勝ち。
先攻は俺だ。
まず1本目を打つ。
外れた。
「へいへーい! どうしたんっすかー!」
「うるせ、今に見てろ!」
続いて2本目、入る。
ドヤ顔をかましながら凛を見る。
凛は頬が引きつってた。
そして3本目も4本目も入り、5本目は外れた。
「さあさあ! 次は凛だぞ〜?」
「わ、わかってますよ!」
結果を言うなら、勝った。
最初の1本は決めたが、残りを全部外してしまった。
「俺の勝ちだな!」
「ちょ、ちょっと待ってほしいっす! しょ、勝負を申し込むっす!」
「受けて立とう。今度は5本決めるぞ」
「いえ、今度は1対1っす!」
「え? まぁ、いいけど……」
交互に攻守を交代して先に3本決めた方が勝ちというルールで始めたのだが……
接触をならべく避けているため、守りづらい。
しかし、凛はそんなことお構い無しに攻めたり守ったりするため、接触が多くて健全な男子からするとドキッとする。
おのれ、心理戦とは……
負けるわけにはいかないんだー!
まぁ、もちろんボロ負けしたんだけどね!
今日は後編も投稿する予定なのでお楽しみにお待ちください。




