弁当
だいぶ遅くなりました、すみません。
待ち合わせ場所や集合時間を決めた所で、授業のチャイムが鳴り、意識を授業に切り替えた。
4校時終了のチャイムが鳴り、昼休みになった。
さて、先生のところに行かないとな……
また先生に泣かれると困るし。
職員室の前に立ち、少し気を引き締めてから入室した。
「失礼します」
この学校は少し緩いところがあるため、一言だけ断ってから入れば先生からは咎められない。
さて、雨咲先生は…… うん、いた。
先生は可愛らしい弁当を食べていた。
先生に近づき、声をかけた。
「雨咲先生」
「ん、那月か? すまないな、昼休みに呼び出して」
「いえ、大丈夫ですよ」
「それで、呼び出した理由は球技大会についてだが…… そのことに関してはもう聞いているか?」
「はい、だいたいですが。多分あれですよね、冬原が怪我したから代わりに俺がバスケに出るってことになったんですよね?」
「ああ、その通りだ。話が早くて助かる」
「でも、なんで俺なんですか?野球の方は人がギリギリでいなかったとしても、ドッジボールで予備の人が他にもいましたよね? 」
そう、余ってる人は他にもいるのだ。
しかも俺より運動ができる人もいたはずなのに。
なぜ、俺が選ばれたのだろうか?
先生はお茶を飲み、ひと息ついてから質問に答えた。
「ふむ、確かに他にも運動ができる人はいた。だが、那月を選んだのは私の判断だ。他の人よりも那月の方がいいと私が判断し、種目を変えさせてもらった」
「え?」
先生の判断? どういうことだ?
「私は、那月のことを高く評価しているんだ。見えないところで行動し、他人のために動けるその素晴らしさ。私はそのことを知っている、だから評価し、君を選んだ」
「え、えっと…… ありがとうございます?」
な、なんだこれ…… 恥ずかしいというか照れるというか、妙にくすぐったい感じがする。
先生は微笑みながら、再度問いかけた。
「どうだ、 引き受けてもらえるか?」
「もちろんです、そこまで言われて断ることなんてできませんよ」
「うむ、ありがとう。それともう1つ話があるんだが」
「なんですか?」
「実は球技大会が終わってから、数日後に転校生が来る」
「て、転校生ですか?この時期に?」
「そうだ。それでだ、那月。君が転校生に学校を案内してくれないか?」
「俺でよければ、案内しますよ」
それに、転校生と仲良くなれるかもしれないしな。
「おっと、話が長くなってしまったな。それでは、頼んだぞ! あ、転校生の事はまだ秘密にしておくように」
「はい。……ところで先生、弁当可愛いですね!」
女子高生の弁当と言っても過言ではないくらいの出来だ。
「そ、そうか。あ、ありがとう」
先生は頬をほんのり赤く染めながら言った。
そんな照れた先生も可愛いですけどね! っと心の中でさらに褒めておく。
「それでは、失礼しました」
さて、俺も昼飯を食べないとな。
今日中にもう1話投稿したいと思っていますが、もしかしたら明日になるかもしれません。




