右腕
桜羽さんとは昇降口で別れた。
彼女は優しく、話していて彼女自身の人の良さが伝わってきた。
美人で性格もいい人なんて本当にいるんだな……
教室に着くと、吉城が寝ていた。
相変わらず寝てばっかりだな……
それはそうと、吉城から話を聞かないといけない。
なぜ、俺がドッジボールからバスケットボールに種目変更されたのか。
吉城に話しかけようと思ったが、それよりも先に俺は友人に話しかけられた。
「よー!兄弟! 相変わらずいい朝だなぁ!」
「病み上がりなのにいい朝なワケあるか!」
俺を兄弟と呼ぶ友人、冬原 大吾は元気そうに笑っている。
彼とは小学校からの付き合いで今も遊んだりする程の仲だ。
しかし、いつもの彼とは違ったところがあった。
右腕にギプスが付けられていた。
「その腕、どーしたんだ?」
「ああ、実は階段から落ちてな……腕をやっちまった。それで、球技大会は無理っぽい」
「お、おい! それじゃお前のチームは大丈夫なのか!?人数はいないはずだろ?」
「そこは大丈夫だ。兄弟!お前が入ってくれるからな!」
「なんでだよ!?」
やっぱりおかしい奴だった。




