先輩
待ってくれ、なんで変更なの?
俺がいない時に何があったんだ?
勘弁してくれよ……
確かに中学の時はバスケ部に所属していたけど、そこまで好きだったわけじゃない。
自ら進んでやりたいというわけでもなかったから、昨年も今年もドッジボールを選んだのに。
『な、なんでそんな事になったんだ?』
『うーんとね〜』
うんうん、なんでなんで。
『あ〜、ごめん〜。携帯の充電無くなりそうだから〜、また明日ね〜!』
おーい!?なんだよそれ!?
漫画じゃないんだから、次回に続く! みたいにしなくてもいいだろー!?
おしえてー! 吉城さーん!?
くっ! 仕方ない、明日聞くか。
『わかった、また明日!』
しかし、なんで種目を変えられたんだ?
考えてもわからないし、明日学校に行けるように休もう。
そういえば……あの美女さんは風邪を引かなかっただろうか?
傘も貸したし、大丈夫か。
とりあえず、寝よう。
「いやぁ、よく寝た〜!こんなに寝たのは久しぶりだなぁ〜……」
熱は下がってるし、気分もいい。
うん、外は晴れていていい朝だ!
朝食も食べ、着替えて家から出る。
昨日はずっと寝てたから体は少しだけ重い。
「あ、あの!」
少し歩くと、背後から声をかけられた。
振り返ると、そこに立っていたのはこないだの美女だった。
手には俺の傘が握られていた。
「あれ?こないだの……」
「はい。傘、ありがとうございました!おかげで雨に濡れずにすみました。あのー、えっと……」
「あ、自己紹介もまだでしたね。俺は那月 涼です。2年1組です。」
「私は桜羽 姫子です。3年2組です。よろしくお願いします、那月さん!」
「いえいえ。こちらこそよろしくお願いします、桜羽先輩!」
先輩だったのか………
どうりで見た事がないと思った。
同学年なら廊下ですれ違ったことがあるはずだからな。
「傘、ありがとうございました。お返ししますね」
「はい、ありがとうございます」
「お礼を言うのはこちらの方ですよ。それと、先輩は不要です」
「わかりました。桜羽さんって呼ばせてもらいますね!」
「はい。では、学校へ行きましょうか」
それから、学校に着くまで他愛もない話をしながら歩いた。




