傘
不定期更新ですみません。
ならべく定期的に更新したいですね……
金曜日、その日の最後の授業が球技大会の種目を決める話し合いに変わった。
話し合いは担任の先生が進行していく。
担任の先生の名前は、雨咲 泉。
先生は女性で腰まである長い黒髪と鋭い目が特徴だ。鋭い目を含めて顔が整っているため、かなりの美人なのだ。
今年で28になるらしいのだが、恋人はいないらしい。なぜ恋人ができないのか、それは少し男勝りな性格に、出会いが無いのもあるだろう。
本人は恋人ができないことを悩んでいるらしいが。
話し合いの最初はそれぞれ好きな種目を選んだのだが、やはりというか、うまく人数が分かれなかった。
しかも、ドッジボールが他の種目よりも選んだ人が多かったのだ。
つまり、最悪他の種目に移動する可能性があるということだ。
やれやれ、困ったね……
同じくドッジボールを選んだ吉城も同じような顔をしていた。
「むぅ〜、どうしよ〜……」
「ドッジボールに残っていられることを願うだけだな……吉城、他の種目は苦手か?」
「わたしは〜、バスケは普通くらいだけど〜……野球はむりかも〜………」
バスケをしてる吉城なんてイメージできないな……
野球ができないのは予想がつくんだけど。
なんとかドッジボールに残れますように!
先生はこうなることを予想していたのか、くじを取り出した。
いや、ほんとになんで恋人できないのこの人?気配りもできるいい人なのに……誰か!もらってあげて!
「ドッジボールを選んだヤツはくじを引いてくれ。くじで当たりが出たヤツはドッジボールに出れるって事だ、問題ないな?」
うむ、異議なし。
くじ引きの結果、俺と吉城はドッジボールに残れた。
運が良かった……
俺達の勝利だ!
自分でもちょっと何言ってるかわかんない。
「球技大会は丁度1週間後だ!お前ら、怪我なく頑張れよ!」
なんで先生が1番張り切ってんの?
まぁ、何はともあれ来週は授業が無くなるし、喜ばしいことだ。
放課後、先生に呼び出されたと思えば荷物運びという雑用を手伝わされた。
なぜか先生は俺を呼び出して、手伝わせるんだよなぁ………
雑用が終わって帰ろうとすると、雨が降っていた。
「運は良くなかったってことか……」
いや、待てよ?
確か置き傘があったはず!
傘置き場を見ると、やっぱりあった!
助かったぜ。
そして俺は外靴を履き、外に出る。
出入り口付近は雨が当たらないように屋根があるので、まだ濡れることはない。
そして、雨宿りをしている綺麗な人がいた。
おそらく彼女は傘を持っていないのだろう。
両手でカバンを持っていた。
表情からして傘を忘れて、迎えも呼べるような状態でもないのだろう。
彼女は諦めたように、歩き始めた。
しかし、雨に濡れることは無かった。
「え?」
俺は無意識に彼女が濡れないように傘をさしていた。




