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こたつが恋人
好きな季節は冬。
何も考えずにこたつで暖をとることができるからだ。ただ、今だけは別だ。卑屈なことばかり考え、自己嫌悪に陥る。
何も考えないなんてできそうになかった。
その原因とは、
「はぁ〜生き返る〜こたつさまさまだよ〜……あ、にーちゃん!みかんがないから持ってきて!」
「はぁ………」
コイツじゃないからな?
今から言うぞってところで部屋に勝手に入りこたつにも堂々と侵入し、さらには兄にパシリをさせようとしたコイツが原因ってことはないからな?
少しはコイツも原因だけど………
「お前の部屋は隣だろ……なんで毎日俺の部屋にいるんだ?こたつだってお前の部屋にあるだろ?」
「もー!にーちゃんは鈍感だな!言わせないでよ!」
……殴りたい。
隣にコイツの部屋があり、その中には俺が使ってるこたつよりもかなり質のいいこたつを使ってるのにわざわざ勝手に部屋に入ってくる。
しかも毎回パシられる。
ちょっとムカつく奴だが優秀な妹だ。
さて、妹のことは置いといて。
なぜこんなに卑屈になっているかというと
俺、那月 涼は好きな人に告白をして、断られた。