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90:観光か?

 翌日は観光だ、といっても食べ倒しツアーだが。

 果物店の前を通るたびに脱線する俺に釣られて皆も止まり、見慣れない果物があれば箱買いする。

 最終的には宿に帰り夕食そっちのけでクインとむさぼり食べるのだった。

 この部屋で食べる際にだけは口を開くクイン。これは口に合わないのじゃ、これをもっと欲しいのじゃ、ときちんといってくれるようになった。最初は単に食べるだけでしゃべろうともしなかったからな、良い傾向だ。

 そして翌日の早朝、発注した盾と加工した属性ドラゴン皮製の防具受け取りの日だ。

 朝食を食べてゆったりと食休みを十分に取った上でのんびりと時間を掛けて魔物ハンターギルドへと行くのだった。

 ここまでゆったりしていれば大半は魔物ハンターギルドから出て行き、ほんの僅かに仕事の受付をしているのがいる程度だ。十分も経過せずに俺たちの番となり、売却完了の証明を取り出して渡すと鍛冶師の方が応対してくれたのだ。そして三階の部屋へと案内された。


「準備は出来ておるぞ、今出すから待っとれ」

 受け取る個人専用防具なので名前を読み上げながら取り出されきれいに並べられた。そして六枚の盾も。

「防具に関しては着て微調整が必要なのはテリストのみだな。先にスーシー、君の盾から調整しよう。他の者は今の内に着替えてくれ」


 男がいようがお構いなしである。例え女性の着替えでもその場で要求は当たり前なのだ。

 外の野外では池や湖、川などで身綺麗にするのは当たり前だ。それは男女など関係はない。

 見せびらかす訳では無いが必然的に一緒になることもしばしばある。そんな訳でハンター業をする女性は躊躇なく着替えるのだった。

 この防具一式だが、当然の様にマントまでついて来る。ついでに頭用の鉢金もついて来る。こっちは一部ミスリル製だ。

 皆が着替えると壮観だな。やはりど派手なのはカーラ、次点でココア。派手ではないといっても流石に統一単色では目立つのなんの。

 サーシャへはアリサが着ていた防具を下げたのだった。下げたといっても白金板一枚は下らない品だ。一セット百万リルはするからとりあえずは十分だろう。

 学校受験前の強化合宿を経験すれば十分に購入可能な実力を付けられるはず。

 水の魔術には酸で攻撃するのがある。アシッドジャベリンだ。この威力さえ上げればあの程度の金属なら溶かせるだろう。今現時点でもスキルレベル八あるとの事だからな。

 スーシーの方は盾の具合を調整後、防具を着こんでの再調整から完成となり、一人一人を観察後に最終チェックが終り売却完了となった。


「見違えたな、流石の防具、貴重品だ」

「流石にこの姿で出歩くのは目立ちますわよね、恥ずかしいですわ」

「それはそうとスーシー、その盾は全部しまっておけ。ソードシールドを装着したまま人に接触したら大怪我だ」


 それから魔物ハンターギルドを出るのだが、すれ違う人全員が俺たちを振り返ってでも見て行くのだ。

 当然ともいえるがこの属性ドラゴンの装備を着る者は最低でもSSランク、SSSランクは当たり前。

 本来なら最高でBランクの俺たちが着れる装備ではない。

 だが。ここ、総本山の魔物ハンターギルドは対応が違う。

 その制約からBランクで止める者が珍しくないと考えており、例え低ランクでも実力で把握するようにと徹底して教育を施されている。

 だからこそ実力を知った者は最低でもSSランク扱いとなりそれらに相応しい対応をして来るのだ。

 強い者は守りの要だ。スタンピート発生時には切り札たる存在、それが相応しい者として扱われる。

 以前の防具ではお金さえ積めば購入できるが、この防具は試験を突破しなければならない為に天と地ほど、他者からの対応が変わるほどのステータスを誇るのだった。

 調整込みの服を受け取りセントラル経由での移動となる。

 セントラルでも丁寧な扱いを受けた俺たち、無事にターラルまで来る事が出来た。

 

 流石に皇都ほどの晴れやかさは無いが行きかう人々のハンター率がかなり占めている。

 そして装備の質が平均すると段違いで上。それにPTですといった感じに纏まって行動する者が大半で二人から三人ほどの少数の組はかなり少ない。

 それでも俺たちレベルの装備の者は一人としていなかったのである。

 魔物ハンターギルドと宿屋の位置を聞き先に宿屋を押さえる。

 何といってもハンターの総数が半端ではない為に宿屋が軒を連ね、収入に見合った、身の丈に合う宿屋をチョイス出来る様にと金額が書かれた看板が宿屋毎に立ち並んでいるのだ。

 今日は七月一週三日、七月三週八日は皇都に戻る予定なので二十四泊分先払いして部屋を確保した。それから魔物ハンターギルドへ向かうのだった。

 建物の階数は三階と一階分低いが、さすが最高峰と言われる難易度のダンジョンのある町の魔物ハンターギルドだ。敷地面積ではどっこいどっこいだろう。

 そして中に入れば他の町にそぐわない人の数がたむろしている。

 ダンジョン攻略者が主で仕事の方面に割く割合が低いのだろう。

 当然仕事と違いダンジョンは何時でも歓迎致します二十四時間フル営業中って訳で、各層の情報収集から、人員補充してPTの強化を狙う者たちは、入って来る人物の品定めに余念がないのだった。

 当然俺たちは注目の的。だが、俺たちはPTとして集団で行動しているので勧誘は来ない。

 当然だ。同じ属性ドラゴンの装備をした者でなければ実力に差が有り過ぎてPTとして機能しない。付いて行けないのだ。それらの目線を引きずったままに受付へと赴いた。


「こんにちは、お時間宜しいですか?」

「はい、こんにちは。今のお時間でしたら大抵の者は情報収集かダンジョンアタックしておりますので歓迎したします。わたくし窓口担当のキャサリンと申します。本日の御用件をお伺いいたします」

「キャサリン殿、ダンジョンの情報を売って頂きたい。ダンジョン場所、環境、各階層の魔物の出現種類とレベル、攻撃手段、罠の種類がどの様な傾向にあるのか。以上です」

「場所は北門から出られて道沿いに北上されますと看板が立ててあります。其方から右折して頂ければ直ぐにわかります。其方では緊急避難所的な治療施設や、割高ではありますが雑貨の販売もさせて頂いております」


 嫌でも分る上に、準備不足や買い忘れの際に補給できる拠点を作ってるのか。至れり尽くせりだな。


「なるほど、店舗が有れば一目瞭然ですね。それで、売れる情報ありますか?」

「下層部以外でしたらマップも完成しております。そして魔物に関する情報でしたら全階層全て揃っております。

 別々になりますが一階層毎に書かれた物は一枚金貨一枚です。魔物図鑑として八十階層まとめて本にした品は破れ難い羊皮紙に書かれておりますので割高になり白金貨三枚となります。

 マップの方は七十階層までの本で同じく白金貨三枚となります。申し訳ありませんが罠に関しては皆無です」

 魔物図鑑は比須として。対象を絞りその階層分だけ地図を買うのもありか。そこはヤヨイ次第でもあるな。ちと確認するか。

「なるほど、少し失礼しますね。ヤヨイ。途中で迷った場合に地図に起こせといったら可能か?」

「書かなくてもご案内しますので容易に脱出できます」

 迷子には絶対にならないか、ならサンプルとして一階層分を購入だな。

「ならいいか。魔物図鑑を一冊と一階層の地図を一枚売って頂きたい」


 地図一枚購入するのは基本の形を知っているのと知らないのとでは攻略難易度が変わりそうなので購入する事にしたのだ。


「はい、少しお待ちください」


 こうして本と一枚の地図を受け取ったのだが、雑草の茎を加工して作ったパピルスのようだ。これなら耐久性は低いだろう。

 そして肝心の地図だが、良く見ると正方形、壁というより線で壁を表している為に地図と言うより遊園地などにある鏡の迷路のようだ。そして所々にある空白地帯、これ隠し部屋じゃねえの?


「悪いなキャサリン殿、地図を本に変えてくれ、可能か?」

「ええ、高い品が良いのであれば此方としては受けさせて頂きます」


 こうして本二冊を購入して一度宿屋へと戻るのだった。

 


現在。投稿してます各部分を編集しておりますので投稿に間隔が開きます。申し訳ございません。

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