88:防具発注
一色に染まっているのでこれを着れば目立つな、一つの属性の塊であるドラゴンの外皮だけあって鱗がツヤツヤだ。これを着れば君も超一流のハンターですよ、ってか。
火は赤で二セット、風は水色で三セット、水は濃い青で一セット、土は薄い茶色で三セット、氷は薄い青で二セット、雷は黄色に若干金色で二セット、光は白銀色で一セット、以上だ。
ロックドラゴンは地味だな、パス、光は派手だね、前衛にいる奴が光ってたら目に悪いからパス、雷もだ、同じくパス、うーん、自然の中でで活動も考えると火もパス、風水氷が俺の選択しうる品だな。
「ココアは光か? めっちゃ目立つぞ」
「嫌ですわよ、私は火が良いですわ」
髪の色がピンクだからな、少しは統一感があって良いチョイスかもな。
「俺も決めるか、野外で活動するなら目立たないように氷にする」
「雷と光以外なら選択肢として、どれも良さそうね。水にするわ」
「早く決めないと選ばれちゃうぞ」
「あの、テリスト様。本当にこんな高価な品を選んで良いのでしょうか?」
ヤヨイの奴、今更何言ってるんだ。途方もなく高価な武器持ってるのに、気にするレベルじゃないだろ。
「‥‥‥あのな、今更だろ。命を大事にしたいならきちんと選べ」
「では、私も氷でお願いします」
「わたくしは雷でお願いします。感電して麻痺は避けたいのでこの選択しかありません」
「性能で選んだか、本来の選び方だな。スーシーはどうする?」
「風でお願いします」
「承りました。入手難易度と品数から料金を決めさせて頂きます。
そうですね、六セットお買い上げですので全部纏めまして白金板六十九枚と後は加工分となります。
其方を決めない事には総額が出ませんので決めてしまいましょう。
素材をお持ちでしたら持ち込みでも構いませんがどうされますか?」
「それならあれを出しなさいよ。皮も鱗も別にあったでしょ」
更に上に重ねて強化って手は良いが、この場で言うなよ。
「鑑定すらしてない良く分からん品だぞ」
これで気がついてくれよ、出所不明の素材をひけらかしたくないんだ。
「それもそうね、金属だけで良いわ」
「属性抵抗の部分は俺が後で何とかするとして、オリハルコンで強化してもらうかな」
とりあえずと十k単位で五つ送ってきたうちの一つを取り出して台の上に乗せた。
「オリハルコンだが加工は大丈夫かな? スキルレベル足りてるかな?」
「え、ええ、加工は可能です。残りました分は取りに来られた際に、責任をもってお返しいたします。部位は如何されますか?」
関節部の動きやすさ重視で良いだろうな。
「そうだね。上部分は鎖骨を守って肩は出す感じに、脇の下から腰まで、腹は守らずに鳩尾まで、肋骨に沿って当ててくれれば良いです。背中側は背骨部分は厚めに、他は薄く。以上です」
「具体的にありがとうございます。イメージしますとノースリーブのシャツのお腹部分を切り取り、背骨を特に強化ですね。フリーサイズ化させますので成長に合わせまして、前面部分、側面、背中との繋ぎ目が広くなっていきます。合わなくなれば加工可能な鍛冶師を尋ねられて微調整されてもこちらへ持ち込まれても構いません。
後程採寸させて頂きます、今の状態でぴったり合うように加工させていただきます。
料金は白金貨一枚所望させていただきます。総額白金板六十九枚と白金貨一枚ですので、合計六千九百十万リルとなります」
屋敷の金額を軽く三倍越えちゃってるよ、ここまでの買い物は初だな。
「金額聞くとすごい買い物したって気になるな」
「普通なら十年でも稼げないわね」
「何言ってるんだか、魔物さえ居れば八ヵ月も掛からんだろ」
「‥‥‥」
「良いから出しなさいよ」
白金板が大量に入っている宝箱を取り出してバックリと御開帳だ。六十九枚を七つの山にして別途白金貨一枚を台の上に乗せたのだった。
護衛のハンターが目を見張って見ているが無視だ。
職員の女性は何事も無く確認と書類作成している。
売価を書かれた二通を作成して割り印を押し、それぞれの署名を施して一枚ずつ保管する。これで完了だ。
「採寸はもう少しお待ちください。
各自それぞれにタグ付けしてお渡ししますので、其方も合わせまして三日後の早朝からお渡し可能となります。先ほどの売却完了の書面をお見せいただければどの職員でもお渡し可能です。
それでは次の盾に移りましょう。通常の盾ならば防具店で購入可能ですが、加工が必要でありその為にご紹介であると判断しますが、どうでしょうか?」
優秀だな、そこまで見抜いて提案して来るのか。
「貴方はすごいですね、うちのPT員にほしくなりましたよ。
その通りです。普通の盾では都合が悪い為に腕の通し部分と握り手の部分の位置を微調整してほしい。そして二枚同時に持たせる事を予定してますのではめ込みタイプに加工して、二つ合わせた場合、前面に隙間がなくなるように加工を希望してます。
一種類はカイトシールドの形でソードシールドタイプ。もう一種類タワーシールドタイプ、そして可能なら野外用とダンジョン用で2種類準備。
野外用は地面に突き刺して踏ん張りが強化出来るタイプ、ダンジョン用は無しで。スーシー前へ」
一歩前に出てくれた。
「彼女が使います。力がどの位かわかりません。その辺りも考慮に入れた厚さに仕上げて頂きたい。ミスリルは提供します。以上になります」
「なるほどなるほど。スーシー様、肘を直角に曲げた状態で腕を真っ直ぐに肩幅に、手は肩の高さにしてもらえますか」
胸が大きいからな、そんな体制に成るとより強調されてより大きく見えてしまう。
「左様ですか、戦闘では致命的かもしれませんね。若干肘の位置を外へ、その分手の平の位置を内側へ加工をご希望、バランス調整込みの厚さ調整込み。
合わせやすく外れにくくするとなると、スライド式はめ込みタイプがよろしいでしょう、外す際も簡単ですから。
うーん、加工される鍛冶師の方に直接採寸も任せてしまいましょうか。お呼びして頂けますか、それと各種盾をそれぞれお持ちするように言伝を」
本当に優秀だね。確認作業まで行った上で必要機材まで頼んだか。
「はい。一時中断していただくことになりますが、仕方ないでしょう。行ってまいります。用途にあった品も見繕ってきます」
「はい、お願いします。先ほどのお答えですがお断りしますね。知識はあれど、魔物と対峙する度胸は有りませんから」
「残念ですね。それはさておき情報を売って下さい。
これらの在庫が有るか無いかとおっしゃってましたが、近くにいるんですか? 属性付きのドラゴンが」
居るなら自力調達で一式そろえ出来そうだな。発注を受けてくれればだけど。
「なるほど、早速挑まれるのですね、料金は不要です。倒して頂き納品して頂ければ此方としてもお助かります。ターラルのダンジョンを御承知でしょうか?」
「いえいえ、昨日獣王国から船旅をして到着したばかりで、町の名は教えていただきましたが、時際には目にしておりません。装備を整えた後に出向こうと考えています。八月には魔術学校を受験する予定ですので、直ぐに戻ってきますけどね」
「それでしたら南東のセントラル経由で来られたのですね、四棟有ることが確認できたと思いますが、その内の北西のセントラルから向かえます。
そこのダンジョンの最下層の各種ブロックに全八属性の属性竜がいます。
初めてでしたら徐々に潜るべきでしょうか、罠もあり危険ですので。無理だけはなさらない様に。
それと魔術学校とおっしゃいましたね、受ける方法はご存知でしょか?」
「ふむふむ、左様ですか。学校ですが、料金と試験内容をお教えしていただいた程度で、受付も学校の位置すらしりませんで、お恥ずかしい限りです」
「昨日着いたばかりでは仕方ありません。
受付はセントラル中央に位置する皇宮前で行われます。受験手数料の集金も同時に行われます。
一定人数が揃いますと、馬車で東門から出立し、試験会場までそのまま向かいます。後は試験官さんの指示に従えば宜しいでしょう。
合格すれば希望の学部へ確実に入れます。その為に勉強する建物が違いますので、地図を渡されます。それを見て行けば大丈夫でしょう」
「なるほど、有難うございます、助かりました。
またまた別件ですが最後の質問です。先ほど買えるのは一生に一度とおっしゃいましたよね。
素材持ち込んでの発注も不可能でしょうか?
「その質問をされる方がかなりいらっしゃいますが、実現された方はこれまでいらっしゃいません。
同属性以外でしたら引き受けさせて頂きますとお答えします。ですから、個人で所有可能な総数は八セットなります。訳もお伝えしましょう。
竜は各属性のブレスの他に、竜種専用のドラゴンロアー、竜語魔術を使用して来ます。
あまりの威力の為に、討伐希望される方は同一種類の属性で揃えられ、抵抗力を最大限生かして戦われます。その様な理由から、皆様の様にバラバラの属性を購入はされません」
おー、盲点だったな。そんな理由からか。カーラは性能で選んだが、後は見た目で選んだからな。失敗したか?
「なるほど、特化装備で固めなければ勝てないから結局はその属性専門のハンターになる。だからこそ他の属性竜には手を出せなくなるので結局は倒せず。最初選んだ装備のままになる」
なんとも単純な理由だな。それなら加工可能な店を探す手間が省けるのか。
「左様です」
結構話し込んだのもあり、鍛冶師ですと紹介にあったのがドワーフ族の男性だ。
俺の方は簡単に終わったがスーシーはそうはいかない。
その大将と力比べと腕相撲で力を確認され採寸を経て手の型まで取られ、胸を圧迫しない体勢で更に採寸されたのだった。
ミスリルを大量に提供してクッション部分と耐熱性素材は別途鍛冶師が準備となる。素材の代金はミスリルでくれって事になり、余った分から好きなだけ取ってくれと頼み、部屋を後にしたのだった。
納期の期日だが、同じく三日で間に合わせるとの事だ。ミスリルなら弟子に作成させ、大将が微調整する事で間に合うそうだ。




