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81:港町

 到着したその町は港町だ。木材だと傷みやすい為か、海に近づくほど石材で建てられた家屋が多くなる。

 人々の様子も王都とは違い小綺麗な者では無く、日焼けしたがっちりした体の者が大半だ。それも、男性女性区別なく良く鍛えられている。

 町へ侵入時に衛兵に聞いた馬車の管理込みで宿を経営しているお勧めに向かい、馬車を預け入れてチェックインしたのだった。とりあえずは予定の確認だな。


「御者さんたちは馬の休憩がてら数日滞在して王都に帰還か、その後はどうする?」

「それなのですが、本年も含めて六年分の給金を既に頂いております。

 屋敷が取り上げられない限りはそのまま住まわせて頂くと皆で話し合っておりますのでご心配なく」

「なるほど。うちってメイドが途中で増えたよな。ここの二人を抜かしたら何人だ?」

「あんたね、そんな事も知らなかったの? この二人と執事入れたら十三人よ」

「なるほどな」


 お金を入れている巾着を取り出して白金貨十五枚を取り出す。


「それじゃこれを一人一枚常に着る服に縫い付けろ。突然途中打ち切りでお金を取り上げられたらこれを使って次の職を見つけるまでの生活費にしろ。残り二枚は、此処まで運んでもらった礼だ。受け取ってくれ」

「滅相もありません。この為に雇われ給金は受け取っております」

「危険手当だと思ってくれ。本来なら六年安泰な所だがこんな形で不透明になった。保険は必要だ。その為に服に縫い付ける様にと言ってる」

「はい。ではご厚意に甘えまして、戻ったならば皆にもお伝えして渡しておきます」


 給金回収と放り出されたら路頭に迷うからな。途中で放り出した事に対する謝罪料だな。


「それじゃ次だ。何時出港か確認しなきゃならないが、とりあえず各部屋五日分は支払ってある。

 出港までもっと時間が掛かれば伸ばすが、そうでなければ返金要求せずそのまま借りっぱなしにしておくからゆっくり観光でもしてお土産を買て行ってやれ。俺の渡したマジックバッグなら腐らずに運べるから食べ物でも問題無いからな。

 これからの生活で有効活用してくれ、なるべくなら売るなよ。食料の交易商でもすれば、儲けは余裕で出るからな。なんなら試しに此処で大量の魚を買って行くと良い。鮮度では絶対に負けないぞ」

「ご配慮感謝しますテリスト様」

「二人は自由にしてくれ、もう俺たちに付き合う必要は無い。これまで助かった、ありがとう」

「とんでもございません。短いおつきあいでしたが、テリスト様のお配慮に感謝しております。それでは失礼いたします」


 こうして彼らは立ち去った。


「さて、今度は俺たちの番だな」

「真っ先に出航予定の確認ね。スーシーの服は確保が無理でしょうから、ヤヨイの服だけは確保しておく必要があるわね」

「そうだな。それと、俺たちと行動を共にするなら武器と防具も必須だな。武器は大量にあるから手に馴染めば買わなくて良い。防具はどうする、あの蜥蜴アーマーでも着とくか?」

「あながち間違いでもないけど蜥蜴アーマーは無いわよ。

 それは兎も角鎧はその方が良いわね。ここではそれ以上の品は手に入らないと思うわ。それと外装とマントも買っておかないと足りないわ」


 国の端も端で港町だと品質を求めるのは無理があるか。


「結局、ヤヨイは武器って何を使うんだ?」

「ショートソードの二刀流が主でした。あの、テリスト様。私が武器を持ち歩いても宜しいのですか?」


 普段から持ち歩かないとかあり得んだろうに、この世界の奴って、直ぐに喧嘩しかけて来るんだぞ。


「問題無いだろ、アリサが面倒みると言った手前、ヤヨイがやらかせばアリサに火の粉が降りかかる。それだけだ」

「そうでしょうね、ヤヨイは他の世界から来たのよね。それだと危機意識が低すぎるのも納得だけど、いつ何時戦闘に巻き込まれるか分からないわよ、常にテリの言うように武装しておきなさい。それとテリスト。そろそろ伝えたらどうなのよ」


 同じ国出身か。その内って事にしておこう。


「おいおいな、船の上では暇すぎるその時話すか。これで良いか?」

「それもそうね、今はすべき事を優先しましょ」

「なら武器が有るか確認したら出るか。しかし、ショートソードは二本も有ったかねぇ。アダマンタイト製は無かったから他のか」


 小さい武器から順番に取り出していくのだった。長さ的にショートソードサイズは3本か、内1本は小太刀だが問題無いだろ。


「用途に合った長さはこの三本だな。手に馴染むのを使えば良い。無理そうなら使うなよ、変な癖が付いたら取り返しがつかん。材質は落ちても合うのを買え」

「テリが握り手部分を調整したらどうなのよ?」


 専門の技術を会得して無きゃ無理だよな。そこまで技術がある訳ないじゃん。


「あのな。金属じゃないんだから、微妙な皮の巻き具合で握りやすさ、扱いやすさ、振る際の刃の向けやすさ、そんなのが変わって来るから本職じゃないと無理だって」

「あの、この2本にします」


 アリサと話している内に決めた様だ。


「了解。剣帯は無いから買ってくれ。それと、出航が明日ならアリサ、少し手伝ってくれ。出航前に腕を直す」

「もう治せるのですかテリクン!」

「だな。蟻を相手にしてた後半だから五月の二週か三週あたりかな、その頃なら治療できた」

「ならさっさと治しなさいよ。そうであればあれほど苦戦しなかったでしょ」

「アリサ。頼むから後の影響を考えてから言ってくれ。

 学校の閉鎖空間で生活してたんだぞ。それで俺の腕が治ってみろ、国王ですら治療可能な者を知らないんだぞ、そんな中だと一気に情報が広まる。俺の元に治療希望者がわんさか集まる。そんなの御免だぞ。

 例え治療可能になったとしても、俺は在学中には治療しないと決めてたんだ」

「旦那様の言う通りですね、どれほどの厄介事が舞い込むか分かったものではありません。ご自重なされた旦那様。お見事です」

「悪かったわね。頭が足りなくて」

「良いんだよそんな事は、家族だからフォローし合うのは当然だろ。この場なら問題無い」

「決まったのなら行きますわよ」


 予定が詰まっている事から、ココアに急かされ出かけるのだった。







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