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78:反逆

 何がもう良いのか、待つまでもなく陛下の口より発せられた言葉により発覚した。


「テリスト。お前には国家反逆罪の疑いが掛けられておる。

 そこのクインを使い魔物を追い立てスタンピートを引き起こした。

 ジアラハルトでは獣王国との戦争へ巻き込ませる目的で城を破壊した。

 それを知ったカーライルが独自に動き、お前を亡き者にしようとしたがこれに失敗した。現在は牢に囚われている」


 最悪の想定が的中したか、カーライルと俺を天秤に掛けさせたな。

 しかも中々の策士ですな。よくもまぁペラペラとそんな事まで考えつく事で。

 カーライルを助ける為に俺に罪を全て擦り付ければ、逆にカーライルは英雄として迎え入れられるか。

 浅はかだねぇ、俺との敵対を選んだか。我が子可愛さの末の決断だろうが、それは身を亡ぼすぞ。いや国も亡ぼすか。手間ではあるが、敵対国となるのであれば手加減は無用だな。さて、どう応じるべきかな。


「なるほど、中々に面白い筋書きですね。これまでの功績以前に、我が子を助ける為に俺に死ねって事ですか。もちろん覚悟はしてますよね? 国が亡ぶ覚悟をですが」

「早とちりが過ぎるぞテリスト。疑いといった。弁明があれば申して見よ」


 茶番は必要無いですって。どうせ出来レースでしょうに、つまらん事は省いて行動に移しましょうや。


「何を仰るのですかお父様! テリスト様と行動を共にしておりますが、その様な事は全くございません! 直ぐに撤回してください!」

 指摘しても無駄だぞ、既に出来上がっているストーリーだ。弁明のしようが無い事を指摘してる時点で察したが良い。

「カーラ黙っておけ、既に筋書きは作ってある。カーライルを助ける為には英雄に仕立てて俺を悪者にするしか手立てがない。

 弁明といってるが立てようすら無い事を知ってるからわざと聞いてるに過ぎない。だよな?」

「流石だなテリスト。そういう事だ。魔物の行動原理など解明されていない事を説明しろといっても出来るはずもない。

 ジアラハルトに至っては敵対などどうでも良い、既に敵対してるも同然だ。釈明する必要さえ無い。

 暴れる前にいっておくぞ、お前の父親と兄二人は拘束した。命を助けてほしければ大人しく捕まるんだな」


 馬鹿かこいつは、既に家ごと家族を捨てた俺にとっては人質としての価値はない。人質としての価値を前面に押し出し俺の動きを封じるつもりだろうが何の役にも立ってないぞ。

 人質としての価値がある者と限定すれば、結婚を約束している女性のみだ。謀を企てた様だが浅知恵だったな。


「あーなるほど。なら、城の前で処刑したらどうよ。何の罪で死ぬのか知らんけど。どうぞ、陛下の御判断で殺してください」

「家族の命が惜しく無いのか!」

「お父様。テリスト様は既に家族との縁を切っております。申されている通りに処刑されては如何ですか?

 悪者になるのは王家ですが愛想が尽きました。如何様にも名を落として下さい」


 カーラも見切りをつけた様だが内心複雑だろうな。実の親がこれほどの暴挙に出てはな。


「俺の説明する手間が省けた、助かるよカーラ。そういう事だ。特にクソ親父は徹底的にいたぶり尽くして殺して下さいね。一家離散した原因を作ったのはそいつですから

 ただ、一つだけ注意しろよ。王家が俺の敵に回ったのなら国が敵だと俺は判断する、いってる意味わかるよな?」

「貴様の事だ。国民が人質とかいい出すつもりだろうが、それがどうした? そんな事をすれば何処の国に行こうともお前はお尋ね者だ」


 ブッ! このたくらみが破綻して俺が逃げれるといってるぞそれ。


「そうかそうか、それじゃ試すか。新しい新種の魔術を考えてたんだよな【風よ火よ雷よ還元し「愚かだな、何の為にこの部屋へ連れて来たと思っている。此処は魔術阻害する結界の中だ。お前の得意の魔術は使えんよ。

 国家中枢部で城を破壊し得るほどの魔術の行使、お前は罪は確定だ。衛兵、騎士たちよ! テリストとその一味を捕らえろ!】」

 ばーか、ハッタリに決まってるだろ。こんな閉鎖空間で使ったら俺たちまで自滅するわ。面倒ないい合いなんぞ終わらせて、さっさと行動に移したいがために、詠唱しただけですわ。

「壁から一m離れて壁際に退避しとけ! 素手での戦闘経験は俺しか無いだろ、下がっておけ! クイン、通常の大きさに戻れ! 王だけ残してそっちは全て殺せ!」

『にゃーご!』


 なぜ扉が大きいのかこの時点で把握した。ほぼ部屋と同じ幅の扉だ、開け放てば横一列に隙間が無く兵が配置できる。魔術戦闘では無く物理戦闘ならば数を揃え面で押し込めば逃げ場がないからな。

 だが、悪手なんだよ。片方は対魔物の戦闘のプロ、そしてもう片方は対人戦のプロだがスキルによる差がある。この場合は簡単な解決方法がある。同士討ちしかねない状態にするんだよ。

 さて、魔術は使えないとかいったが他のスキルはどうかな。気配遮断と魔力操作で認識できない状態になり騎士に踊りかかる。

 縮地からスライディングへ、そこから一人蹴り飛ばす。右側にいる奴の武器の柄を握りそいつも蹴り飛ばす。

 武器を奪い取り鎧ごと斬って捨てて行く。動きの邪魔になるので遺体の収納も同時進行だ。

 武器の刃が潰れれば回収した武器に持ち替えて相手に認識させず一方的に斬り捨てる。此方は負傷すらすることなくどんどん切り殺して行く。

 部屋の周囲は片が付いた。精々二百名程度の団体さんだ。だが、俺たちを逃がさない為に城の前には数千人規模で待機している騎士と衛兵がいる。


「一応周囲の敵は片が付いたな。クインは、大丈夫だな」

『うむ、主ほどでは無いが良い運動になったのじゃよ。暴れられても面倒じゃしの、気絶させておいたのじゃ』

 うーむ、手加減に関しては俺よりクインの技術が圧倒的に上だな。今後手加減が必要な時は頼むかな。

「テリの予想がこんな所で当たるなんて本当に最悪よ。予感があったの?」

「俺と殿下を天秤に掛けて判断を迫れる状態だったからな、十分に可能性があると予想してた。その中でも最悪の想定をすると騎士が全部敵に回る事も含まれる。

 だから提案した訳だがこれが当たるとはな。第二王子も王妃もいないようだし、戦場になる予想でもしてたのかね」

「それでどうするのよ、外にはうじゃうじゃいるわよ」


 せいぜい二十m程度か、その位城から離れた位置で此方を取り囲んでいる。高所の窓から出て飛んで逃げるって選択肢もあるにはあるが、放置すると全てが追撃してくる恐れがある。

 それならば分散される前にこの場で叩く。その方が後の苦労が激減する。よって、この選択肢しか取りようがない。


「その為にこいつがいるだろ」

 陛下を指さす。

「だけどそれも一時ですよ、何処で逃がすかによっては永久に追われます」

 こっちを攻撃させないための単なる盾扱いで、一方的にボコる為の手札でしかない。その為に叩くんで大丈夫だ。その前に頂ける品は全部もらい受けるかな。


「それはそうだな、外の騎士もどうにかしないと距離を保ったまま追走して来そうだしな。其方は後でどうとでもなる。今は逃げる為の物資を確保するぞ」

「物資って、あんたねぇ。何もかも奪っていく気でしょ」

「正解だ。それじゃ行くぞ。あ、その前に一応武器を渡しとく」


 一般的な片手剣とラージシールドだが素手よりはマシだろう。

 クインに二mサイズになってもらい、気絶した陛下を運んでもらう事にした。

 俺たちのいた部屋の品から回収する。血で汚れているので【クリーン】を掛けて片っ端に収納する。お隣の部屋に行って全部収納する。全部頂いて行くのだった。

 地上部を全て根浚いし地下部に移る。地下牢はさておき、厳重に魔術での施錠も含め、かなり強固な守りを施されている宝物庫を前にするのだった。


「さてさて、此処が最後だが、開くかねぇ。せめてミスリルの刀があれば切れると思うんだが」

 思いっきり斬り付けるも剣があっさり負けてへし折れる。同じ材質の武器で何度も試した所で同じ結果なのは明白。ならば、手を変える方が良い。

「やっぱダメか、少し離れるぞ」

「まさか、魔術で強引に開ける気じゃないでしょね」

 その手を使うと外の騎士が異変を感じ取って突入してくるかもしれないんだよな、それは非常に不味い。

「いやいや、そんな無駄な事はしない。一階に行くぞ」


 横が駄目なら上からこじ開けるまで、上にまで結界は張って無い。ならば、厚さのある床を抜く方が楽ってもんだ。

【ウインドスラッシュ】で斜めに切り込みながらより深く切り込む。この要領で四角く穴を空け、最後は俺が上に乗ったまま最後の魔術を放ち一緒に落ちる。

 下へ接触前に収納し【フライ】で上に戻り、国王共々全員を宝物庫へと案内した。


 あるわあるわ。アダマンタイト製の大小の刀一式、複合素材のコンポジットロングボウ、長槍に片手剣、ツヴィハンダーにフランベルジュ、カトラス、片手用の手斧、両手用のバトルアックスに至るまで。

 盾も数種類ある様だな。

  後はオリハルコン製だ。ミスリル製に至っては整理もされずに山になっている。貴重そうな黒光りする皮で仕立てられた魔導書が四冊に宝玉、宝石、白金貨の詰まった宝箱から白金板まで詰まった宝箱などなど。

 防具そのものは無いが各種皮や鱗なども宝箱に収納されている。時価総額数百億リル以上の資産だろう。

 アダマンタイト製武器以外の全てを収納して武器を振り分ける事にした。材質的に劣る、鋼鉄製の片手剣と盾しか持ち合わせていないからな。


「装備するぞ。俺は刀を使わせてもらう。槍はアリサ、弓はカーラ、ココアはとりあえず盾を持っておけ。攻勢には回らなくて良いが防御は固めてもらう。何かあるか?」

「テリ。やり過ぎじゃないの? ここまで回収する必要は無いと思うわよ」

「俺はそう思わなけどな。事実を捻じ曲げて殺そうとしてくる相手に遠慮が必要か? それもこちらは命を取るつもりは無いって慈悲すら与えるのに。代わりの品を貰っても罰は当たらないと思うぞ」

「今回は本当に死ぬかと思いましたわよ、テリストのいう事もあながち間違っていませんわよね。支持しますわよ」

「それよりも今を切り抜ける方が先ですよ。周囲は全て敵だと引き締め直さなければ死にます」


 武器を装備後、クインから順番に一階に戻り玄関に集合したのだった。

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