77:到着と報告
王都まで残り三日の行程も天候が崩れることなく順調に馬車の旅も終わり我が家へと到着した。
現在の時刻はたぶん十五時頃か。陛下も待っているであろうことから歩きで向かう事にした。
馬車の移動で足腰鈍っているからだ。歩くのが一番良い。
スーシーを除く嫁と共に王城へと向かい、何故か入り口で武器を納める様にといわれたのだった。
普段使いの品から持ち合わせている全てだ。俺を警戒してますよとのアピールか。それはしてはいけない行為だったな。
本来であれば国王の元へ武器落ち込みはご法度なのは当然で、要求されれば預けるのも当たり前なのだ。全て預けて案内された先でも騎士が帯同する始末。これこそ俺が何かするとでも思ってるのかね。
これでは嫁さんと話すに話せない。三十分も貴賓室で時間を潰すとやっと会見場まで案内されたのだった。
かなりの数の貴族も同席している。どうやら協議込みで呼んであるのだろう。
「お目道理叶い恐悦至極に存じます陛下」
「帰り着き早々にご苦労である。詳細を申せ」
ほう、久しく陛下モードって所か。
「詳細に関しては既に数日前にお伝えした通りでございますれば、追加してお伝えする事はございません」
「その後の進展はと聞いておる。申せ」
曖昧過ぎるんだよ。もっとピンポイントで聞いてくれないかね。そもそも進展なんて何も無いんだけどね。あれから合流して帰って来ただけだし。
「陛下へご報告後ですが、カーライル殿下とは接触しておらず何一つ進展はございません。帰還する際に近衛騎士隊長と会談する機会があり、全てお任せ致しました」
「お父様、発言の御許可を頂きとうございます」
「許す。何なりと申せ」
「テリスト様が何処まで報告申し上げてますかわかりませんが、既に資金の出所に関して調べる様にと申し付けてございます。すでに着手しておりますのでご報告を致します」
「その件はすでにテリストより報告を受けている。この件は二重の意味で確認できたな」
もう良いだろ、話す事は無いから次に移ろう。
「陛下に一つ近衛騎士隊長より言伝を預かっております。宜しいでしょうか?」
「何なりと申せ」
「お会いした際にですが、魔物ハンターギルドの腐敗が激しいと相談した所、引き締めするとの事で数日帰還が遅くなるやもとの事です」
「腐敗の内容を申せ」
いい方は丁寧だが内容の一部始終を説明した。
「三十名近くを斬って捨てたのだな」
「はい」
そういえばココアの親父さんがいないな、何時も会議には重宝されて呼ばれていたが今回はどうしたのか? それに、重要案件だというのに家に来た公爵が来てないな。
「発言を失礼しますぞ。高々銅貨数枚、その程度の事で三十名近くを殺すのは如何なものか。反論はございますかな?」
「高々ですか、確かに金額的には少ないでしょう。ですが一般庶民からすれば銅貨三枚も奪われたのですが。貴方は咎める必要は無いと仰るか?」
「その咎める行為が死亡ですぞ。やり過ぎだとは思いませんかな」
状況も含めて説明したのだが、馬鹿すぎて話にならんな。理解できる頭がついてないのか?
「全く微塵にも思っていません。此方は武器すら抜いておらずに口論のみ。そこへ武器を抜き放ち、同席した騎士や受付嬢までも殺そうとしてきました。あなたは反撃するなとでも仰りたいのか?」
「テリスト殿の実力は把握しておりますぞ、手加減も可能だったはず。何故殺しましたか?」
「確かに手加減は出来ますが、それは相手の手足が無くなります。さて、生き残るのが良いのか。手足をもがれた上で生き恥晒す方が良いのか。あなたはどちらを選びますか?
もう一つ選択肢がありましたね。武器を持っている腕だけ斬り飛ばすという選択肢もありました。あなたが俺と敵対した場合、どの様に攻撃されたいですか?」
良くて複雑骨折だからな、使用不能になる時点で大差ないだろ、手加減された状態だがお前はどちらを選ぶかね?
「それだけしか選択肢が無いのですか? 気絶させ無力化する事も可能では?」
「気絶うんぬん答える前に答えて頂きたい。今後不自由して生活するのと死ぬのはどちらが良いですか? 簡単な問いでしょ」
「……」
「ほうほう。手加減されるのも嫌、死ぬのも嫌って選択ですか。貴方が攻撃側の当事者だった場合俺は如何すべきでしょうね。貴方の判断だと手加減うんぬんよりそのまま殺されとけっていってるようなものですね。犯罪者に加担するとかあるまじき選択。もうあなたは口を開けなくてよろしい、見苦しすぎる」
「それは良い。気絶させて捕らえる事は出来なかったのか?」
陛下がこれでは駄目だな。お会いした当初より深読み出来ないタイプだったし、状況判断も鈍すぎる。ま、逃げ出すからどうでも良いが。
「一対一なら確実に可能ですよ。しかし今回は大多数だった。お互い連携して攻撃してくるんです。躊躇すれば此方がやられかねないので非常に難しい。時間を掛ければ騎士や受付嬢を攻撃されかねず短期決戦する選択しか取れなかったのです。
そこの方、実戦経験が無いのでしょ。理屈ばかりいってますが実際対応すればどの様な事態になるのか全然理解しておられない、口でいうのは簡単ですけどね。きちんと理解してからいってほしいですね、不愉快だ」
「確かにそうだな。ギルバードとて格下五名相手にしたならば最初の三名程度は斬り捨てねば対応できまいよ。引き締めの件だがどの様な手段を取るなどの具体策はいっていなかったか?」
「その辺りは全くいっておられません。俺に任せてくれの一言でした。そもそも伯爵が原因で裏稼業の者が幅を利かせるようになり治安が低下したと受付嬢より聞いております。そちらの取り締まりを強化しなければならないでしょう」
「ふむ。それでは一時的にでも騎士の増員が必要だな。後程振り分けるとしよう」
「陛下。彼方の状態全て聞いたものと思われます、そろそろ良いでしょう」
そろそろねぇ。さて、何を企んでるのかな。




