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76:帰還途中

 戻りは少し速度を下げる。流石に緊急でも無ければ合流の時間指定も無いからだ。

 それでも曲がりくねった街道沿いでは無く、ショートカットをするのでかなりの時間短縮なのはいうまでもない。三時間も飛行すれば我が家の馬車が目に留まり合流する事が出来た。

 強行しても順当だとして明日の深夜に町に到着する予定だ。当然入れないので一日潰すつもりで即休憩にするのだった。

 本来なら馬車で二日の距離だが中途半端な出立の為に二日半といった所か。あの町に留まるよりは安全だろう。


「結構早かったのね。彼方の様子はどうだったの?」

「かなり不味そうだな。報告を受けたのは陛下と王妃に隊長とローラさんだ、報告が終ると王妃が倒れた」

「お母様が!」

「何処にもぶつけてないよ、倒れる前に支えてソファーに寝かせたから外傷はない。

 それより休憩にするぞ、気を張り詰めっぱなしは良くない。御者さーん、馬車を脇に止めて休憩にするぞ!」


 外にテーブルを出し、椅子を出し、お土産を出し、デキャンター事買って来た飲み物とコップを出しと準備をして全員着席だ。


「んじゃ、好きなのを食べてくれ。それと、このまま野営するぞ。如何急いでも半日はズレるからな」

「確かに町には入れる時間には着かないわね。それにしても本当に用意が良いわね。今食べ過ぎると夕食が入らないわよ」

 とっくに昼越えちゃってるからな、そこはほら、各自責任をもてばいい。

「そこは自己責任だな、遠慮しなくて良いぞ」

 冷え冷えのコーヒーもどきをコップに注ぎ、プリンの乗った例のでっかいパフェを食べ始めるのだった。


「それで、どんな対応を取るって?」

「三十人分乗せられる護送車を準備して迎えに来るってさ。隊長が直々に来るんじゃないかな、何せ相手が殿下だし。戻ったらすぐ王城に伺うからと伝えてあるよ」

「でも、なぜあんな凶行に走ったのかしらね」

「俺のかじ取りが無理だと判断した。若しくは危険視した。それなら強大になる前にさっさと排除したいと考えたんだろうな。

 長期休暇で来る確率が高いから罠に嵌めやすい。ついでに親もおらず事を準備しやすい。考えられるのはこの程度だね」

「いっては悪いですが馬鹿ですわね。カーラがお嫁さんになる時点で相当な事をしない限りテリストは敵に回りませんわよ。あれほど貢献したテリストを殺そうとするとか、あり得ませんわ」

「わかったからそれで止めておけ」


 実の兄を酷評してはカーラの立場が無いだろ。

 本人の責任なのだが、それでカーラが嫌な思いになるのは家族だから。俺への贖罪もからも何もいえず板挟み、この場で一番つらいのはカーラだな。その点俺はお気楽だが。


「そうですわね、申し訳ありませんわ」

「カーラが気に病む事はないさ、どう頑張ろうと今回の件はカーラでは止められなかった。

 そもそも親元を離れた直後にこれだ、防ぎようがない。

 そうそう、スーシーの防具を買っといた。俺のだけミスリルで補強されてるから着にくいからな、こっちの方が着やすいだろう。

 マントは買ってきてない、戻り次第に好みに合うのを買ってくれればいい」

「ありがとうございます旦那様」

「スーシーもその癖中々治らないわね」


 長年メイドしてたら癖にもなってるよな。徐々に慣れてくれればそれでいい。


「もうこの際嫁扱いするんでよろしく。婚約者だの嫁さん予定だの変ないい方ばっかりで面倒だから、統一するわ」

「カーラの対面さえ崩さなければそれで良いんじゃないの。テリに任せるわ」

「任されます。あ、そう言えば、スーシーの服が間に合わなかったか」

 五着のオーダーが駄目になってしまったな。

「昨日今日で当然でしょ。服も防具の様に作れたら楽なのにね」


 そりゃいかんだろ、その服着てうろうろ散策できるのならして見れくれ。


「アリサ。お前も抜けてるな」

「何がよ。もっとこう、言葉を選びなさいよ」

「もちっと頭を使え、服が防具の様に全て体の線に沿って張り付くんだぞ。そんなの着て街中をうろついてみろ、視線集中するだろうな、その胸に」

「ぐっ、それもそうね。その点を考えていなかったわ」

「発想は良いんだけどね、フリーサイズでも体に張り付かず普通に着れるのを開発出来たら相当に儲けられるよな」

「魔術の改良よねそれ、研究者が無理なのに一般の人では到底無理よ」


 勇者でその手の固定スキル持ちなら可能ではあるんだよね。


「可能性があるとしたら魔術創造系の固定スキル持ちがいれば可能ではあるな」

「それって勇者って事よね。付与魔法も覚えなきゃいけないし、不可能じゃないの?」

「どうだろうね。それこそ戦争とかに利用されず、平和な方に貢献できて有用な力の使い方だよな」

「帝国の話題はいいわ。今更だもの」

「そりゃそうだ。夕食食べた後にスーシーの属性鑑定を済ませようか。それと防具の着付けを頼む、後は各自寛いでくれ」

「それなら大型テントを出しなさいよ、直射日光は堪えるわ」


 そうだな。という事で、なるべく平らな場所を選定して設置した。

 取り出して周囲に杭を打ち、紐を引っ張り結ぶだけ。

 それだけだと日中は流石に蒸し風呂コースになる。そこで付与魔法の出番だ。

 ゴブリンのドロップ品である錆びたナイフを取り出して【エターナルエンチャント/アイスブレードLv1】を付与して、以前馬用の飲み水入れに使った樽に水を八割がた生活魔法で満たし、先ほど付与したナイフを放り込むとあら不思議、ガッチガチに氷の張った自動冷却器の完成だ。

 これを同じく三つばかり作成して中に放り込んでおく。

 後は生活魔法で微風を吹かせて循環させれば完成だ。MP消費も微々たるものでMP回復の方が上だ。永久でも使えるので、今度の冬場は暖房もこの手で行いうか?

 中にベッドも配置してゴロゴロするのだった。

 頃合いで夕食を済ませた後にスーシーの属性を調べた結果、風と氷と雷だった。惜しいな、回復が使えないか。今日は初スーシー抱き枕だ、窒息死したのはいうまでもない、では終わらない。


 三日目のお昼ごろ町に到着した俺たち、馬車すら管理してくれる宿屋に馬車を預けて観光へと繰り出す。

 王都まで三日の距離では全然というほど売っている品に代わり映えはしない。それより圧倒的に少ない品ぞろえで劣化でしかなかった。

 夕方。どうやら隊長たちが到着したようで、目敏く俺たちの馬車を発見した彼は俺たちの部屋へとやって来たのだった。


「突然の訪問で申し訳ありませんなカーラ様。何処かですれ違うと思ておりましたが此方にお出でとは」

「カーライルお兄様がご迷惑を、申し訳ありません」

「いえいえ、カーラ様の責任ではありません。監督不足だった事も否めません。もっと高位の者をお傍に使わすべきでした」

「結局判断はどうなるんだ? カーライル殿下の扱いは」

「……良くて幽閉か悪くて処刑か。どちらの選択かになるとは予想してる。何故事を起こしたのか理由を聞き出したか?」

「牢に放り込んだ後は接触していない。管理も全て丸投げしてあるからわからないとしかいいようがない」

「それは助かる。無理に聞き出したとなれば例え罪人とはいえ王族だ。無碍に扱ったとして糾弾されかねんからな」


 あの、それをいわれたら右手を負傷させてますが……。


「扱いがどうのというなら、殴りかかって来たから右手の拳は潰しちゃったぞ」

「其方は大丈夫だ。罪状も全てわかるように証拠が揃っている。後から暴行を受けましたと嘘を付かれようと説得力の部分で無視されるからな。そもそも捕らえる際に負傷させましたで終わる」

「なるほど、そっちは良いのか。それより魔物ハンターギルドの締め付けをしてきてくれないか、あれは相当に腐ってる」

「どういう事だ?」

「俺の活動の一環でギルド内で食事をしようとしたが、椅子に座る瞬間に殴り飛ばされた。

 当然反撃して意識を刈り取ったのだがな。先に手を出したそいつは咎められずに俺が悪者扱いされ決闘にまで発展した。

 それが終わって食堂で注文したら、銅貨五枚支払ったのに二枚分の料理しか出してこなかった。本当の量か受付嬢に聞いたが量が少ないと判断された。

 抗議に受付嬢と向かったら俺のマジックバッグを盗もうとして別の奴がクインに捕まってる。

 料理出した奴は銅貨二枚しか受け取てないといい出して、それに便乗して周りの連中が嘘を言い出して殺し合いに発展した。おかげで三十人近くは殺したぞ」


 おかげで余計な手間が掛かたからな。


「テリ。そんな事聞いてないわよ」

「今回の件に関係ない部分は伏せてた。そんな訳で常識とはかけ離れた連中が幅を利かせてる。可能ならマスターを首にしてもっと威厳のやる奴を頭に据えてほしい」

「抗議はしておくが、交代は無理だ。彼方は独立した組織だからな、いわば対等でもあるからな」

 騎士が対応無理ってのなら伯爵として締めて来るか、どうせ逃げ出す国だから少々暴れても問題ない。


「ふむ。帰るまで俺たちにはあと三日あるな、俺が単独で行って締めて来るわ。今度は堂々と伯爵としてな」

「わかった。わかったからテリストは動くな。お前が動くと死人が出かねん」

「そんな事をいってるけどさ、不要なほど腐ってるなら首のすげ替えも簡単になるからお手軽だぞ」

「アレサリア。テリストは何時もこうなのか?」

「何時もではありませんよ。特に命が掛かった場合は相手に容赦しないのは出会った頃から変わってませんが、テリから仕掛けた事は一度としてありませんから。これまで全て、相手からの嫌がらせから発展してます」


 当然だな、俺が仕掛ける事は無い。全部相手が発端だよ。


「こっちから決闘するように嫌がらせしてたらそれこそ俺が悪者だろうに。そんな事しないよ」

「まあいい。これから行く俺たちに任せてくれ。陛下にお会いしたら数日伸びるかも知れない事を伝えてくれるか」

「了解」

「それでは皆さん、帰還するまでお気をつけて」


 こうして隊長は宿を後にしたのだった。

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