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74:翌日

 夜更かしした為か日が完全に上り、遅い時間に起床するも疲れは抜け切れずに気怠い朝を迎えていた。

 身支度を整え、一階の食堂で食べようとしたのだが朝食の時間は既に過ぎた後で後の祭り。

 部屋に戻って例の食事を取り出して食べたのだった。


「ちょっと皆に確認したんだけど良いかな?」


 昨日から考えていた事を伝える事にした。


「何をですの?」

「俺はこの国を出るぞ。ついて来るか、それとも残るか、どちらが良い?」

「テリ。どうしたのよ急に」

「テリクン。なぜそのような考えになるのでしょうか。出なくてもよくありませんか?」

「下手に残ってると命を狙われるだろ。今回は俺が対象で直接来たが、周りから人質を取ろうとされた場合、嫁さんを狙われかねない。

 それにだ。王家が敵対者となって命を狙って来たことが大きい。

 確かに貴族相手なら色々やらかして来たが、王家に対しては恩しか売って無いと断言できる。

 たぶんだが、俺の力を危険視したんだろうな。今回は騎士が相手になっていない分楽だったが、物量で来られると流石に守り切れる自信がない」


 数千程度なら今でも相手に出来ると思うが、流石に騎士が万単位で来られた場合には守れる自信が無い。

 なぜ万単位で来る可能性があるのか。罪を犯した長男だが、なぜこの様な愚行に走ったのか、そこへ至る考えに陛下が賛同でもすれば俺の功績がいくらあろうと一転して国賊へとなり下がる。

 貴族の大半が俺の激情ぶりを知っている事から早々に排除したが良いと賛同する者もでる可能性がある。

 獣王国内にいては人質の為に嫁さん狙う奴がいるとも限らない。

 こんな事いったが最悪のシナリオの場合だ。賢明なトップなら長男を切り捨てて俺を匿うはず。だが、周りが何を吹き込むかわからないので傾く可能性がある。なんせ長男の命を天秤に掛ける事が可能な状態だからだ。

 今回ばかりは国が敵対しても可笑しくない、だからその前に出る算段を付けておきたい。


「テリはあの頃いってたわよね、敵対したいならいくらでも相手にして潰してやるって。あの自信はどうしたの?」

「確かに貴族が相手なら騎士は動かないから揃えられる戦力には限りがある。数百人規模程度ならどうとでもなるよ。

 だけど今回は違う、殿下の立場なら騎士を先導して直接俺と敵対も可能だった。

 その手を使われていたら俺も守り切れていたのかわからん。

 奥の手を使えば確かに万単位でも相手には出来るが町が壊滅する。その手はおいそれと使えないだろ、敵対国でもない限りその手は禁じ手だからな」

「確かにその通りではありますが、国を出る。ですか……国を出て解決する問題でしょうか」

「実力を隠して生活するしかないだろうな、そうじゃないと確実に二の舞を演じる」

「テリにそれは無理なんじゃないの? 向かって来る相手は蹴散らすわよね」


 それをいわれると弱いんだよな。だけど実力以前の問題だよなそれって。


「それなら逆に聞くけど、アリサは力があるのにやられっぱなしで放置するか?」

「……対抗するわね」

『主が何処へなりと向かおうとも、わらわはついて行くだけじゃぞ』

「私もそうです。受け入れて下さった旦那様について行きます」

「それをいうなら私もこの国から出たくないとは考えてないわよ、国外逃亡が可能か視野に入れて考えていた時期もあったから」

「ただ、カーラとココアが問題だよな。特にカーラが」

「テリクン、舐めてもらっては困ります。わたくしはテリクンを支えるとあの場で決めましたもの、当然ついて行きますわよ」

「わたくしだけ仲間外れは宜しくないですわよ。当然お付き合いしますとも。それで、行先は何処ですの?」


 クインとスーシーの意見に引っ張られる感じではあるが決断してくれたか。アリサも命を狙われていた事から国外逃亡が安全だと思って計画はしてたんだな。

 騎士に追われず国外脱出可能なら良いのだが、陛下の考え一つでひっくり返るにしても勝率としては五分五分じゃなくて若干こっちが不利だろうな。

 しかし行先か。地理に疎いからわからないんだよなぁ。


「この国と完全に敵対してる国は避けたいな、それこそ嫌がらせを頻繁に受ける可能性がある。それと同盟国は避けた方が良いだろうな、俺たちの行動を探られる可能性がある」

「当然ですわね。それなら東の共和国がよろしいかしらね」

「そう思うだろ、だから一番力をいれて探索するのは中立国だ。よって、同盟国へ向かう。

 そもそも見つかろうと相手は何も出来ないからな。同盟国であろうと勝手に探索などしてみろ、下手すれば敵対ととられかねん。そもそも実力ある奴なら囲い込もうとするから逆に庇うだろ。皇国アヴァサレスに向かうぞ」

「そこ、中立国ですわよ」


 適当にいったが外れたか、すまないな。


「あれ、そうなの?」

「ダンジョンの事を聞いただけで覚えてたんでしょ」

「うむ。魔人族の国と帝国と獣王国、それと皇国、国といっても四ヵ国しか名前知らないから仕方ないんだよ。西は魔人族の国、南は海、北と東はどうなのさ?」

「テリのいった皇国は南東で暖かい国よね、あまり大きくはないわ」


 それは果物が美味しそうな国だな。


「東はゴールドル共和国ですわね、小さな国の集合体と思えば良いですわ。各国の代表者が集い、合議制で運営されてますわ」

「そして北は例の帝国と隣接してますね。表面上は中立を表明していますが、内心では敵対と考え多くの騎士を国境に配備してます」

「理由を適当にでっち上げて攻める様な屑だからそりゃ警戒するわな。それで、どんな国?」

「彼方も王国ですわね。アークサルト王国、人族中心で他種族には厳しいかもしれませんわ。何か法を犯せば直ぐに奴隷に落とされると聞いてますわね。

 皇国アヴァサレスはエルフの女帝が国のトップですわ。こちらも他の種族を見下す傾向があって、あまり良いとはいえませんわよ。奴隷に落とすようなことは積極的ではありませんが、そもそも接触して来るような事はしませんわ。

 ゴールドル共和国は元々お互いに牽制し合い、これでは発展の妨げとなると一致団結したのですわ。種族の価値観もバラバラなので、町を跨ぐたびにその地の常識を調べないと取り返しがつきませんわね。

 残りの魔人族国はいわずもがなですわね」


 一癖も二癖もある国ばかりだな。アークサルトは奴隷になるリスクが高いとかはっきりいって却下だ。ゴールドルは面倒そうだし巻き込まれた場合を考えると選択肢としてはあまりよろしくない。消去法で悪いが皇国しかないな。彼方からあまり接触して来ないならばトラブル発展もそう多くは無いだろ。

 トラブルに発展しないといえない部分がある、そこは何処へ行っても同じだろうから目をつぶるさ。


「聞く限り共和国は敷居が高そうだな、アークサルトは論外だろ、魔人族の所は獣人族を毛嫌いする奴が多くいそうでトラブル頻発しそうだし、やっぱり皇国かね」

「なら、きまりですね。王都で装備一式を見直します。南の港町から定期便の船に乗り一気に入国致しましょう。詳細はどうしますか?」


 カーライルをそのままって訳にはいかないから隊長にでも身柄確保を頼まないとな。


「俺が単独で王都に戻り報告してくる。その際にスーシーの防具は俺たちのと同じのがあれば購入しておく。後は武器だな、というより盾だ。ミスリス製が都合よく四枚もあるとは思えないからな」

『そもそも特注で作る予定では無かったのかの、主よ』

「そうだったな、数日王都に留まるか。この地は例の代行がいるから丸投げしよう。その事を伝えた後、準備が出来次第に此処を発ってくれ。

 それと代行の者に伝えてくれ。王都から騎士を寄越すから、殿下が何処から金を工面して渡していたのか調べる様にと。渡していたお金と証拠共々陛下に全て渡すから、もしかするとこの地の資金が破綻してるかもしれんからな」

「本来ならテリの仕事よねそれ、丸投げで良いのね?」

「カーラが伝えれば問題無い。それに、最速で王都まで行き報告が可能なのは俺以外にいない。クインでも可能だが、警戒されるからそれは出来ない。俺が適任なんだよ」

「カーライル兄さんをあのままにして置けませんもの、早い事に越したことは有りません。テリクンにお願いします」

「決まりだな。国外脱出の件は誰にも話さない様にな。気が付いた時にはすでにいない。これに限る」

「外装を全員分買っておくわね、王都で購入すると目立つわ。それと戻った際に、屋敷の地下に置いてるオリハルコンとかの物資含めて収納して来て頂戴。いざ出かける際に回収したら変に思われるわよ」

「了解、それじゃ早速行って来る。クイン、皆の護衛を頼んだぞ、歯向かって来たら殺して良い」

『此方は任せるのじゃ、主も気を付けてな』

「では行って来る」


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