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71:食堂

 クインに取り押さえられ気絶してる男性。

 俺のマジックバッグを掴んだまま気絶している。それも顎辺りにザックリと爪の痕に切られた上でだ。

 マジックバッグを盗んだと判断した。この場合は握った段階で無力化したのだろう、相当に手加減したな。

 本来の力そのままに猫パンチを食らわせていたら、下の顎が切り飛ばされてるのは当然だからだ。


「……どうしたのよこれは」

「見たままだと思いますよ。俺が置いて行ったマジックバッグを盗もうとして掴んだ所を気絶させられたんでしょ。爪の痕からしてクインが取り押さえたのかな」

「全く、抗議に来たかと思えばいない間に窃盗ですか。本当にこの町のハンターたちは質が落ちましたね。騎士を呼んできましょう」

「それなら治療室にいるはずですよ、先ほど決闘で腕を一本失った奴がいますからね。たぶん、治療に立ち会ってるはずですよ」

「それには及びません、確かに先ほど此方の方が持ち合わせていたバッグですな、掴んでいる状態で気絶している事から盗もうとしていたのでしょう。皆さんにお聞きしますが、どの様な状況でしたか?」

 来てる事は知っていたが、いう訳にはいかんからな、それらしい事をいった辺りで此方に到着したのだった。


「……」

「見知っておきながらダンマリですか……上に報告を上げておきましょう」

「こいつの事もだけど、銅貨五枚取っておきながら提供された食事の量があからさまに少ないんですよ。こいつ、首にしましょうよ」


 そいつを指さして告げた。


「何を仰っているのでしょうかお客様、私は銅貨二枚しか受け取っていません。人聞きの悪い事はおしゃらないで頂けませんか?」

「そうだ、そいつは銅貨二枚しか払ていない。おっちゃんのいう通りだ」

「そうだそうだ!」


 なるほど。今回の騒動、気に食わん奴がいたら連携してこいつらが襲ってたんじゃないだろうな。


「ふむ、銅貨二枚支払ったのをご確認されたのは何方ですかな? ぜひ挙手をお願いしたい」

 ばっと手を挙げる人ばかり、それも全員だ。

「全員この場から動かない様に、どうも俺たちだけでは手に負えない様だ、応援を呼んで来る」

 なるほど、詐欺に加担した者として拘束すると判断を下したのか。


「いや必要無い。俺が責任を持って運び込むぞ、全員死体にしてだがな。一応いっておくぞ、後悔先に立たず。死んでは悔いれないが死んで詫びろ」

「お待ちくださいテリスト様。確かに腐ってはおりますが死刑にするほどではありません」

「どうせ今回の連続殺人もこいつらの仕業じゃねえの、気に食わん奴がいたら裏で襲って口合わせしておけば証人なぞいないだろ。こいつら全員殺して決着としようや」


 この言葉に相対してる奴らは全員武器を抜いた。わかりやすくていいねぇ。


「いいたい事ばかりいった様だが、貴様は此方の命を奪おうとした、その為仕方なく殺した。騎士と受付嬢も同席していた為巻き込まれ死にました。これでどうよ」

「お、それは良いな。ついでに冥途の土産に教えてやる。俺はテリスト・ファーラル伯爵だ。この国全ての騎士を敵に回したお前らに明日は無い。クイン全高二m、暴れて良いぞ!」


 俺はその場を動かない、証人を殺されたら証明できなくなるからな。

 離れている者はクインに任せて来る者を確実に仕留める。無詠唱のウインドスラッシュをばら撒きながら武器ごと切り裂き此方の被害は傷一つ無し。相手は二十六名か、全員死亡で決着がついた。

 食堂の馬鹿は包丁を投げて来たので掴み取り、逆に投げ返して頭に刺さり死んでいる。


「はぁ、弱りましたな。なんと報告すればいいのやら」

「そのまま伝えろ、腐ったハンターをテリストが処理しましたってな」

「それしか有りませんか、何にせよ応援を呼んでまいります。五十名程度は必要ですかね」

 死体の処理から後片付けまでしなきゃならんから必要かもな。資産をはぎ取る事も必須だし、手間を掛けさせて悪いねぇ。


「決着はついたが何なんだこの腐れ具合、ここのギルドマスターは何をしてる。引き締めが足りないんじゃないのか?」

「それこそ例の伯爵がトップに居たせいで、裏の者との繋がりが強まり、其方方面の者が幅を利かせる様になったためとしかいいようがありません」

「なるほど、あの伯爵の影響なら今回の連続殺人もあながち外れてはいないのか」

「それより、貴方は本当に伯爵様、なの?」


 本当だよと指輪印章を見せた。


「今この地の統治はカーライル殿下が指揮を執ってるが本来はカーラ王女が任されているんだよ。

 今は学業で長期の休みにしか来れないけど、卒業したら来るからよろしくな」

「カーラ様の事は存じておりますが、テリスト伯爵とどう関係があるのでしょうか?」

 確か一部の貴族だけに伝えて今は箝口令が敷かれてあったかな。ちょっといえないか。

「あー そこはだな。一部の貴族を除いて箝口令が敷かれてるから話せない。これで察してくれるとありがたい」

「そうなのですね、お答え頂き有難うございます」


 外にもこちらを伺う存在がいる事だし、どうやら一晩で決着がつきそうだな。何が飛び出して来るかね。

「この場は任せる、食事を済ませたら俺は外の巡回に行って来るよ」

「はい、お任せください」


 仕方なく受付の方へ行き、手持ちの食料を出して食べるのだった。何の為の食堂だよ!

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