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65:新技術?

 学業に復帰した訳ですが、復帰して六日目にうちの御者含む四名が帰還した。

 話を聞く際に同席した訳だが、俺たちがあちらの首都を脱出した翌日には同じく出立したらしい。それも俺が魔物ハンターギルドで少々暴れた為に、情報を聞くに聞けない状態に陥ったのだとか。

 同じ獣人族の為に周囲から警戒されたのだと推測する。

 当然の様に馬車の確保は無理だったらしい。そして国境間の移動が歩きになった為に、馬車なら三日の所が三倍の九日間掛かったのだと。

 情報操作の方だが、必要すら無かったらしい。常時小競り合いしてる状態で国境は緊張状態。その為帝国が怪しいと思われているようだ。

 あまりにも余計な仕事をさせたので白金貨一枚ずつ臨時ボーナスを支払った。そして同じく馬車の発注をしたのである。此方の使いやすい様に特注品でだ。三人掛けのソファーを進行方向へ向けて三つ置けるようにする事、簡単に取り外し可能にする事、以上だ。


 そこから五日間の内に残り三組も帰還して来た。

 遅かったのは王城焼失の事を知らずに、獣王国側とは反対方向へと情報収集に向かった為に距離が遠くなった事が原因だ。王城焼失の連絡を受け、その状況をかんがみて、謁見組が無事であろうと情報収集は困難であろうとの予測から頑張ったのだそうだ。

 情報の裏さえ取れればそれほど時間のかかる任務でもない、単にスタンピートの発生した時期、規模の情報が主で、帝国との小競り合いに関する情報は、基本俺たちにはどうでも良かったのだから。

 結果、スタンピートは本当だったようだ。そして規模の小さいのも入れると計四度。内一度はかなりの規模で死人がかなり多かったらしい、数百人規模で死亡したそうだ。

 そして、何故かヤヨイを連れ帰って来たのだった。王城破壊の際に巻き込み殺したものとばかり思っていたのだが……。

 責任を取らされ、帰国早々に別任務か何かで追い出されたと考えれば辻褄は合うのだが……。

 何でも国境沿いの町で出くわし、帰順するから連れて行ってと頼まれ、判断が出来ないからと一応連れ帰ったらしい。

 国への忠誠を誓わされてまたもや俺の元に預けられる事になった。王城に置いて下さいといったものの、暴れられたら手に負えないから任せるだってさ……。カシナートに頼み俺たちに接近しない仕事を割り振る様にとお願いしている。信用できないからな。不用意に接触して情報を与える訳にはいかないのだ。



 大型連休初日、朝食後の食休み中。


「所で、皆さんに残念なお知らせです」

「何が残念なのですか? テリクン」


 作業が待ってるのだよ、あれの処理が。


「蟻倒した箱がめちゃくちゃ大量にあるのですよ。それと合わせまして蟻の牙やら外殻とか魔石なんて合計すると十万個以上あるわけですがそっちは良いでしょう、とりあえず放置で。

 箱開け、ガッツリしましょうか。軽く二千数百はあると思いますけど」

 三ヵ月少々みっちり狩りまくった成果ですとも。宝箱が異様に多いのは、敵のランクが上がればドロップ率もあがるようで、その為に増えに増えたのです。

「……」


 開けて中身を整理して、そこから適切な商人の元へ持ち込み売却しろとか、手間が恐ろしくかかりそうだよな、考えるだけで嫌だわ。

「はぁ、やぱり嫌ですよねぇ。ちょっと手抜きして狩るようにしますかね……今度から……」

「オリハルコン処かアダマンタイトの宝箱も何個か取れたわよね、そっちの箱だけ空ければ良くないの?」

 開ける技量が無いのだよ、腕もスキルもね。だから不可能なのよ。

「更に更に残念なお知らせです。鍛冶スキルレベルが足りなくて無理でした。今は低いランクの箱から順に開けるしかないのですよ」

「それなら普通に開けたら? そっちのスキルも鍛えられるでしょ?」


 覚えてないのよそもそもね。こっちの開け方を発見したので綺麗にスルーして聞いてませんでした!


「それなら鍛冶スキル鍛えた方がリスクも無くて後から有用なんですよね。罠百%発動しない利点もあってリスク0。でしょ?」

「アラーム程度なら良いけど、流石に毒とか爆発とかは洒落にならないわね。それを考えると選択肢が無い訳ね」

「そんな方法で開けるのはテリクンだけですよ。聞いた事がありませんから」

「うちの私兵も稀にうちの庭で開けてますけども、普通に鍵開けスキルで開けてますわね。鍛冶スキルで開ける人はいませんわよ」


 気が付きそうだけどな? だって、木は兎も角、後は全部鍛冶スキルで粘土扱いだよ。ノーリスクで開けられるんだから、普通はこっち優先しそうだけどな。


「誰も気が付いてないのか、裏技的開封方法か……ちょっと陛下に教えて技術革命でもしますかね、国内限定で、いや、知り合い限定?」

「先に忠告しておくわね、絶対に高ランクの箱は見せない事。ダンジョン内とはいえ、あそこまで強力な魔物を故意に出現させたとか知れ渡ったら問題よ」

 そりゃそうだ。スタンピートの親玉ランクを出して戦ってましたとか怖くていえませんとも。

「わかってるよ。だから午前中しかしなかったんだから。あんな中途半端な階層、学生しか来ないだろうからね。一般で行く人なら一気にもっと下まで行くでしょ」


 こうして技術提供の為に王城へ向かい。とりあえずギルバードさんへの用事という事で彼のいるであろう訓練場へと案内してもらうのだった。


「隊長、お早うございますー」

「お早う。おーテリストか、今日から休みだったな、どこか観光に行くとばかり思ってたぞ」

「行きたいのは行きたいですが、地理が今一つ理解してなくてですね、選択肢が無いといいますか。

 今日はそれを伝えに来たのではないのですよ」

「やけに堅苦しいいい方だが、何かあったか?」


 何かあったって、そんな頻繁に巻き込まれたら体がもちませんよ。


「いえいえ、ダンジョン産の宝箱開けの事ですよ、騎士団でも潜って定期的に狩ったりしてますか?」

「いや、全く行かないな。中には非番の際に潜る者もいるぞ。そっちに用事か?」

「そうじゃなくて箱の開け方を伝授に来たんですよ。罠回避百%成功、失敗しませんですよ」

「なにぃいいいいいい! それは本当か!」


 飛びつかんばかりに俺の両肩を掴み、顔を近づけ過ぎだって!


「ちょ、ちょっとがっつきすぎですって、逃げませんから。教えますから手を放して、ね」

「ふぅ、すまんすまん興奮してしまった。それで、どうやるんだ?」


 鉄の宝箱を二つ取り出してレクチャーしながら一つ開けた。中身は相変わらずショボイが……ポーション一本……。

「鍛冶スキルで金属を変形させながら指を突っ込み、鍵を開けずに下の箱部分と蓋部分を断ち切るんです。そうしたらほら」

 ぱかっと開けた、これ二個目ですハイ。


「欠点は石箱なら開けれますが、木の箱は無理ですね。そっちは横腹でも斬り飛ばして横からでも引っこ抜いて下さいな」

「これは、罠解除も鍵開けスキルも必要無いが……これを広めると技術が廃れそうではあるな」

「高ランクの開けるのが非常に難しいって時に頼めば良いんじゃないですか? 死のリスク負うよりマシですし」

「確かにな。だが、そこまで高ランクが出る様なダンジョンは獣王国に一つしかないからな。ただ、闇雲には広げられんな、陛下と相談しておこう。テリストも来るか?」


 この事でわざわざ会わずとも良いかな。伝えてもらうだけで十分だし、実演する必要のない事だからね。


「伝えていただければ大丈夫ですから。しかし、二ヵ月も何しますかね。観光名所ありませんか?」

「ふむ、観光に向くかどうかはわからんが南方に行けば港町があるぞ。魚貝類が名産だからな、猫人族なら一度は行っておくべきだろ」

「おー、にゃるほど。肉より魚が好きなんですよねぇ、行ってきますかねぇ」

「テリクンそれも良いですが、プレストリアには行かなくて良いんでしょうか?」

 あー、領地か。そっちの事を完全に忘れていたな。行っておくべきだけど方角はどちらかな?

「あ……方角はどっち?」

「真逆だな」


 うっ……最悪だな。ちょこっと寄るって選択肢が無理なのか。テレポートとか無いのかね、瞬間移動が欲しい。


「……魚は寒くなった方が身が締まって美味しいよな?」

「柔らかい方が良いって人もいるから人それぞれだぞ」

「港町には年末に行こう! すみませんが予定変更でプレストリアへ行きますです」

「行先が決まって何よりだが、学校の行事。今後の事は聞いてるか?」


 何かあるのかな? そこ辺り何も説明してなかったよね。


「いえ、全く聞いてないですね。九月一週一日に来いってだけでしょうか」

「なら最悪でも九月一週二日までには戻って来いよ。全生徒、いや魔術のみ選択した者は省かれるがトーナメント戦が開始される。授業の一環でもあるから午前中のみだな。終わるまでトーナメント戦と通常の授業と並行して行われる。

 その後すぐに一年のみで選抜五名を決める模擬戦が行われる。こちらは各学校選抜が終わり次第にコロシアムで勝ち抜きでの総当たり戦が行われる。

「なるほど、一応聞いてはいましたがその時期なんですね。学校選抜には出ないと伝えてますよ、どうなるかわかりませんが」

「貴族は見栄を張る生き物だからな、確実に勝てそうな人材を選ばずに遊ばせるかね。学校としては確実に送り出したい人物と思うが」


 見栄は必要無いから、相手の事を考えなさいよ。相手は最悪だよ。手加減失敗したらどうするのさ。


「それって反則じゃないですか? スタンピートの親玉を相手取る人物を、学生相手に力を振るえって間違ってるでしょうに」

「はぁ、それも相談しておく、決まったら学校長へ通達しておこう」

「んじゃ帰りますかね。クインおいでー」


 箱開けの為に降ろしたクインを抱いて帰るのだった。


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