63:初ダンジョン
学生寮で食事を済ませた俺たちは、と、いかんいかん、お昼ご飯も学生寮ですハイ。
校舎に同じ施設を作るとかお金の無駄、場所の無駄って事で一ヶ所なのですわ。
そんな訳でして、食事を済ませて学生寮出発した俺たちは、指定された場所へと向かうのだった。
そして俺たちに一定期間同行して教えるという男性生徒から声を掛けられたのだ。
「えー、テリスト君、カーラさん、アレサリアさん、ココリアーナさんでいいかな?」
「はいそうですが、そういう貴方は?」
「五年のアストラルです。今から一定期間、君たちに付き添う教師役になります。何分全ての組に教員が付けるほど多くないからね」
「なるほど、テリスト・ファーラルです、よろしくお願いします先輩」
俺を皮切りにそれぞれが挨拶を行った。
「さて、少し事情も含めて説明したいと思う。
君たち四人は教師でも敵わないほどの腕の持ち主だと聞いているよ、その為全員をばらけさせて配属する予定だったのだけど、君たちの特殊な事情からそれは見送られた。
そして本来なら最少人数である五名で活動してもらうのが通常だけれど、君たちの実力から四人でも構わないと判断されたので一名少ない、その分他の班が増えた形だね、ここまでが事情ね。
それで今からダンジョンへ行く訳だけど当然魔物がいる。通常通りの刃引きされていない武器を一応は準備されているが、君たちには不要そうだね」
ココアまで異端児ぽい扱いになったのか。ま、あの岩石魔術を使ってるからなぁ、あれはLv五で使用可能になる魔術だし。
装備は常日頃からフル装備で生活してますからね、授業中であろうとも使わないだけですから。
「いつ戦闘になっても良い様に常に装備してますので大丈夫です」
「それなら大丈夫だね、場所はここから歩いて四十分ほどの位置にあるダンジョン。初心者用だから上の階層にはあまり罠が無いんだ。そこで、確実にある五階層に行く事になる。それでも魔物のレベル五程度だから安心してほしい。それじゃ移動するよ」
方角的には北北東かな。結構頻繁に通る様で、草原にも関わらず歩いた場所が踏み固められ草も生えておらず道に迷う事も無い。
通常ここら辺はウルフがいるはずだが、周囲一帯には見当たらず、何事も無く到着する。
周囲は当然草原なので草だらけの中に地面にぽっかりと穴が開き、下へ続く階段が見て取れた。
そして五階層といっていたので一階層毎に攻略して進むのかと思えばそうでは無かった。
最下層までずっと階段が続いているそうで、階層毎に横穴の様に道があったのだ。そして現在の階層がわかるようにと壁に数字が彫り込まれていたのだった。
「さて、ここからが本番だよ、今回は僕が先頭を務める。後は君たちで隊列を組んでくれるかい」
「そうですね、俺とアリサで二番手を、その後ろにカーラとココア、クインおいで。
体長一mで四人の中央に」
『うにゃぁん』
「話には聞いていたけど、その子がスタンピートで活躍したクインか、それじゃ出発するよ」
来る敵来る敵弱すぎです……もうちょっとこう、速度のある敵がほしい。今回は魔物退治では無いので我慢我慢なのだ。
そしておもむろにアストラルが止まった。
「ここの少し先に罠がある。そうだね、目印としては地面に線で囲われたような跡があるのがわかるかい?」
うーむ、本当にうっすらだな、地面とにらめっこしながら進まないと発見できないレベルだ。
ダンジョンの構成を説明していなかったが石材か金属か良くわからない。その中間とでもいうのか、試しに最初、剣の柄で叩いたら結構な甲高い音が響いた。
当然の様に怒られた。魔物が寄って来るからと。
そしてついでといわんばかりに魔物について説明された。フィールドの魔物と違い、アイテムドロップに宝箱が含まれるようになる。材質は下から木、石、鉄、鋼鉄、銀、金、ダマスカス、白金、ミスリル、オリハルコン、アダマンタイトと高価になり、大きさも比例して大きくなると。当然中身も良くなるが、施されている罠も段違いに強力になると。可能なら地上に持ち帰り、外で開封する方が安全との事だった。
「わかりましたが、これは下にばかり注意してないと発見できませんね」
「そこは、スキルを習得したら発見しやすくなるんだよ。そして注意が必要なのは何も地面だけじゃないんだ。
休息に壁にもたれかかったら罠が発動した、という事もありうるから不用意に壁を触れない様にね。
中には罠もあるけど隠し部屋の場合もあるんだ。だけど不用意に開けると段違いに強い魔物がいる場合があるんだよ。そこには必ずといっていいほど宝箱がある。俗にいう宝物のガーディアンだね」
なるほど、隠し通路探検ツアーするのも面白そうだな。
初心者用といってる辺り、五階層毎に下へ潜れば良いだろ。どうも階層=魔物のレベルらしいから、八十階層へ行ってもレベル八十だ。
初心者用でそこまで深いとは思えないが。
「罠の感知に関してはわかりましたが、隠し部屋との違いは何かありますか?」
「そこは魔物も出入り出来ないと侵入者を襲えないだろ。同じ階層の魔物が出入り可能な大きさである事、これしか判断基準が無いね。後は遠距離からそれ相応の攻撃を加えて罠発動覚悟で確かめるしかないね」
確認は力業かよ、もう少し手は無いのかね。
「ふむふむ、それで先輩、あの地面の罠の種類までわかりますか?」
「それはわからないよ、ある意味、発動させてのお楽しみといった所か、そんな事させないけどね」
そりゃそうか、穴が開く程度なら良いが、魔物の無限沸きとか毒ガス放出とかだったら目も当てられないだろうしね。
「では、スキル取得は自力で罠を探せ、で良いのですか?」
「違う違う、僕が粗方の場所を教えるから後は自分たちで探すんだ。後は回数をこなすだけだね」
こう言ってるが、全員がこの一回で習得した。なんせ五十倍以上に熟練度も積み上がりますので、一回で五十ヵ所見つけたようなものなのだ。そして次に移動しながらも話しかける。
「ここって一般の方も入り込んでますか?」
「学校専用の施設じゃないからね、当然だよ。だけど本格的に攻略するような人はここには来ないね。
知ってると思うけど迷宮の町と呼ばれてるカサリムに向かうのさ。
そこもクリアした人はさらに難易度の高いダンジョンのある国。近場だと隣国の皇国アヴァサレスに向かうね」
「ストップです先輩。罠ですよ」
そんな場所があるならそっちに遊びにも行きたかったな。だけどこの身分では行けるかどうかも怪しいか。残念過ぎる。
しかしこの罠、辺り一面ではないが数ヵ所まばらに。それも足一つ分程度のがある。踏んで別の場所に設置してある罠が発動って所かな。
「本当だね、もう覚えたのかい?」
「どうでしょう、地面とにらめっこしてたら見つけられましたから、帰って鑑定してみます」
「このタイプは特に厄介だね、発動場所が遠い場合があるんだよ、それに気が付かず進んだら罠にはまりましたとかね」
「なるほど、しっかし敵が弱すぎて話になりませんね、数を倒して宝箱をぽろっと出してもいいですかね?」
「無理に呼ぶのかい? あまりお勧めしないけど中にはする人もいるよ。ただし、他にも入り込んでる人がいればその人が襲われるかもしれない。その場合。下手すると犯罪者だよ」
「あー、魔物の擦り付けですか……」
「そういう事だね。そんな訳で次に行くよ、踏まない様にね」
こうして順調に攻略が進み、この日宝箱はドロップしないのだった。
箱の開け方、罠の外し方は、実際にドロップしないと教えられないとの事。他の班がかなり多く確保したとしても、熟練度は各自必要なので分けてあげる人はいないとの事だった。




