62:弟子?
ココアが我が家で生活するようになり早一日、単に翌日ともいう。
今日のお昼はスイーツ食べ放題へとやって来ました。単に俺がおごりますから腹いっぱい食べましょうって事なだけですが。
甘い物が好きな俺としては一月丸々近くも抜くのは少々ストレスが溜まる訳でして、今日は纏め食いしようかなと、そんな単純な理由なのですわ。
そして俺たちのテーブルには端から端までと全部頼んだスイーツが並ぶ、常温でも大丈夫な品が全部と、冷えてないと駄目なの、温かくなくては駄目なのが少しずつ並べられている。
店側の配慮って奴ですね。温かくなったら美味しくない、冷えたら美味しくないのはお早めにと注意されて配膳される、それらが減れば追加されるといった具合に気が利いてるなこのお店。
「ちょっと、食べきれないかもしれませんわね……」
「俺はまだまだ大丈夫だな、しかしうまいよなこの店の、久しぶりだから尚更うまいわ」
「ココリア様は小食なのですね、それでは育ちませんよ」
↑このコメントはスイカ抱えてるスーシーだ。
「そこまで育てなくても良いですわよ、それよりも形ですわ!」
「あのねココア、頼むから店の中で胸を自分で揉むのはどうなのよ、目線を集めてるぞ」
「テリストにはいわれたくありませんわよ、昨日の事を思い出してごらんなさい」
まぁ、リハビリでは無いが、容赦なく堪能させて頂きましたが……。
「んじゃ店の中で「はいストップ。テリ、それ以上いうと追い出すわよ」」
店の中でしてみるか、といいたかったのだが遮られた、感ずいたのか。
「あい」
「明日から学校に行くのよね、午前中の授業だけど、私たちが教師になった気分よ、どうにかならないのかな」
「なら別の武器でも使ったら? ド素人の状態から学べるよ」
「嫌よ、せっかく上達したのに武器を変えるとかあり得ない」
「それなら許可をもらってるんだからさ、一番強そうな六年の所に殴り込みに行くか、少しは歯ごたえあるんじゃね?」
「無いわね。あの教師陣でしょ、それより強い人ってどう考えてもいないわ、テリと模擬戦した方が訓練になるわ」
教師より強くなるには学校以外での鍛錬も必要そうか。
そう考えるとやっぱり相手になるのっていなさそうだな。
「それはそれで俺の神経削れるんだよなぁ、下手に突っ込むと指を切り飛ばしそうだし」
「はぁ、やっぱりその位のレベルなのね」
「その位の位が学生レベルからとっくに飛びぬけてるんだけどね。それよりダンジョンだよ、いい加減罠感知とか覚えて実戦に行きたい」
「そろそろ実地訓練に行ってる頃合いかもしれませんね」
もしかしなくても座学って終ってるぽい? まぁ一月以上は行ってないからな、当然かもしれないな。
「え……やっぱり行かない方が……」
「済んだ事よ諦めなさい」
「そうだけどさぁ、この一月ほどの時間の差は大きいよねぇ」
「講義は受けられないかもしれませんが、要点をまとめた資料を見せて頂けると思いますよ」
「それなら良いんだけどねぇ、それよりこれ、似てるなぁ、昔飲んでたのにそっくり、味だけは」
見た目コーヒーだが香りは甘ったるくバニラエセンスでも配合してそうだけど、味は苦いだけ、砂糖入れたらこの歪なのも少しはマシになるかねぇ。
「甘いデザートには合いますわよねそれ、口の中をリセットするのに最高ですわよ」
口はリセットしてくれそうだけど、鼻はおかしくなりそうだよねこれ。
「だね、クインもじゃんじゃん食べなさい、普段食べないんだからガッツリとね」
別途スプーンを借りて、膝に乗っているクインに食べせているのだった。
翌日。学校に登校するとココアが女性たちに囲まれ、俺との関係を根掘り葉掘りと聞かれる。
男性たちは近寄って来る事も無く、俺に対してはほぼ全員が睨みつけて来ている。
例の馬鹿やらかした奴と同じ事になってるのかも……と思うテリストであった。
きっとココアと同じように俺に求婚をとか考えて、他の男性からのアプローチを悉く断ってるものと考えられる。
そして武器を使った訓練へと移るが、睨みつけていた奴らはといえば、この場限りは睨みつけず我感ぜずを貫いている。
簡単にいえば無視である。いないものとして扱うと、対戦すれば瞬殺ですからそれはそれで面倒では無いのですが、普段もスルーしてくれた方が良いですな、煩わしく無くて。
ちと脅してみるか。
「そこの俺を無視してる連中、教室では睨んできてたがここではそんな態度しか取れんのか? 鍛えてやるから手を上げろ、昼までみっちりしごいてやるぞ」
「……」
「そうかそうか、良くわかった、今度あの目で見てきたら有無をいわせずしごいてやる。覚悟しておけよ」
「テリ、脅すのはそれ位にしておきなさい、他の学年の授業に参加するわよ」
それもそうだな。ここにいても暇だし。
「はーい」
順に見て行く事にしたのだった。
二学年の場所へ行くと結構鋭い攻撃をしている者がちらほらといる。
その中の一人、大振りをせずコンパクトにかつ隙を与えない戦い方、堅実なスタイルのため負傷もし難い、魔物ハンターとして活動するなら活躍するタイプだな。
次は三学年の場所へ行ったのだが、不愉快な奴が紛れ込んでいた。
訓練するふりをした三組で数人の教師から見れなくする為に体で視線を塞いでいたのだった。
女生徒に片手剣を持たせて正眼に構えさせ、一方的にその剣に叩きつけているだけ、聞こえはそうでも無いが相当に危ない。
手を放そうものなら体に直撃コース、その為死に物狂いで目に涙を溜めながらも耐えているのだった。
「ほう、馬鹿がいるもんだな、ちょっくらしごいて来るわ」
「ほどほどにね、いってらっしゃいテリ」
縮地で女生徒の横に瞬時に接近し、持っている剣の柄に手を添えて手伝ってやる。
完全に相手の攻撃を受け止め、逆に押し返し、隙を突いて鳩尾に突き入れてやったのだ。
「グボッ! ぐっ、き、貴様、何をしやがる」
「この子じゃ相手にならんだろ。これからお前が卒業するまで、俺がみっり鍛えてやるよ、光栄に思え」
「片腕のクソガキが、よく吠えたな、徹底的に痛めつけて吠えずら掻かせてやる」
「それは面白そうだな。是非ご教授願いたい、後ろに下がってるんだ」
当然刃引きされた武器なんて持ち合わせていないので予備のソードブレイカーを相手に投げ渡した。
「ショートソードサイズで悪いが使えるか?」
「へ、お前自ら死にたがるとはな、遠慮なく殺してやる」
「はいはい、掛かって来い」
腰に差している同じショードブレイカーを引き抜くのだった。
単に力任せで剣筋も定まらず、刃をきちんと振る方向へ向けられず、大振りなために隙だらけ、これはあかんタイプだな、下手過ぎてあくびが出る。
「もっと本気で来い! これじゃリザゲートすら倒せんぞ、剣を力任せに振るな、威力のみに重点を置くな、速さ重視にして大振りは止めろ」
ダメな所を矯正する為にバシバシ叩いて剣の振り方の型を強引に直していく。
叩くたびに呻いているが手加減は無用だ。本来なら手取り足取り口取りしたい所だが、馬鹿相手ならこれで十分てな。
「うむ、少しは良くなったな。立ち姿からして駄目なんだよ、きちんと重心を下げてブレるな、振るたびにずれてたら直ぐに体勢を崩すぞ」
とうとう修正する為に叩いた所で崩れ落ち、お開きとなった。
「確か三年だったな」
「そ、そうです……」
「お前、基本姿勢から修正しなきゃ今後役に立たん、一年の所で勉強しなおせ、良いか!」
「はっ、はい!」
「それはとりあえず置いとこうか、お前のしてた事は命に関わる、わかって無いとはいわせんぞ、このまま騎士に拘束されるか? それとも自首するか、下手な事いうと牢にぶち込むぞ」
その言葉に遠ざかる三組の六人。
「逃げるなボケ! お前ら六人も同罪だ。嫌ならここで決着付けるか? 俺が相手になるぞ」
「何を騒いでる! こ、これはファーラル伯爵、どうかなさいましたかな?」
おや。丁度良い所に教師が来たか、これなら話が通しやすいな。
「さて、俺に説明させるか自ら話すか、好きな方を選べ」
「ファーラル……伯爵、様……も、勿論自分で説明いたします!」
やっと立てると言った感じにプルプル震えながらも立ちあがり自らの自供をしたのだが、その言葉の内容に教師の顔が赤くなり激怒、視線を遮っていた者共々学校へ連れて行かれるのだった。
「あ、あの、ありがとうございました、ファーラル様」
「無事でよかった。あのままじゃ本当に危なかったからな。それで聞きたいんだが、武器を持った戦闘訓練を出来そうか?」
「あの、苦手です。ですから、その……」
「それなら簡単だな、魔術の方に転向したらいい」
「そ、その、其方の勉強をしたかったのですが。彼らの妨害で一年の時から受講してないので、転向してもついて行ける自信が……」
あいつらと来たら、二年以上もこんな馬鹿な事を繰り返してたのか、牢屋行き決定だな。
「なるほど、属性診断から受ける必要があるんだな。アリサ、俺の代わりに教えてくれ」
「テリ、途中で止めないで最後まで面倒を見なさい!」
むー婚約者増えるとか嫌だからアリサに投げたかったのだが……仕方ないか。
「あい」
そして、婚約者+猫一匹に見守られる中、マンツーマンの指導が始まるのだった。
各属性を一回ずつ詠唱させて適正属性を特定、氷属性のみだった。
そこからひたすらアロー系を発動させるのだった。
理由は簡単。先ずはスキルレベルを短時間で上げる為にMPを有効利用する事、そして詠唱短縮習得から無詠唱まで昇華させる為だ。
そして魔力強化、魔力感知、MP自動回復、魔力操作、このセットを覚えたら基本は出来た事になる。
後はルーチンワークなので属性魔術スキルが三になるまで頑張る様にと、そこまで上がったら普通に魔術の授業に出る様にと教えて午前中は終了したのだった。
そして授業が終わり昼食に向かう時に、ダンジョン斥候を選んでいますね、既に実地で学習へとなっておりますので、昼食が済みましたら、外壁を出て直ぐ左手側にお集まりくださいと教師から教えられたのだ。




