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61:帰還

 帰りの旅も順調だ。何せ一日分短縮させて十二日で帰って来たのだから。

 魔人族の国の端の町は王都を出て三つ目だ。そこまでは馬車での移動だったが、国境を超える馬車がない為にクインに本来の大きさになってもらい三人を乗せたのだ。俺は単独で走って移動する。

 ただね、やっぱりといいますか、結構な上下動するので下手したら自力で走る方が楽だったかもとは後になって思いました。

 四つ目の町は獣王国側なのでそこから馬車での旅となり、まったりと過ごして獣王国王都ガーラルドへ戻って来たのだった。

 そして王城へ、行く前に屋敷に戻り帰還の報告を済ませて王城へと向かうのだった。


「ま、まさかカーラ王女にテリスト様、アレサリア殿! お戻りになられたのですね! 直ぐに陛下へお伝えしてまいります、しばらくお待ちを!」

 それほど離れているわけでは無いが、常に用意されている馬に乗り、全力で向かったかと思えば二十分も掛からずギルバードを伴って来たのだった。

「カーラ様! テリストにアレサリア殿! さあ、陛下がお待ちです。先ずは御帰還の挨拶を」

 伯爵本人を敬称無しで良いのかね? 俺はどっちでも良いけども。周りからはどうみられるのやら……。


「慌てなさんなって、逃げる訳じゃないんだからさ、それで、こっちは大丈夫だった? スタンピートとか」

「大丈夫だ、発生していない。それにしても早かったな、テリストたちが一番早い帰還だぞ、だが一緒に行った御者と謁見組の二人はどうした?」

「それはあちらでドラブルに巻き込まれて別れたんだ。後は陛下のもとで話そうか。それは良いけど、信用できる人だけを集めて、そうしないと相当に不味い」

「何かあったな……」

「ギルバードさん、此処では話せないわ、わかるわね?」

「少し急ごうか」


 そして案内された先で待っていた人は陛下の家族、ココアの父親、ローズ、当然案内者のギルバードといった面々であった。


「無事の帰還大義であったぞファーラル卿、カーラ、アレサリア、ココリアーナも無事で何よりだ、しかし予定はもっと先だと思っていたが、いったいどうしたのだ?」

「まずは結論からいいましょう、魔人族の国ジアラハルトとは敵対しました」


 では早速爆弾の投下をしますかね。


「……詳しく話せ」

「到着早々に部屋を宛がわれました。我々に配慮し両隣の部屋は無人であるとメイドはいい、当然その為に部屋への出入りに関して監視も行っていると。

 ですが嘘でした。その両隣には此方の監視員を数名配置、監視された部屋へ案内された訳です。

 メイドのいる前で壁越しに攻撃を仕掛けまして、証拠を提示しました。メイドは飛び出して使者を連れて来ました。

 謝罪はされましたがどう始末をつけるのかと問い詰めましても返事は出来ず、王に伝える様にいいつけまして、此方は戦闘準備を行った上で城門前へ移動。

 あちらは完全武装で男の勇者一名と完全武装の騎士二十名が現れ、謝罪処かヤヨイを捕らえた事を罵倒、そのまま戦闘へ移行しました。

 此処までで、不明な点ありますでしょうか?」

「戦闘へ移行した経緯はわかった、だが、男の勇者とは確認できたのか?」

「名前は聞きませんでしたが見た目で直ぐに判別可能です。そもそも当人が自ら勇者と名乗っておりました。その者の遺体も確保済みです、ご覧になりたいのであれば後程お見せしましょう」

「それならば疑いようが無いな、後程確認しよう。その後はどうなったのだ?」

「特殊な混合魔術を放ちまして、相手の城をほぼ完全に潰しました。もしかすると犯人が誰であるか把握していないかもしれません」

「城を潰した? 本当なのかカーラ」

「トルネードと火の混合魔術です。王城中央部のほとんどが溶け落ちました。残りの部分を完全解体しなければ建てる事さえ不可能でしょう。あれでは生きている方はいないでしょう」


 溶けちゃって中央の大部分が奇麗さっぱり持って行かれたからな、熱の逃げ場が無い以上蒸し焼きコースだろうし、生きてたら奇跡だな。


「それほどの威力か、戦争の状態に陥った事はわかったが……どうしたものか」

「補足しますと、我々と行動を共にするはずだった四名とは現地でわかれております。彼らには帝国が仕掛けた、そういう風に情報操作をする様にと伝えてありますので、我々よりだいぶ帰還が遅いかと思います。

 特に国境沿いの町から町への移動がかなり時間が掛かるはずです。

 内二名には各自食料を一ヵ月分持たせておりますので、倍に増えても十五日は持ちますので無補給でも帰還できるでしょう。水に至っては馬用も持たせてますので片道分は丸々持ってます」

「承知した時に物資の事をいっておったな、こんな形で役に立つとは。

 そうなると国境間の移動速度次第だが、早く帰還したとしても十日程度は遅いかもしれんな。

 それで、他の情報は無いか?」

「ありません、スタンピートの情報を探ろうと魔物ハンターギルドに行き、食事をしていた所、我々が城を破壊したのだろうと問われました。

 其方は良いのですが、我々を獣扱いし、終いには武器を抜き放ち殺そうとしてきましたのでその場で返り討ちにしました。

 ギルドマスターの部屋へ連行され、理由も確認せずに牢へと入れられそうになり、そこから口論へ、殴りかかって来たので返り討ちに、音を聞いた者たちが此方に非ありと判断、襲い掛かって来ましたのでそれらを排除しましたので情報収集を諦め帰還しました」


 あの時は傑作だったよな、なんといえば良いのか、罪を認めず立場を利用して握りつぶそうと爵位までちらつかせた馬鹿ってのが一番しっくりくる説明か?


「待て待て、少し話を戻せ」

「何処ですか? あちらのギルドマスターを半殺しにしたことが問題ですか?」

「そこじゃない、城を破壊の部分だ」

「あー城を破壊したのは貴様らか、と尋ねる言葉でしたね」

「地元のハンターが犯人を知らぬという事は」

「あちらは把握していないと」

「これは傑作だ。城が完全に機能不全になっておるのなら当然王も死んでるな、そして我々を招き入れた輩もまとめて排除済み。

 更にいうならば城を破壊するとなれば実力的に疑われるのは勇者、そしてそこから連想するのは帝国」


 そういえばそうだな、翌日だから正確な情報は出回って無いと思うが、ハンターならそこらの情報収集を怠らないだろうしな。

 そんな意味では擦り付けるまでも無く帝国の仕業になりそうだな。


「いずれにせよ様子見で良さそうですね」

「だが、帝国がかなり有利な展開になる事が唯一の失敗か」

「友好国や同盟国に帝国と敵対してる国は無いのですか? あれば俺が行ってきましょうか、今回と同じく城を潰せば機能不全まで持って行けると思いますが」

「無いな、警戒は当然しているが不可侵条約を締結で収まっている。今は現状維持で済ますしかないな」


 いっそこのまま潰した方が後々の為だが、流石に単独侵入は許してくれないよな、主に嫁さんになる二人が、やっぱり諦めるしかないか。


「報告に関しては以上になります」

「ご苦労であった、学校の方は一日程度休んでも問題あるまい、其方への報告は此方で行っておく。帰って休め」

「では、失礼します」


 王城を後にして歩いて帰宅してるのだが。


「馬車を購入しなきゃならなくなったな、御者二人がいないんで買っても馬の面倒を見きれないけども」

「お父様にお願いすれば良かったですね」

「馬は兎も角本体をか、確かにそうだね。学校始まるんで必要無いとはいえ、無いと不便かもな」

「そういう事でしたら我が家の馬車をお貸ししますわよ」

「近日中に使う予定は無いかなぁ、気持ちだけもらっておくよ。それより、ココアは帰らなくて良いの?」

「あら、未来の旦那様の家に向かうのですから何の不都合もありませんわよ」


 何処からその答えが出て来るのよ、ただ普通に過ごしてただけだぞ。ま、その普通が依頼による行動という意味での普通だが、何か嫁さんとして受け入れてるとか、そんなアピールしたかね? 何も無いよな?


「は? ちょっと待て。求婚された覚えも認めた覚えも無いんだけど、どうなってるのさ」

「気が付いてないのですか? テリストらしくありませんわね」

「テリったら、この手の事には鈍いんだから。諦めなさい、既に周囲には認知されてるわよ」


 鈍いっていわれてもさ、ココアからは正式にいわれてないし、俺も返事してないし、あの馬鹿長男の時に間接的に聞いただけですけども、それって告白に当たるのかね?


「お父様もきっと、そう思っていますよテリクン」

「は? なんでそうなるのよ、周囲には何もいってないし、ココアの父親にも何の挨拶もしてないぞ、それ処か、今会ったけどその事に触れてさえいないよ」

「テリのニブチン。よく聞きなさい、魔人族の国へ行く事が決まってからずっと一緒よね」

 ニブチンは兎も角として、確かにそうだな。

「そりゃそうだろ、行くにしても鍛えて行かなきゃ命の危険があったんだから当然だろ」

「そこが問題なのよ。未婚の、それも貴族の娘が、それも絶賛超お買い得商品のテリの元に、お嫁さん同然の二人も伴って、尚且つ他の国へ使者として赴く。さて、周りからどう見られるかしらね?」


 そういわれたら確かに、あれからずっと連れまわしてるな。それも四六時中、それも未婚かついい年齢の女性を。嫁さん扱いしてる二人と同じ扱い……。


「俺が、お嫁さん候補同然の扱いをしてます。これはテリストが受けたんだろうな……と見られるかも……」

「正解! これで断ったらどうなるでしょうねぇ」


 最悪、捨てたとか思われるんじゃ。


「こいつ。嫁さん扱いしといて捨てるなんて、どんだけ恥知らず、男の屑だな……」

「正解! 良かったじゃないの、テリの好きな胸がバインバインな女性で、尚且つ見惚れるほどの奇麗な女性で」

「だあああああ! はめたなココア!」

「はいはい、テリストいらっしゃいな」


 俺の方がちっさいからと、ココアにお姫様抱っこされて豊かな胸の感触を味わうのだった。

 そんな事より婚約の事だよな。結納の儀とかしないのか? そこら辺りを全く考えてなかった俺がいうのもなんだが。カーラはおろか、陛下すら何も指摘しないんだよな。風習が無いのかな?

「それよりもさ、婚約しといて女性に贈り物とか、ご家族に御挨拶とかしないのか?」

「本人も両親もですが、お互い認知済みならば特にしませんわね。だから父様も何もいわないのですわよ」

 あっちの常識が全然通用しないのな……こんな事になるとは思わなかったわ。常識が抜けている事でこんな事態になるとはな、誰かその手の講師いないのかねぇ。どんどん嫁さんが増えたりして……。



「もう、親公認って扱いって事よねそれ」

「当然ですわね」

「今後は余り近づけない様にしようか、なんだか、既成事実ばっかり作る為に近寄って来そう」

「そうカリカリしなくても良いわよ、学校の一貫で一緒にいます程度なら大丈夫よ、魔物を狩る授業もあるそうだし、当然PTを組んで行くのは当然だから。

 そこまで考えられたら完全男女別で学習になってるわ」

「なるほど、確かに前衛をする女性は少なそうな印象だな。そういう意味では男女で組まないとバランスが悪いか」

「納得したのなら、ちんたらしてないで帰るわよ」


 帰って大乱交! ではないよ。全員未経験ですので悪しからず、十歳でコヅクリとかありえないのですわ、胸は直で揉みまくりますけどもね。



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