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60:魔物ハンターギルド

 翌朝。身支度を済ませて朝食を食べずに魔物ハンターギルドの場所を聞き出して向かうのだった。

 食事に託けて長く居座り、その間に周囲の話す情報を貰う為にあえてこの選択を選んだのだ。

 そもそも謁見も重要な任務ではあったのだが完全に破綻しており残すのは情報収集だけだ。可能なら今回の事を帝国に擦り付ける。ならばギルド内で食事にかこつけついでに行うという算段だった。


 当然の事ながら、場所は変われどお仕事の張り出し時間に変わりは無く、それはもう大混雑、その分食堂はがら空きなので、すんなりオーダーも通り、次々と配膳されて行くわけなのだが、事もあろうに絡んで来る奴がいるのである。

 ざっと五人の集団か、あほらしいが相手にするしかないのかね。


「臭え臭えと思ったら、獣の集団かよ、本当に臭いぜ。俺様を不愉快にさせる為に来たのか? あぁ?」

「本当に臭えな、それにメス三匹とジャリ一匹と来てやがる、さっさと国から出て行けこの獣が」

「‥‥‥」

 無視して食べるのである!

「呑気に食ってんじゃねぇ! さっさと出て行きやがれ! どうせ城もお前らの仕業だろ!」

「‥‥‥」

 応対しても面白がるだけ、ここは無視して食べるに限る。文句いっても腹は膨れんからね。

「しかとしてんじゃねぇ! 死にてえのか!」

 はい、命を奪うともとれる脅迫頂きました!

「うるせえぞ浅黒肌のボケ、飯位食わせろ。それと、唾が飛んで汚いからこっちに顔を向けるな」

「貴様!」


 はい、胸倉掴まれて持ち上げられました、障害確定ですな。


「それで、実力行使でもしたいのかね? 口は達者だが実力はどうかね? ヘタレだろうなぁ、群れないと何もできない腰抜けさん」

「ほう、死にたいようだな、決闘だ!」

「おー、受ける受ける、早く決闘しようや、さっさと行くぞ、直ぐに殺してやるよ」


 ありがとうございます、堂々と殺せる場を提供頂きました。


「ほざけ!」

「テリ。途中まですごく成長したと思ってたんだけどね、変わって無かったわ‥‥‥」

「そう思うなら少しは相手してやれよ、可哀そうだろ、この勘違い君が」

 アリサも俺には突っ込むが、この手の奴には完全無視を決め込むからな。

 俺に突っ込む位なら俺の前にこいつらに突っ込めよといいたい。


「もう許さん! この場で殺してやる!」


 口は達者だったが腕はまるでダメ、五人もいるのに連携もダメ、良い所が何もないので殺してやりました。

 相手も殺す気で来てますから遠慮は不要です。

 五名とも武器を抜いたので首ちょんぱしてやりました、瞬殺です。

「さてさて、何を持ってるかなぁ」

 ガサゴソと懐を弄って金品回収してると、また釣れた。

「貴様! ギルド内で何やってる!」

「殺すといいながら武器を抜き放ったので殺しただけですがなにか?」

「ちぃ、これだからガキは嫌なんだ。おい、ギルドマスターを呼んで来い!」


 呼ばれるどころかマスターに宛がわれている個室へと連れて行かれました。全て相手が悪いのですが、どうなんでしょうかねこれ……。

 そして部屋には入れたのだが、壁際に並んで立てってさ。


「遺体は確認した、お前ら四名で殺したのか?」

 これは訂正せねばなるまいよ。

「いえいえ、違いますよ。俺一人で殺しました」

「拘束して牢屋へぶち込め! 防具はそのままで構わんが武器は取り上げておけ!」


 拘束しようとした馬鹿の腕を握り、捻って逆に地面へと押さえつけた。力弱いですなぁ。


「何なんだろうね、あちらが剣を抜き放ち殺そうとして来たから返り討ちにしただけですけど、この場合、死んどけって事ですか?」

「……本当か?」


 状況を確認もせずに殺したからぶち込めとかあり得ん馬鹿だな、この国の奴はどうしてこんなに馬鹿揃いなのだか。


「あ、あのな、状況位は調べてから判断を下せよボケ爺。

 こっちは食事中に喧嘩売られて外へ出て行けと強要されたんだぞ、それで決闘騒ぎにまで発展したが、とうとうその場で武器を抜き放ちこちらを殺そうとして来た。

 そんな馬鹿をやらかした相手をお前が庇うというのなら、それ相応の覚悟を持って、ここのギルドと事を構えるぞ」

「‥‥‥正論ではあるが、長に対してとる態度では無いな」

 態度とかいわれたのならきちんと順序をふんだうえで 判断を下せよこのボケが。

「正論ねぇ、いわれたくなきゃ当然の事を済ませてから判断を下せよ。確認せずに手抜きで捌かれたらたまったもんじゃないな、お前の判断ミスで冤罪な上に罪人になった奴がいるんじゃねえの?」

「‥‥‥」


(はぁ。また始まっちゃったわ、どうにかならないのかなこの性格)

(惚れた弱みですわね、そもそも弄る言葉は入ってますけど指摘してる通りですわよ)

(仕方ありませんよ。テリクンですもの)


「なんだ、だんまりか? 悔い改めて今度から気を付けるんだな、じゃあな爺」

「待て坊主、この国の法律を知らんのか? 貴族を罵ればその場で首を撥ねられても文句は言えんぞ!」

 おや、獣王国で俺が懸念して件だが、こちらでは認められているんだな。

 だが知った事じゃないよ、降りかかる火の粉は容赦なく掃う気満々ですから。

 そもそもあんたが反省すべき点なのを逆切れしてどうするんだか、救いようが無いな。

「ん? 今度はギルドマスターの地位をひけらかしても足りんから今度は貴族ですと、己の地位を持ち出すのか?

 そもそも最初の出だしからしてお前がしなきゃならん事を全てすっ飛ばすから今の状況になってるのが理解できんの?

 罵るも何も、お前がやらかした事を指摘しただけだがね。それとも指摘するな、そのまま牢屋に入っとけとでもいいたいのか?

 ここはお前が反省すべき時だろ、なんでしょうも無い事を持ち出すかね。ほんと、馬鹿やらかした連中といい、救いようが無いな」


 貴様ーと逆切れして殴りかかって来る爺さん(おっさん程度だが)それに合わせて拳に肘を合わせてぶつけると、グシャっと聞きたくない音が聞こえて悲鳴が響き渡る。

 腕を抱えてしゃがみ込んだ所をその腕ごと蹴り飛ばして壁に貼り付けたのだった。

 それを聞いた者たちが入室して来たのだが、がまたもこの惨状を見て俺たちが悪いと決めつけ襲い掛かって来る。完全に悪循環だった。

 今度の対応は刀を抜いて対処だ、確認もせず攻撃してくる輩に慈悲は必要無い。

 千切っては投げ千切っては投げでは無いが、来る者来る者潰す羽目になりうんざりする。

 一定数職員が相手になったかと思えば、今度は異変を嗅ぎつけた現役のハンターが乗り込んでくる始末、そっちも相手取る羽目になり、大半のハンターが腕を無くし足を無くし、運が良い者でも複雑骨折と向かって来た者たちは、今後ハンター家業は絶望的な体へとなったのだった。

 もちろん全員が向かって来た訳では無い、状況が全く分からないので当然野次馬になってる者たちは無事だったのだ。

 そして何でも無いかのように食べてる途中だったので食堂に戻るがすでに片付けられており、注文し直す羽目に、余計な出費になったのだ。


「これじゃ話を聞くどころじゃないよな」

「テリも呑気ね、あの状態を作り出しておいて」


 作るも何も無いのですけどねぇ、あれは対処しなきゃこっちがボコボコにされるのですよ、対応しないって選択肢は取れませんがな。


「こっちが仕掛けた訳じゃないからね、全部相手が殺そうとして来るから火の粉を掃っただけ、それをするなって事は先手取られたらそのまま死ねってなるよ」

「それもそうね、もういる意味がないわ、帰るわよ」

「で?」

「あのね、いい加減自己完結しないできちんといいなさい」


 ありゃ、意味が通じなかったか、ちょっと砕いで聞いてみるか。


「帰り方がわかりません、馬車は何処で借りるのさ?」

「‥‥‥ちょっとそこの貴方! 獣王国方面に行く馬車は何処で借りられるの!」

 近場で此方の事を見ていた男性に話を振ったのだった。

「東門から定期便が出ています! ですがもう出発している頃ですが! 近くにレンタル屋がありますので、借りればいつでも出発可能です!」

 気圧されたのか、反射的に答えてくれた親切な方、ありがとうございます。


「ありがとう、助かったわ」

「どう致しまして!」

「ナイスだお姉さん。んじゃ、帰ろうか、クイン行くよー」

『うにゃぁん』


 もめた中で不用意に個人名を出すなんて間抜けな事は出来ないからな。以前の様にお姉さんと呼んだわけだ。

 何時もふかふかで抱き心地の良いクインを抱っこして向かうのだった。




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