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54:蹂躙

 ぶっ放した戦略級魔術を最高速度で前進させる。地面との接地面積は横幅が精々十mほどだが、その吸引力で魔物を吸い寄せ、電撃と暴風によるダメージをがっつり与えられながら上空へと放出される。

 地上に戻った際には素材へと変わっているのだ。

 そして肝心の俺たちだが、その魔術と一定距離保ったまま追跡中だ、付いて来れているのはクインと乗っているアリサと同じく走っているカーラだけ、縮地利用しなくても何とかなるのだが利用する方がはっきり言って楽なのでちょくちょく使用している。

 魔物の取り残しも若干あるのでそちらは騎士が処理してくれるだろう、そして追跡する事十数分、ボスが見える位置まで雑魚を削り切ったのだった。残りは取り巻き数十体と全高三mほどの巨体で、深緑色の鱗に覆われたボスのみだった。


「あれがボスねぇ」


 鑑定

 リザードケンプファミノスロード

 レベル:88

 種族:亜竜族

 状態:通常

 HP:1603

 MP:529


「クインとアリサは接近する際には気を付けろ、俺が正面で引き付けるから後方へ回り込め【火よ火よ還元し、エクスプロージョン】」


 詠唱端折りと同時詠唱だ。

 ボスを挟み込むように発動させ雑魚は奇麗さっぱりと処理。

 少々地面を抉ったのであちらの接近を待ち近接戦闘へと移り変わる。

 俺の後方からはカーラが射かけるので煩わしそうに剣で払いのけている。その隙を突き、がら空きな足を狙い、斬っては後退とヒットアンドウェイを繰り返す。

 クインたちは奴の後ろで息を潜めている。

 筋肉だるまの上にうろこ状の皮膚なので強引に切り込むと刃を取られかねない、浅めの傷口しか残らないが移動速度を削る方向で仕掛けるのだった。

 ただ、これでは致命傷にはなりえない、確かに相手にとってはジリ貧だが、此方が回避し損ねた時点でジエンド、だらだらよりは一気にケリを付けるべきかと思案する。

 それほどの集中力が長く続かないのは自明の理。そこで、もう一発魔術を食らわせて最短で倒す事にした。


「仕方ない、しぶといからもう一発魔術を撃ち込むぞ【雷よ還元し、集雷し粉砕せよ、ライトニングバースト】」


 詠唱したのはわざとだ、タイミングを教える為に。

 相手は力と耐久力に秀でているが敏捷性という部分においてはこちらが絶対的に有利、更に至近距離で放った事で回避は不可能だった。

 紫電の塊をまともに受け、動きが鈍った頃に前後から突っ込む。

 俺は武器の持ち手を斬り飛ばし、クインは飛び掛かって首に爪で攻撃、アリサは頭を槍で貫くとあっけなく素材と化した。

 残った素材は両手剣サイズのファルシオン、ミスリル製だ。


「おし、お疲れ様。後は騎士たちに任せようか」

「ほとんど倒しちゃったからね、それも大半が魔術一発で」

「相当な手間が省けましたね、流石テリクンです」

「クインもナイスタイミングだったな、二ヶ月以上共に戦って来ただけはある」

『主が完全に引き付けておったからのう、最高のタイミングを突けたのは主のおかげなのじゃ』

「それは良いが、クインには不便な生活をしてもらって悪いな」

『喋る機会は元々少なかったのじゃ、気にするほどでは無いのじゃよ。それより頻繁に魔力を貰っておるしの、以前より快適なほどじゃ』

「それは何より、クイン、小さくなってこっちおいで、帰りながらドロップアイテムを拾って帰ろうか。辺り一面に散らばって時間掛かりそうだしね【クリーン】【ハイヒール】」

「それは仕方ないわね、そういう魔術だもの、死人が出るより余ほどマシよ」


 こうして帰るのだったが拾うのに難航した。特に皮が風に煽られ遠くにまで飛び、もう捨てちゃって良いんじゃねえのといったら、勿体ないから拾うわよ、だってさ。

 夕方になり日が落ちる頃に騎士団と合流した俺たち、皆でゾロゾロと帰路についたのだった。

 そしてそのまま王城へご案内、夕食へと招かれ、そのまま報告会へと移り変わる。


「今回も助かったぞ。テリスト、アレサリア、カーラ、そしてクイン。それで敵の規模は?」

「規模と聞かれましても、魔術を追いかけて十数分走った先にボスと雑魚集団が巻き込まれず残りまして、雑魚を一掃した後に、皆でボスを凹っただけですからね」

「騎士を二分割してその後を追いましたが、全く追いつけずに見失いました。

 取り残しの処理とドロップアイテムの回収に移行して合流した時には全て終わっておりました」

「ちょっと待てギルバード。カーラも参戦していたが、テリストと同行していたと報告を受けている。騎士を置き去りにするほどの速度で移動したのか?」

「カーラ様にも修行して頂いてですね、縮地のスキルを取得して頂きましたから。

 それと同じく水魔術を取得されましたので、縮地使用の体力低下はご自身で回復されてます、それで連続使用しまして高速移動も可能なわけですね」

「……あれからカーラを鍛えたのか?」


 当然でしょうに、俺の嫁さんになる人が負傷したりするなんて考えられないんですよ。

 そうなると頑張ってもらうしかないでしょ。


「今言った通りですよ、学校では今のカーラ様に教える事が可能な教員がいませんので、匙投げてますね」

「縮地一つでこうも変わるか、高速部隊を作れるやもしれんな」

「作れはしますが、結構難易度が高いですよ。先ほどもいったように体力、いい変えればHPが使う度に削れますので、自力で回復できませんと、最悪死にますし」

「ふむ。回復魔術の使い手でなければ運用に無理があるか、ポーションで代用は可能だが、費用が莫大になるな」

「いざピンチに遭遇して逃げますって時には役に立ちますよ、情報を持ち帰るのは何より大事ですからね。覚えてもらえばいいじゃないですか、短距離を全力疾走、これを覚えるまでひたすら繰り返すだけですよ」

「簡単にいうが、取得する方は相当な努力が必要そうだな」

「お父様、努力無くして向上は出来ませんよ」


 正論過ぎる。寝て暮らして強くなる訳無いからな。


「それはそうだ、頃合いを見て選抜した者から順に取得させよう。それで褒賞の話になるが、あの馬鹿どもは、今度こそ反対せんだろうな?」

「大丈夫かと思われます。

 後追い部隊に参加させましたので、へばってしゃがみ込もうと両側から騎士に補助をさせ、強引に運用しましたので、どれほど力量に差があるのか実体験させております」

「ふむ、これで反対したら、今度は魔物狩りを強要するか、それともテリストと直に模擬戦させるか」

「それは良いのですけど、こんな頻繁にスタンピートって発生するものですか?」


 あのでかいフロッグも放置していたらスタンピートになっていただろうし、それを考えれば今回で三度目、これは多すぎないか?


「……無いな。あっても一年に一度起これば多い方だ。四年か五年に一度程度がこれまでの発生頻度だ」

「それではあの蛙、倒してなかったら群れのボスとなってスタンピート化してたかもしれませんね」

「あり得るな。それに、テリストたちには話してないが、周辺諸国でも同じように発生している。それも首都周辺のみでな」


 それ、ピンポイント過ぎないか? 怪しすぎるよな。

 たまたまにしては時期的な事もあって集中してるし、そもそも四年に一度って事に偽りはないだろうし、ここ数ヶ月に集中するのは余りにも不自然すぎる。


「もしかして人為的?」

「……」

「クイン。聞きたいが、生まれたのは何時だ?」

『そんな事を聞かれてものう、わらわがクイーンとして覚醒したのは四ヵ月程度は前じゃぞ』


 結構短いな、出会う一月程度前か?


「覚醒して直ぐに行動では無さそうか、生まれて一定期間その場に留まり、何かのきっかっけで一斉に蜂起。か」

「答えの出ない問題だな、各地の魔物の監視体制を強化する他あるまい。

 獣王国としては被害は本当に軽微だが、他は相当に被害が出てるらしい、テリストがいなかったらと思うとぞとするな、そういう訳で今度こそ伯爵になってもらう」

「それは良いのですが、例の子、何時拾われたんですか?」

「確か、七ヵ月か八ヵ月ほど前と聞いたか?」

 流石、例の子でわるか、なにせ不自然だもんな。

「これまたタイミングが良いですね、その数ヵ月後毎に発生ですか、すぐにでも問い詰めますかねぇ」


「テリ、それよりも素材をどうするのよ、今回拾ったから万に届いてるわよね」

 確かにね、結局はあれから溜め込んだままで放置してたからな。

「本当に死蔵しそうだな。陛下、御相談があります。素材を引き取ってもらえませんか?」

「それは構わんが、如何ほどだ?」

「合計すると一万数千個、かな?」

「あ、あのな、そんなに貯め込む前に売りに来い!」

「ごもっともです、すみません」

 だよねぇ。売れるにしても量が多すぎるし。

「それで、何を持ってる?」

「蛙の肉とその皮に魔石小、リザゲートの皮と同じく魔石小、それとボスが落としたファルシオンが一本」

「卸先が三つか、ギルバード、後から案内してやってくれ。その武器を見せてもらえるか」


 どうぞと取り出して台の上へ。


「これは大きいな、ボスのサイズは?」

「三m程度だったかと、盾も持ってましたが其方はドロップしませんでしたね」

「二つ残す事はまれだ、気にするな。それよりこれも売ってくれ、証拠品としてな。必要ならミスリルで渡しても良いがどうする?」


 結局は加工して使う予定だし、物納で良いかな。


「ではミスリルでお願いします、手元に置いといても潰して加工しかしませんからね」

「では、オリハルコンと同じく、確保したら順次持って来させよう」

 代金の方は謁見の際に渡す事になり、肉だけ十塊残して全て卸し学校の寮へと送ってもらったのだった。


___________________________


 テリスト・ファーラル

 レベル:92

 年齢:10歳

 種族:猫人族

 状態:部分欠損

 HP:1639

 MP:757


 装備品:ミスリル製刀(刃渡り75cm、全長95cm) ダマスカス製ソードブレイカー(ショートソード、刃渡り45cm)

防具:ドラゴンハーフプレート・ズボン・小手・ブーツ・マント

 予備武器:ダマスカス製ソードブレイカー(ショートソード、刃渡り45cm) 鉄製エストック(刃渡り40cm) ラージシールド(小円形盾、直径30cm) ダマスカス製フランベルジュ(120cm) ダマスカス製短槍(全長150cm) ショートボウ、木の矢(尖端鉄製)832本、爆裂の矢27本

 予備防具:サラマンダー製皮鎧・ズボン・小手・ブーツ






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