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53:初撃

 今日は女神歴千三百六十六年二月二週三日目。平たくいえば入学式から一週と二日目だ。そして午前中の武器訓練の最中真っただ中に隊長が乱入し、俺とアリサにカーラは拉致されたのだった。

 そして我が家の馬車もご丁寧に連れて来ていたのだった。

元伯爵家の我が家まで送られ、そして我が家の馬車で来た。そう言う事だ。


「所で、何で俺たちって馬車に乗せられてるのよ?」

「スタンピートが発生した。南の山、アルブム山から押し寄せて来ている。防衛網は完成してるが相手が相手だからな、協力を要請する」

 またスタンピートかよ。

 試験対策で散々倒してたあれか、だけど、そんなボスになるような個体いたかね?

 それらしいのはいなかったが……。


「なるほど。あの立ってる蜥蜴か、Lv三十二の団体さんなら、そりゃ苦戦するな。だけどさ、俺たちってランクBだから強制で……あああああああ、スタンピートだから関係なしか」

「あれ、気が付いてないのか、テリストにしては珍しいな。ローズが年金の説明した際に説明しただろ、貴族は呼ばれたら最優先で来る必要があると、それが責務でもある訳だしな」

「確かに言ってたね、それじゃあの時、謁見で四十人ばかり反対してた奴らがいたでしょ、今回のスタンピートで駆り出せよ、どんなもんか体験させようか」


 そうそう、あいつらを連れて来いよ。実体験させようや、どんなもんかをな。


「陛下もいわれるだろうと思い召喚するようにと彼方にも騎士が迎えに行ったぞ」

「そうかそうか、そりゃ良いな。ちょっと敵のランクが上がるけど大丈夫だろ、俺を弱いと言ってるほどの実力の持ち主ばかりだからな」

「それより準備は大丈夫か? 武器屋に寄る時間程度はあるぞ、いや、逆に言うなら寄れ。だな」

「カーラ様の矢さえ足りるなら寄る必要は無いかな、それより食い物を少し買って行きたい。どの程度処理する為の時間が必要なのかわかって無いんでしょ」

「わたくしの矢でしたら、鉄の矢が購入当初のまま残っていますので大丈夫です」

 五百本あるなら足りるな。そもそも近接戦闘をごく少なくなるように、一気に処理するし。

「それなら武器屋は寄る必要ありませんな。 

 無論敵の規模はわかってはいないが、交代で運用する手はずは整ってる。買わなくても大丈夫だぞ」


「なら良いか。俺をとりあえず一番前に出してくれ、それとクインを正式に俺の相方と認識させる為に一緒に戦うかねぇ」

 そろそろ頃合いだろうからね、子猫子猫と思われてるより、実力見せるには絶好の標的だし。抑止力として実力を知らしめるには良い機会だ。

「ふむ、突然大きい状態での乱入であれば混乱するだろうが、その場で大きくなれば大丈夫だろ、その前に大きな猫が参戦すると伝えておこう」

「頼むよおっちゃん」


 そして三十分ほどかけ、南門から百m程度手前で止まり歩いて合流した。


「よく聞け! 今回の戦闘にはテリストの使い魔であるクインが参戦する! 今から大きくなるが敵では無い、姿は猫なので間違いようがないから絶対に攻撃するな!

 それじゃテリスト、なるべくなら最大サイズは止めてくれよ、少しは手加減してくれ」

「それじゃクイン。全高二mサイズに大きくなってくれ、最初は突出するなよ、ドデカイ魔術を一発撃ち込むから、その効果が無くなってから戦闘開始だ。大丈夫か?」

『にゃおーん』


 ムクムクと大きくなるとその翼は目立つねぇ、ランス買ってきたら猫騎兵出来そうだな、それも飛んでる飛猫騎士とか。

 それから三十分程度待つがお相手が来る気配がない。


「それにしても来ないね、やっぱり足が遅いのか」

「散々倒してたんだからその位知ってるでしょ、あれは走るのに向いてないわ。それより、このサイズのクインは良いわね、乗せてほしいわ」


『うにゃ~ん』

 ペロペロとアレサを舐め回してるし、乗っても良いよといってるのだろう、話すなと言ってるからな。

「良いそうだぞ、何なら乗って戦うか?」

「それじゃクインちゃんよろしくね」

「クイン。一気にトップスピードにまで加速するとアレサが落ちるからな、そこだけ注意してくれればいい。それと、あまり突出しないようにな」

『うにゃ』

「それにしても暇だな、ひと当てして来るか? ザックリと」

「そのまま本格参戦する気じゃないでしょうね」

「駄目ですよテリクン。今回は絶対に単独行動はさせませんよ、常に後ろに付き従わせて頂きますから」


 それから更に一時間後、まだ来ない為に早い昼ご飯を済ませた頃、やっと遠方に確認できたのだった。

 しっかしこの蜥蜴を指揮してる奴頭いいな。街道沿いに沿って進軍させるとか並じゃない。

 ついでに急ぐわけでもなく歩いて来るとか馬鹿にしすぎだろ。


「やっときやがった! それにしてもちんたら歩いて来るとかありえないな」

「魔物も体力温存とか考えてるんじゃないの?」

「そうなると余計に質が悪いな、追い立てられて無理やりじゃなく、指揮された団体さんって事だよな。

 さて、あの蜥蜴の上位種って何だ?」

「確か、リザードケンプファミノスロード。レベルは80台後半……だったような……」

 段々言葉尻の音量が小さくなってくるあたり、自信が無いのだろう。だが。十分な情報だ。

「蜥蜴の親玉ねぇ、うろこ状で斬撃耐性に打撃耐性もかなりあり、当然火も効きにくいし水に至っては相性最悪、移動速度重視じゃなく力方面で突出、ついでに尻尾の一振りは脅威か、下手するとブレスも使って来るかもしれないか?」


「名前だけでよくそれだけ予想が出来るわね、当たってるかわからないけど」

「蜥蜴の特性だよ、電撃は通りやすいから体内を焼いてやればイチコロだろ」

「テリスト。おしゃべりはその位にしておけ、そろそろ隊列組んで迎え撃つ準備をしておくぞ」

「あい、魔術で一当てしますんで、前に出ない様に、死んじゃいますから。城内では手加減しましたけど、今回は通常の威力で使いますので」

「聞いてるぞ、岩石破壊しつくした風の渦だろ」


 それから約三十分後、百m程度にまで距離が縮まっるのだった。

 聞こえない様に小さい声で詠唱しないとな。


「さてと、ぶっ放しますので、皆さん、姿勢を低くしてくださいな(【風よ雷よ還元し、暴風よ集雷し逆巻け粉砕せよ ライトニングトルネード】)」

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