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52:魔術の講義

 翌日午前中は魔術を選択した者は魔術の班へ、武器だけの者はそちらへと割り振られて向かうのだった。

 そして肝心の魔術の講師は別の人だ。うちの担任は武器方面だけらしい。


「さて。魔術を選択した諸君らだが、魔術を使った事がない者は挙手を」

 おー、初心者も結構いるな。二十人ほどか、全体が六十人前後だから三分の一ほどか。

「では、今挙手した人は別の講師を紹介します。其方で授業を受けるように」

「早速適正魔術を調べて行きますので各自覚えておくようにお願いしますよ。彼らとは離れて行いますので此方へ」

 と別所へと連れて行かれた。


「では、この場に残った方は魔術を放つ訓練を積み、実際に発動経験があると判断させて頂きます。

 まずココリアーナさん。試験で見せた魔術を前方に放ち標的を作ってもらえますか」

 ご指名なので例の岩石を出現させたココアなのであった。

「えーテリストは最後の総仕上げに回ってもらいます。一人ずつ呼びますので得意な魔術をあの標的に対して放ってみましょう。それで班分けを行いたいと思います」


 仕上げって、それ、的をぶっ壊して奇麗に排除しろって事よね……。

 ぼーっと見ていても実力的には熟練度Lv三って所が最上位かね、俺たち三人を除いたらココアが一番突出してるな。


「では。総仕上げにテリストに破壊してもらいましょう、お願いできますか」


「ふーん、聞いておくけど、本来の威力かつ範囲で放って良いの?」


「ダメよテリ。それじゃこの辺りが使えなくなるもの、後が大変よ」

 それもそうだ。あの時は王城の敷地内だったが、ここは広々とした草原で遮蔽物は無い。混合魔術の詠唱を聞かせるわけにはいかんからエクスプロージョンの同時詠唱で破壊するかな。

「じゃ、別ので破壊するか。若干上に当てれば大丈夫でしょ【火よ火よ還元し、圧し圧し圧し圧し「待ちなさいテリスト!」】」

「いやいや、ぶち壊すんでしょ? あれ」


「何も同時詠唱のエクスプロージョンはやりすぎです」

 おや、気が付くのかこれには、中々優秀だね。なら威力を落とすか。

「んじゃ、別のにしますか、ちょっと威力は落ちますけど【火よ火よ火よ還元し、圧し圧し圧し解放せよ解放せよ解放せよ「待ちなさい!」】」

「はぁ、今度は何ですか? 単なるファイアボールですよ」

「三発同時の同時詠唱なんて聞いた事がありませんよ、どうやって習得したのですか?」

「そんなもんは単に何度も何度も連発して経験を積み重ねるだけですよ。そうですね、限界まで放って見せましょうか【火よ火よ火よ火よ火よ還元し、圧し圧し圧し圧し圧し解放せよ解放せよ解放せよ解放せよ解放せよ、ファイアボール】」


 五連発はしたものの、やっぱり威力が低いので岩石の残骸が残るのだった。やっぱりこうなるよねぇ、エクスプロージョン一発の方が威力が上だな。たぶんMP効率的には宜しくない。


「はぁ、やっぱり残りますよねぇ。後の破壊は先生にお任せしますんでお願いします。クインおいで」

 やって来たクインを抱き寄せたのだった。

「ああ、後でやっておこう」

 見学者の中へと戻ったのだが、知らない人が多いらしい、というか全員か? 代表的に聞いて来る男の子がいた。


「テリスト殿、同時詠唱はどうやるのですか? 何分始めて見るので解説してほしいのですが」

「そうですね。此方にいる方全員でしょうが、最初は二発同時が限界ですね、同時詠唱のスキルを取得できますからその後はひたすらに放てばスキルレベルが上がりますので同時発動数も増えます。

 それで実際の発動方法ですが、魔術は言霊の繋ぎで性質をもコントロールしてます。

 先ずは頭の火よ、風よ、土よで各主属性、還元しでMPを実際に変換、その後の言葉で形状や効果など表してます。

 実際発動する為には、還元しの後に続く部分を分解しなければいけないんですよ。

 例を挙げると火よ還元し刺し貫け、ファイアアローですが、火よ、還元し、刺し、貫けの四分割に出来ます。

 これを同時詠唱しますと、二発分ですから。火よ火よ還元し、刺し刺し貫け貫け、ファイアアローとなります」


「それはあまり利点がありませんね。詠唱が長くなり発動が遅くなりかえって戦闘に差しつかえませんか?」

「ですね、最初相手が気が付いてない時など先制攻撃する際には最適、でしょうか。更に短める方法はあるにはありますが、難易度が跳ね上がりますからね」

「ほう、それはぜひ教えて頂きたい」


 詠唱端折りや無詠唱での発動を絡めるなんて教える訳無いでしょうよ。在学中の学生の前では使わない予定だし、相当に親しくでも無ければ教えない予定だしね。

 簡単にほいほい技術は教えませんよ。それこそ自らの手を晒すような行為、弱点にはなりえませんが強みにもなりませんし利益にもならないんですよ。


「お断りしますよ、本来なら手の内教える事になりますから、あまり大っぴらに言いたくないのでね。

 ここまでお教えしたのは教師の方が知っていたからです。教える範囲に入ってるようならばいずれ知る事になりますから、早いか遅いかの違いだけで大差ありませんから」

「……わかりました。本来テリスト殿は教官では無く一学生、お教えする立場にありませんからね、此処は引きましょう」


 何とか威厳を取り戻したのか? 先生が起動してその場はお開きになった。今のを参考にして二つに分けるらしい、全体で三つになるな。

 そして午後からは選択授業へと赴くのだった。




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