49:決闘当日
さっさと身支度を済ませて食堂に行くも混雑中でどれほど掛かる事か、昨日は時間がばらけていた事からそれほど混雑していなかったのだろう。
下手すると間に合わない、という話になり朝食をすっ飛ばす事にしたのだ。
行儀は悪いが露天商から買っては食べながら移動を繰り返してコロシアムへ向かうのだった。
昨夜は夜襲もなく、今も移動を妨害するような輩もおらず、時間前にコロシアムへ到着する事が出来たのだ。
そして到着早々に個室へと案内され、今から準備時間を十分間与えますとの宣言された。相手はとうに到着して待っていたようだ。そこから準備する。
具体的には鞘へ【エンチャント/ 雷耐性Lv2】と武器へ【エンチャント/ライトニングブレードLv1】をである。左腰には刀を、右腰にはソードブレイカーを下げている。
またもや案内人に引かれてしまったのだよ、寄らないでと。
そして時間も経過しコロシアムの闘技場へと案内され、相手五名と相対する事になるのだった。
「へえ、一応はあんた自身で出て来たんだな」
「貴様がこの様になるよう仕込んだからだろう! しかしな、人数制限をしなかったことが致命的だったぞ、その報いを受けろ!」
「それ、わざとだからどうでも良いっす」
「私語は慎め! ランザーク侯爵家対ファーラル男爵家、双方家を賭けた決闘になる。
今回国王陛下の御家族もご覧になられる、無様な決闘を双方ともしない様に心がけろ。
審判は近衛騎士隊長であるこの私、ギルバードが行う。勝利条件は相手の敗北宣言、片方の陣営全員が気絶など続行不可能な状態になった場合、決定的な敗北と判断した場合はその場で止める。台より落ちた場合も敗者とする。これよりカウントする。0で開始だ」
おっと、俺には確認が無理だからな、刀を引き抜きながらお願いする。
「お待ちください、あちらの陣営が全員血縁者であるのかご確認を」
「すでに済ませてある。。それでは双方ともに良いな、三・二・一・0」
相手は前衛二名、中衛二名、後衛一名で隊列を組んでいるようだ。
詠唱を端折り【ファイアウォール】を相手後方にいる弓持ちに直撃させ、中衛に【ファイアボール】を投げつけた後、縮地を使用して最前衛の例の馬鹿長男を抜き、後方を潰しに向かう。
此方の移動速度に付いて来れず武器を振るうのも間に合ってはいない、魔術二発で無傷の者だけを狙い武器持ち側の腕を斬り飛ばしてターサハラと正面から相対する。
余裕過ぎて歯ごたえが無いなぁ、もうちょっとこう、魔術無し縛りでもして少しは手加減した方が良かったのかね。ま、今更か。
「さて、動けるのはお前だけだぞ、勝手な思い込みで決闘を突き付けた事申し訳ありませんと謝罪してみろ、今なら勘弁してやる。色々とな」
「ぬかせ! 貴様などの温情などいるものか! 我が侯爵家は威信を重んじる、侮辱するのは許さん!」
本人が全て蹴ったか、なら爵位も剥奪をどうするかね、遠慮する必要が無くなった訳だが。それに、あの言葉を近くで聞いた存在がいるからな、後で覆す事は不可能だ。
侯爵本人と陛下の考えを少しは聞いて配慮するのも手だけどね、潰れようと残ろうと、俺にはどちらでも良い訳だし。
そもそも陛下に負担を掛けるのはあまり宜しく無い、残したいと思ってるようなら残そうとは思ってるが……。
「あっそ」
ゆっくりと距離を詰め腕による決闘に移行するが、雑なんだよな、威力重視の大振り、振り抜いた後がら空きなので武器を持っている右腕を斬り飛ばしてやった。
「そこまで! 勝者ファーラル男爵! 負傷者には治療を。ファーラル男爵は控え室へお戻りを」
(決闘に至った経緯を聞いたぞ! 当然の勝利だ! ファーラル男爵万歳!)
(ランザーク侯爵家は恥を知れ!)
(そう言ってやるな! お家断絶決定だぞ! 祝ってやれ!)
(普段の行動がその程度だったんだろ、潰れてせいせいだな!)
あらあら、知れ渡ったのか。相当にひねくれたいい回ししてるのもいるな。
手打ちは無いとか聞いてたし、これは身から出た錆以前に、爵位剥奪同然だから手打ちOKだろうと今は無理なんだけどね。
個室で待っているとアリサ、カーラと抱かれているクインは分かるのだが、何故かココアが来ているし、何故此処にいるのだか……。
「テリも容赦ないわね、あれだと生活が今後不便よ」
「謝罪要求したら完全に突っぱねられたからね。それに、戦闘不能にするなら複雑骨折は確実だし、斬り飛ばすのとどっちが良かったのかねぇ。
はっきり言って、手加減が難しいのよ。今の状態だと」
「また治療の施しようがない選択肢ね」
仕方ないんだよ、レベルが上がってるから力加減が難しいの、生活では全く意識さえしなければ支障はないのだが、事戦闘になったらそれが極端に難しくなるんだよな。
「まったく当てないで勝てるなら楽なんだけどね。それでなぜにココアさんがここに?」
「学校中に決闘の事が知れ渡っていますのよ。それで学業そっちのけで観戦に来られてる方が大勢いまして、かくいう私もその内の一人なのですわ」
侯爵家VS男爵家に発展してるからな。行く末を見守る。いや、今後のお付き合いをどうするか決めなきゃならんからと、学業を放棄して来てる訳ね。
少なからず侯爵家が敗退した場合、断絶しなきゃならんと舵取りする必要がある者は絶対に確認すべき決闘だったのだ。
「なるほど、確かにあれだけの人数が立ち会ってたからな、容易に情報が拡散するか、それじゃ学校は閑古鳥がないてるかもなぁ」
「閑古鳥? 何よそれ」
「ああ、このいい回し使わないのか。お店などで使う表現なんだけどね、開店休業状態って事、お客さんが来ないってね」
話してる最中にアリサたちの後ろから隊長が話しかけてきた。
「(コンコンコン)テリスト、会話中すまんが王城で会議をするから参加しろ。カーラ様とアレサリア殿もご同席を。……ココリアーナ様が何故此方に?」
「昨日知り合ったのですわよ。選択授業も御同席させて頂く事になりましたの、その縁で来ておりますのよ。その会議に父上も参加なさるのですか?」
「左様です、テリストと何故か縁がありまして、同席される予定です」
「私が同席する事は可能でしょうか? ギルバード殿」
「難しいですな、何分廃位が絡んでおりますので、お伺いする事は可能ですので、ご同行されますかな?」
「伺わせて頂きますわ」




