表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/186

48:決闘前日

 学校からだと王城まで結構な距離がある。それに馬車は屋敷に帰宅しており当然無いのだが、移動速度を速める為に飛ぶ事にした【風よ還元し、身に纏え、フライ】

 屋敷の障害物など何のその、上空を突っ切り、王城の敷地上空を飛ばない様にして入り口に着陸。陛下へのお目通りをお願いした。

 そして隊長が迎えに来たのだった。


「なぜテリストが城へ来たんだ? 今日は入学式で今は学校にいるはずだろ」

 何事も無ければって言葉が付くけどね。

「行ってきましたよ、それで早退して来たんです。緊急に陛下にお伝えしとかないと不味いですから」

「また揉め事か、それで今度は何だ?」

「ええ、何も弁解できませんが、まごうことなき揉め事です。それで明日決闘します」

「つくずく決闘に縁があるな。それで相手は?」

「ターサハラ・ランザークと名乗ってましたので、ランザーク侯爵家の血筋の方ですね」

「なんだ、結婚関連か。確かにご長男だな」

「ピンポイントに当てますね。なんでもある女性が俺に結婚を申し込むからお断りするってターサハラに伝えていたみたいで、ターサハラは俺の存在が邪魔だと仰ってましたよ」

「良い得て妙だがはた迷惑だな。それで、明日なら高ランクのハンターを雇って来るかも知れんな」

「何ですそれ?」

「ああ、言ってなかったな。代理を立てる事が出来るんだよ、ハンターと違って貴族はあまり戦闘しないからな、その救済策だ」

「なるほどなるほど、そうなるかとも思いまして対策済みですので悪しからず」


 本人の血筋だけしか出場できないからな。違うのが混ざっていた場合は即座に敗退決定、手間が省けて何よりですって展開だ。


「到着したようだな、話は入ってからだ、(コンコンコン)テリスト殿をお連れしました」

(入ってくれ)

 隊長が開けてくれた部屋へと入室するのだった。

「突然の訪問をお許しください陛下」

「よい、先ずは座れ、どう言った要件だ?」


 学校のホームルームに乱入されて決闘を受ける事になった事、そして明日朝コロシアムで行うと。


「また決闘か、それで今度は何を突き付けたんだ?」

「それは見て頂いた方が早いでしょう。これです」

 あはは、面白いほどでは無いが、劇的に顔色が変わる、青くなったかと思えば真っ赤に。

「……侯爵家が廃位だ」

「何事なのです? 陛下」


 これを見ろと隊長の手へと渡る。


「賭けた内容に制限が無い、爵位すら奪える。それに決闘への参加制限、血筋の者のみしか決闘に出られん。

 ご丁寧にお互い署名捺印、割り印がある事から偽造防止のうえ、あちらにも同様の書面があると見て取れる」

「ついでに学校の先生含めて、その場にいた学生にも署名を頂いてますから逃げれませんよ、メイドたちを入れたら六十人とか証言可能な人が揃ってますから」

「喧嘩売るにしても相手を選べあの馬鹿が!」

「爵位は要りませんから残しますよ」


「はぁ、それは不可能では無いが賛同できんな、侯爵家と全てを賭けた上での決闘では嘘を付き通すのは不可能だ。それに、コロシアムで行うとなれば多数の貴族の耳に入るし証言者もいる。

 その中で爵位のみ残してあげますとか言い出すと、決闘そのものが廃れかねん。

 そしてご丁寧に、ターサハラと絶縁しようとすでに回避できん。現時点と書いた上にターサハラの署名で血縁関係と明言してるからな。完全に逃げれなくしたうえで締結されている。

 これはテリストが詰めたな?」

 こんな内容に署名してる時点であちらの頭が悪いことは明白だ。俺しかいないよ。

「そうですよ。何分理不尽でしたから、俺の蚊帳の外で起こった事に対して、俺に死んどけと言ってるようなものでしたから、逃げれない様に絡めました」


「……これを見て内容を把握すら出来んのかあのボンクラ。あーどうするよ、手の打ちようがない」

「やっぱり長男の署名でも逃げれないんですね。爵位持ちの本人では無いから逃げれるかと思ってましたが」

「次期侯爵と地位が固まってるからな、逃げれん事も無いがほとんど逃げれん。

 確かに侯爵側が完全敗北を認めた上で今後の取り決めをがっちり構築した上で、汚名を着るなら爵位だけは何とか残る。

 こうなれば尊厳も何も無いな。男爵の下と見られ関係を断絶され、いずれ潰れるだろうな」

「そこは相手の出方次第ですよ。最悪、戦力を集めた上で今夜夜襲って所ですかね」


 血縁だけしか出られないと気が付いた瞬間、馬鹿な手を使ってきそうだよな、頭悪そうだし。


「それをした場合は完全に侯爵家を廃業だな。決闘をするまでも無い。

 ギルバード。ランザーク侯爵家に警告しておけ、馬鹿な事をした場合、近衛騎士隊が相手になるとな」

「警告のみならば片方の陣営への擁護とは見られますまい。行ってまいります」

「では、同じく失礼させて頂きます」

「うむ。コロシアムの手配はしておく、遅れるなよ」

「妨害は無理ですよ、空を飛んで向かえますので」

「その手もあったか。確かクインが飛べたな」

「俺個人でも飛べますよ、それでは失礼します」


 こうして学校へ戻ると丁度学生寮へと案内されるところであった。それに便乗して寮の部屋へと向かう。


「テリ。それでどうだったのよ」

「陛下に直ぐにお会いできてな、あの書面を見せたらすぐ理解されたよ。爵位も奪える内容になってるってね」

「旦那様は陛下への縁までお持ちなのですね」

 ヤヨイの奴、そちらに興味があるのか。ちょっとハードルが上がったな。諜報員の可能性あり、か。

「用事も無しに会いに行ったらどうなるのかは怖くて考えたくないけど、少なくともお会いする事は可能だぞ」


 案内された個室、いや二人部屋か。五名で入り込み会話を続ける。

 貴族御用達なだけあり広々としている。ざっと十五畳かその位はありそうだ、それに家具もそれなりのランクの品を準備されているようで寝具も新品だな。流石学費が高いだけはある。

 ただ、元の爵位が低いからか、日当たりの悪い部屋を宛がわれている、そこは妥協すべき点かな。


「本当にがんじがらめに決めたのよね、相手がどう出るか心配ね」

「それ、隊長が警告に行くってさ、下手な事をした場合、近衛騎士が相手をするってね」

「暗殺集団の事もありましたから、当然のご配慮なのでしょう」

「爵位は元から奪う気はないけど相手はどう出るかな、それ次第で本当に潰す」

「本当にテリは相手に対して苛烈よね、それだと敵を増やすわよ」

 嫌でも慣れるさ。襲撃されるわ喧嘩売られるわで割り切らなきゃ死んでるからな。叩ける時には徹底的に叩く。その後復讐されない様にな。

「いや、そもそも敵視されたとしても行動には移せないでしょ、完全に返り討ち決定だからな。

 相手が固まってたら百人に奇襲されても殲滅に五秒も掛からんし。ただ、建物は壊れるけど」


「それよそれ! なんて無茶な魔術を使ったのよ試験の時! あの後大変だったんだから」

「それじゃ聞きたいんだけど、あの岩石相手に攻撃したかったか?」

「……嫌ね」

「なら、結果的には良かったな」

「あの、どの様な魔術を使用されたのですか?」

 またか。これは本命ぽいな。注意しとくか。ただ、ここで話を止めた場合。警戒してるのが丸見えになるのが難点だな。詠唱法を知られない限り無害な分安心か?

「風と雷の混合魔術だよ、簡単に言えば雷纏った台風、相当に規模も威力も落として使ったけどね」

「当り前よ! 前に試した時は広範囲にわたって木を引き抜き大惨事だったじゃないの」

 まぁねぇ、見るも無残な姿になったからな、試したとはいえ、あれはないわ。

「範囲はどの程度でしたか?」

「考えたくはありませんが、あれほどの威力と規模ならば戦争で使用したと仮定すれば戦略級ですね、その魔術を一度放てばで戦況を覆すほどに」


「たぶんだが二人も使えるぞ、それも、俺が使ったのより規模も威力も桁外れなのがな、当然俺も使える。

 属性の組み合わせで本当に最悪の魔術が作れる」

「一応聞いておくわ、どんなのよ?」

「アリサのは本当にえげつないのが出来るぞ、光に熱を加算させる。距離が離れれば威力は落ちるが照射可能な範囲で全て焼き払える。そうだな、名前を付けるとしたら、フラッシュバーンか。

 カーラの方は直接攻撃力を持つ魔術と限定したら、水と雷だな、霧を発生させる魔法、スプラッシュミストに電撃を乗せてやれば超範囲にばら撒ける。名前はそうだな、ライトニングクラップって所か」

「それって諸刃よね、味方がいると巻き込むわよね」

「だな、特にカーラの方は気を付けないと本人も損傷を受ける」

「そもそも環境破壊ですよ、その様な魔術を作らないでくださいね。テリクン」

「作る気はないけど、強敵相手にした場合の想定してる混合魔術ならあるぞ、火と雷の混合が軸で、相手の弱点に合わせて上乗せする三種混合をな」

「はいはい。物騒な話はこれまでにしましょ、そろそろお昼のはずよ、場所も聞いてるから行きましょ」


 流石六百人規模の胃袋を満たせる食堂だけあり規模が違う。と言うか一階全てが食事に関しての設備のみで埋まってる、さすが貴族用と選べる料理も豊富にある。

 本来はメイドたちに準備をさせる様だが、俺にはそんな気遣い不要だからな、皆で並び確保して食べるのだが、視線が痛い、今日やらかした事が原因なのか、これまでの事が原因なのか、そもそもカーラが目立っているのかさっぱりだ。

 そして当然の様に同席させてくれといって来る女性が一人。


「カーラ様におきましてはご機嫌うるわしゅう、こちら、御同席させて頂きますわね。

 まだ自己紹介がまだでしたわね、ココリアーナ・ファーメルよ、よろしくお願いしますわね」

「俺の事はご存知の様ですが一応、テリスト・ファーラルです。よろしくお願い致しません」

「あら、つれないのですわね。確かにご迷惑をお掛けしたとは思いますが、それは彼が暴走した結果ですのよ、私に非はありません事よ」

「それは分かってますよ。意地の悪い言い方してすみませんね、ココアさんのお父上には二度ほどお世話になってますし、恩は感じているのですよ」

「ココアではありませんわよ、せめてココリアと呼んで頂けません事?」

「わかりましたココアさん、よろしくお願いします」

「あのねテリ、元からまともに呼ぶ気ないんでしょ」


 流石出来た人か、奇麗にスルーした。


「カーラ様とは何度かお目にかかって見知っておりますが、貴方は何方ですの?」

「ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。テリストの婚約者でアレサリア・ファーラルと申します。ココリアーナ様」

「学友になりますし、様は必要ありません、ココリアで宜しくてよ」

「ココリアさんは確か、実家で勉学を既に済まされたとお聞きしていましたが、何故学校へ?」

「お父様からの推薦ですわね、そう言えば分かるだろうとおっしゃっていましたわね」

「あー、それは完全に俺へ紹介する為も含まれてそうだね、良いの? そんなんで」

「貴方なら私に相応しくてよ。あの煩わしい相手をああも容易く逃げられない様に拘束されましたもの、役者が違いすぎましてよ」

「そのおかげもあって、陛下は相当に激怒されてましたけどね、居心地悪かったですよ」

「それは馬鹿やらかした方が悪いのですわ、お気にする必要などございません事よ」


 そのとばっちりが陛下にまで飛んでるんだよね、ほんとうに救いようが無いな。


「ココアさんも言うねぇ、これなら学業も退屈せずに済みそうだな」

「注意しておくべき人がまだまだいそうではありますから、退屈はしそうにありませんわね」

 過分に敵視しているような目つきの者もいるからねぇ、何かあれば払うだけだが。きっと盛大に決闘を受けろと突き付けられた関係者かもしれないな。

「基本的に、敵に情けを掛けるつもりはありませんからね、何かあればお返しはきっちりする主義なので、下手すると貴族家が減りそうですね」

「平気で馬鹿やらかす輩は減る方が良いのですわ、気にしなくてよろしいですわよ。

 それよりそちらの子、クインちゃんでしたわね、聞いておりますわ、本当に可愛いのですわね」

「俺のペット兼相方って所ですね、カーラ様から離れる際には護衛についてもらってますよ」

「テリストをそれほど苦しめたお相手だったとか、護衛として最高の方でもありますわね」


 さてさて、食事も済んだ事だし部屋へ戻りますかね、ここで話込んでもあの後何を話されていたのか聞かないと不味いし。


「いい子ですからね可愛がってあげてください。では、そろそろ失礼しますね」

「あら、お部屋へ戻られるのでしたら同道させて頂けません事? 選択教科を同じくさせて頂きたいものですわ」

 既に勉学は済ませてるのなら基本的に暇だよな。俺たちも暇になりそうだから一緒に行動するのも吝か(ヤブサカ)では無いか。

「選択教科か、そこらの説明全く聞いてないんですよね、何かの縁です。行きましょうか」


 この後説明を受けたのだが、必須として最低でも一種類武器を使った訓練の授業、もしくは魔術を使った訓練の授業、総合科目として武器を選んだ者は武器の種類を問わずの模擬戦。

 そこから別にフィールド戦闘の選択授業、ダンジョン戦闘の選択授業、更に細かく分別され斥候技術を磨く為の科目や罠感知、罠解除、鍵開けなど。

 更に魔道具職人コースなどの手に職をつける授業なども選択肢としてある様だ。

 必須科目は午前中、選択科目は午後からと分れている。

 そして肝心のスケジュールは四日学業、一日休みの五日で一サイクル制。

 そこで選んだのは必須は片手剣と魔法を必須として半々、選択授業はダンジョンの技術取得を中心、息抜きにフィールドにちょこっとお邪魔する程度に決めたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ