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43:恩賞決定

 陛下に王妃、王子二人、カーラ、俺、アリサ、ローズ、ギルバード、ファーメル侯爵、それに反対した二名と俺に抱かれたクイン一匹で円卓会議としゃれこんでいる。


「魔物の討伐証明が無い事がこれほど厄介事を生むとはな、どうしたものか、そこのクインに証明してもらうか?」

「それはそれで厄介ではありませんか? 陛下」

「厄介だが説明しろと言っても言葉じゃ理解できないだろ、許すから頼んだ」

 知られる事の厄介さより、証明が成されず賛同されない事を優先か、陛下が被るなら良いな。本来の大きさになれば、その威圧感でボスだと理解できるだろ。

「と言う事らしい。クイン、ちょっと高さが足りない様だけど本来の大きさに戻ってくれないか」

 床に降ろして頼むのだった。


『にゃぁ~ん』

 ムクムクと大きくなり天井につっかえる程の大きさになる。俺以外椅子から転げ落ち、全員腰を抜かして這いずるように逃げてるんですけども。

 そういえば忘れていたな、アリサとカーラにすら説明するのを。まぁいいか。

 それよりクインが弱いと思ってるらしいからな。実体験してもらおうか、自身の体で。


「クイン。一番右側の男性二人、お前の実力が知りたいんだとさ、ちょっと死なない程度にどついてやれ」

「まてまて! それは待て!」

 実体験させるのが一番だろうに、止めないでほしいよな。

「つまらん。証明は不要だってさ、ストップな」

 もう少しで前足が当たるって寸前で止まってくれたクイン、蹴り飛ばせばよかったのに……。

「小さくなってこっちおいで……みんなビビりすぎだって、こんなに可愛いのに」

 と、膝の上で丸くなるクインを撫でるのだった。


「あ、あのな。大きさが変わるとか、そもそもあんなに大きいとは聞いてなかったぞ」

「あれが本来の姿ですよ。今は小さくなってもらっているんです、家に入れませんからね」

「テリ、お願いだから、それならそうと説明してから大きくなってもらいなさいよ」

「あー、ごめん」


 アリサとカーラにだけ謝罪するわ、他は知らん。


「それじゃ説明するか、さっきの大きい状態のクインが先ほど言っていたスタンピートの親玉だ。

 そして戦ったテリストは片腕を失い、その魔物は屈服してテリストの支配下に落ち着いた。

 なんなら、お前たちで実力を試してくれて構わん、その時は死ぬ覚悟をしてもらうがな」

「その様な事態であったとは知らなかったとは申せ、陛下に対し大変な失礼を、この場にて最大の謝罪を」


 こんなの事をいってるが、顔はめちゃくちゃひきつって冷汗流してます。


「まさかあれほどの相手だったとは、テリスト殿が止めておらねば首都が大変な事態になっておりましたな」

「理解できて何よりだがこれからが問題だな、恩賞無しは無くなったと見て良いが。

 そのまま恩賞を与える事も、伯爵に位を上げて恩賞を渡す事も難しい。

 テリストが貴族の居並ぶ前で公然と必要無いと言い切ったからな、これで無理に受け取らせたらテリストの立場が危うくなりかねん」


「父上、そもそもテリストを最終的にどの様な地位に就かせるおつもりですか」

「カーライル、そう言うばお前たちにも正式に挨拶させていなかったな。

 名はテリスト・ファーラル、九歳、今は婚約者だがアリサレア・ファーラルから名を受け継いだ。

 今は男爵で例の潰した伯爵家の家を買い取りそこに住んでいる。知っている通りカーラも同じくだな。

 テリスト、今発言したのが第一王子カーライル・グラグロス十四歳。

 隣が第二王子リンズーベル・グラグロス十三歳だ」

「挨拶が遅くなり申し訳ありません。Bランクハンター兼、男爵位を命致しましたテリスト・ファーラルと申します。

 第一王子カーライル様、並びに第二王子リンズーベル様、今後ともよろしくお願い申し上げます」

「此方こそテリスト、よろしくお願いするよ」

「……テリスト、よろしく」

「すまんな。リンズベルはあまり話さないんだ、気を悪くせんでくれ」

「誰しも苦手な事はあります、無理はなさらなくて大丈夫です。

 俺の知り合いにもいました、本を良く読む子で物静かでしたが、誰よりも知識を持ち合わせていました、得意分野でご活躍される事でしょう」

「本当に気が付く奴だが、相手が駄目だと判断したら本当に苛烈だよな」

「信条でもありますから、基準は明確にブレない事、これ、俺の基本です」

「先ほどの返答だが、将来的にはカーライルの補佐をさせたいのだが、言い方が悪いが使いこなせるかね。かじ取りする腕な無ければ無理な気がして来た」

「陛下、問題はそこではありませんぞ、どう収拾すればよいか、まったく分かりません」


 それなら簡単だろうに、俺じゃなく別の人に渡せばいい。


「それでですが、一つ提案があります」

「ふむ、言ってみろ」

「スタンピートに遭遇し、真っ先に報告申し上げたのはカーラ様ですよね、そしてそのまま北門防衛に尽力なされた、合ってますか?」

「テリストは恩賞を与える対象をカーラに変えろと言うのだな」

「ご明察です。

 今回クインが全く認識されていませんので考慮しない方がよろしいでしょう。

 魔物の強弱以前に、到達されるまでに防衛陣を敷けるか否かで被害の割合が劇的に変わります。

 そういう意味で最大の功労者はカーラ様です、誰も異論は出さないでしょう。

 そしてカーラ様は第一王女で爵位は上げられませんが、元々の御身分が高く町一つ任せる程度余裕でしょう。結果的に俺もお手伝いするのは決定事項ですし、少し目線をずらせば同じ事ですから」

「いえ、その様な事は、最も御尽力成されたテリスト様が受けるべきです」

 それが出来れば苦労はしないんだけどね。その為に悩んでたのだし。


「そうなのだが、受け取らないと宣言していては与える事は出来ん。無理強いとも取られるが、その場しのぎに嘘をついたと取られかねん、今後の事を考えれば避けるべきだ」

「そうであれば、わたくしが受ければテリスト様が助かるのですね」

「そう言う事になるな。実際は学業が終わり次第に本格稼働となる、それまでは王家から代官を派遣する」

「はぁ、どうにか落としどころが見つかり、穏便に済みそうですな」

「テリストの機転のおかげだな、そもそもかき混ぜた本人でもあるが」

「それは申し訳ありませんでした、出しゃばらない方が宜しかったでしょうか?」

「それはわからん、証拠さえ突っぱねるとは、あれこそ足を引く排除した方が良い輩だろ、結果的には落とし何処が見つかった。それで良いだろう」


 それじゃこの件は終わったのかな、聞いてない事があってさっぱり分からないから聞きたいんですけども。


「なるほど、あの、お話を変えさせて頂いても宜しいでしょうか?」

「何だ、また何かやらかしたのか?」


 いやいや、やってませんから、単に年金とか税金の事を聞きたいだけですから、人聞き悪いですよ陛下。


「そうでは無くてですね、貴族の税金の支払い方法はどうなるのでしょうか? 一応は魔物ハンターとして登録してる身ですので納めてはいるのですが」

「あー、その辺りの事を全く説明していなかったな。ローズ説明を頼む」

「はい、先ずは毎年年金が支給されます。支給日は年明けしまして年始の挨拶に来られた際に一括に支払われます。

 公爵三千万リル、侯爵千万リル、伯爵二百万リル、子爵五十万リル、男爵二十万リル、準男爵十万リル、騎士爵五万リル、これらが年金となります。

 土地を管理している貴族以外は基本的に王都に住んでおります。緊急に招集された場合にはどの様な理由が有ろうと最優先事項です。

 次は税金の説明に入ります。

 下位の貴族や名誉職の者は当然それだけでは食べて行けません。そこで副業をされている方が大半です。具体的には王城務めで武官や文官ですね、税を引かれた後給与として支払われておりますが、税は一般の方からすれば少し安いです、特権階級の方への配慮と思って頂ければ宜しいです」


「ハンターですと一律で引かれますよね、卸先が王城になるのですか?」

「貴族の方専用の買取窓口が併設されておりますので、其方へお持ち頂ければ大丈夫です」

「なるほど、スタンピートの際に結構な数を倒しましたからね、また引かれるだろうなぁ」

「それを忘れてたな、それなら直接引き取ろう、この場で出せ」


 ザラザラ出しましたとも、容赦なくね、これまた引かれたが。


 魔石極小:百七十二個

 魔石小:二十七個

 ミル皮:七十三枚

 錆びたナイフ:百七本


「またとんでもない数だな、一人でこれか」

「ソードブレイカーの二刀流でざく切りにして突っ切りましたからね、全体としてはほんの一部のはずですよ」

「とんでもない方を相手に反対していたのだな、我々は」


「今回の件でテリストを侮る者が激減したのは確かだろう、その点は良かったのかもしれんな。

 それよりだ、渡す年金はどうするか、本来なら町の管理をしてこその年金で、学業に励んでる相手に渡す金額では無いな」

「それなら代官の方に丸投げしたらどうですか? 実質、その方が取り仕切る訳ですし」

「テリストはこう言ってるのだが、伯爵相当にするのか子爵相当にするのか、そこも詰めなきゃならないな」

「確かにそうですが、本当にテリスト殿は受け取れる資産に対して無頓着ですな、いっそ伯爵で宜しいではありませんか」


 面倒事を全て押し付けるから当たり前だと思うのだが、間違ってるのかね?


「ならばこうしよう、六年間は学業だから支度金を減らさせてもらおう、半額の五百万リル。

それと先ほどの件、代官には王家より給与が支払われているが、それにカーラから特別給として子爵としての五十万リルを上乗せ、残りの百五十万リルはカーラに渡す。

 代官に二百万リルは渡し過ぎだからな。

 六年間百万リルずつ貯蓄すれば予定より百万リル多くなるから妥当だろ、毎年余剰金の残り五十万リルが生活費だな。

 事実上テリストには渡せんから、カーラを伯爵として扱えば良いだろ」

「落としどころとしては妥当ですな、いやぁ、あの者が反対してからどうなる事かとやきもきしましたが、どうにかなりましたな」


「それではもう一つ宜しいですか?」

「なんだ、まだあるのか? いい加減に終わりたいものだが」

「いえいえ、そこまで悩む事では無いと思いますよ。王子殿下は今現在、何をされているのでしょうか?」

「また突拍子も無い事を聞くな、今は側仕えとして常に行動を共にしておるよ」

「なるほど、ならば統治の勉学に励まれているのですね、それなら丁度いいじゃありませんか。

 王子殿下が代官になりませんか? 実地で学べますよ」

「いやいや、確かに最高の学びの場にはなるが、まだまだ経験不足だ」

「そうですか? 本来予定でした代官の方を補佐に据えればよろしいかと思いましたが。

 この件は口を挟む訳にはまいりませんから後はお任せします」

「テリスト、意見を出しながらも自らは引くのか、はぁ、また厄介事を提示したもんだな」


「テリストも相当に大胆だね、だけど考えようによってはいい機会になるかも知れない、前向きに考えてみるよ」

「町は国としての縮図ですからね、ここで失敗して何処が駄目だったのか検証、そして対策を考える、それだけでも行く価値はありますよ」

「おいおい、失敗が先かよ、もうちょっと言い方をだな」

「陛下もお人が悪い、取り返しのつく失敗ならしておくべきですよ、それは今の内しか出来ないんです。

 ですが、同じ事を繰り返しては駄目ですよ、失敗を糧にするんです、そこから学べばいい」

「何処かの学者に説教された気分だな……あながち間違いでは無いが……」


「今度こそ此方から話す事は終わりです」

「ローズは今決まった事を反対していた連中に説明を、俺は剥奪した家族宛の書状を作成する。

 二人はそうだな、出来ればローズを手伝ってくれ、これで解散とする」


 膝の上で休んでるクインを抱き抱えるのは俺には無理があるのでアリサにお願いして王城を後にした。





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