41:隠し部屋を御開帳
あれから無理を言って連れ出した隊長さんとその連れの騎士たち十名、先ずは二階の執事部屋へ案内した。
ゴンゴン叩いて音の違いを確認させたのだ。
「わかる? この音の違い、詰まってる部分と薄い部分で別れてるでしょ」
「確かに音の響きが違うな。それで、これがどうかしたのか?」
「一面音が同じなら壁の作りが同じって事ですよ。違いがあるのは壁の中に空洞があるからです。厚みによる音の違いですね。とりあえず音が響く側を剥ぎ取りますよ」
丁度角に当たる部分を特定して印を付け、ソードブレイカーを突き刺し、力で強引に四角く奥まで刃を通して切り込む。
ポロッと外れないので、一部手が入る程度に切り取って手を突っ込み、強引に引きはがすと書類の束が収納されていた。
「ふむ。金品が無いな、これは証拠品か、それじゃ次だな」
さっさと移動しようとするが隊長に止められるのだった。
「まてまて! 何でこんな簡単にピンポイントで探せるんだ」
「この方法はローズさんに教えてるからそっちから聞いて、壁を作って検証するらしいよ」
「仕方ないか、五人はこの場に残り回収せよ、回収した後地下へ合流だ」
「そっちが本命だろうな、あからさまに二重にしたような壁だったからな、塞いだ後に新たに壁を作り直したんだろ」
「良くわかるな、まあいい、とりあえず行くぞ」
地下の方は本当に微妙な音の違いだ、その対象の壁の一部分以外は土で埋まってるらしく全然音が響かないが、対象の場所もそこまで響かない、更に奥に壁を作って二重に塞いでいるのだろう。
そしてソードブレイカーの柄でガンガン叩いてみる。
「おっちゃん、音の違いわかる?」
「一緒じゃないのか? 二階の時の様な明らかな差は全く無いだろ」
「うーん、ちょっと分かり難いかな、たぶん壁材の奥にもう一枚作ってるんだろうね、ここは力業で行かないと空きそうにないかな、ちょっと離れてね【エンチャント/ウインドブレードLv2】」
「おいおい大丈夫なのか、血が出てるぞ」
仕方ないんだよウインド系は切り裂き効果抜群だからな、その為に付与したのだし。
「ちょっと見てなって」
付与したソードブレイカーを根元まで突き刺して魔法の効力も使い切り裂いていく。
奇麗に四角く切るも無反応、武器をしまい込み思いっきり蹴ってみるも無反応。
距離を取り縮地利用のドロップキックを食らわせると豪快に中へ突入してしまうのだった。
丁度角の切れ込みが甘くてちょびっと繋がっていたんだろうな。
「いつつつっ、開くには開いたけどこれはちょっと痛かったな【ヒール】」
「本当に隠し扉があったのね。それより、テリ大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫、ここはお宝の山だな、まさに宝物庫だわ」
通路の奥には小部屋があり、乱雑と放り込まれたきらびやかな宝石から宝飾品、はたまた使い物にならないような宝剣など飾るだけの品などもある。
これは一生かけても個人で使える金額以上の資産だな。
実はこの場所、上から放り込むタイプの部屋だったのだ。単に上から開ける場所を見つけられなかっただけで、市場に流せない品ばかりを保管していた場所だったのだ。
市場に流れれば盗品だとばれる、そこから足が付き辿り着かれる恐れがある、その様な品ばかりの、ある意味世に出せない処分場と化していたのだった。その様な品ばかりの為に単価がとてつもなく高く、装飾品としての値打ち物が多いのだ。成金趣味では無いので飾りたくは無いが。
その為放り込む為の窓もごく小さく細長く作られていた為に、柱と柱の隙間だろうと勘違いしたテリストのミスだった。そこへ皆が入って来た。
「なんじゃこりゃ、これはまた何とも。奴ら、ここに資産全てを保管してたのか。うーん、発見はしたものの、どうしたものか」
悩んでいるが所有権は俺に移ってるんだよね。そこはどうするのかな?
「証拠品として城まで運ぶにしても、騎士さんに任せる訳にはいかないな。一応、ここを買って全ての権利が俺に移っちゃってるし」
「数時間前だがそうなるな、それに盗賊の討伐を説明しただろ。
対象は貴族だったが、下手な盗賊より質が悪かった相手だ、それなら全部の資産はテリストに渡る。例外は無い」
「うーむ、だからと言って俺が抱え込むのもなぁ。
使ってないマジックバッグに詰め込んで陛下の元に持参するのが得策だね、俺じゃ判断無理だわ」
「テリが言った事態になったわね」
「それはそれで、ちょっと詰め込むわ」
マジックバッグ収納Lv二を取り出して三人係りでせっせと詰め込み、隊長先導の元陛下との会見となった。
「テリストもよくよく運が有るのか無いのか。それで、宝物庫を発見したと?」
「そうです。それとは別に書類の山も発見しました、其方は騎士さんが回収してます。宝物庫は三人でマジックバッグに詰め込んで持参しました。これです」
と手渡した。
「見ても良いのか? 既にテリストの資産だぞ」
「その様な簡単に言える量では無いのですよお父様」
「全部出さなきゃ分らん訳か、ちょっとひっくり返すぞ」
口を地面につけてマジックバッグを持ち上げると、後ずさりしながら出す羽目に、そして小山になったのだった。
「これは驚いたな、さてさて、いくら程になるのやら」
「陛下、それではこの扱いですがどうしたものでしょうか」
「量が多かろうと少なかろうとこれはテリストの資産だ、俺が口を挟んで良い問題じゃない。
問題じゃないがどうするか、テリストでは現金化するのは無理だよな、市価では買い取れんが七割から八割程度でなら買い取れるだろう、販売するにも手間が掛かるからな。どうする?」
「えーと、それでしたらぜひお願いします」
「全部同時には無理だからな、とりあえず一割程度ずつで良いか、九割程度は回収して持ち帰れ、それとも使うか? 今なら飾り放題だぞ」
成金趣味全開の屋敷になるな……。考えただけで鳥肌立ちそうだ、ありえん。
「御冗談を……そんな悪趣味な真似は無理ですよ」
九割程度回収して男爵家に戻り、引っ越し作業に従事するのだった。




