40:邸宅購入
案の定と言うべきか、帰宅しても王城と同様の有様になり、俺はさっさと寝かされたのだ。
クインはクインで俺の上で丸まり休んでいる、嫁さん予定の二人より俺の所って考えかも知れない。
夕食時に起こされ食卓に着くと肉、肉、肉のオンパレードであった。タンパク質摂ってっさっさと元気になれって事だろうけども、俺、肉より魚が好きなんですけども。
当然の様にクインにも食事が与えられた。こちは魚だ、俺と交換しよう!
寝る段になると俺は全裸に剥かれて寝るのだった。クインもふかふかなので一緒にベッドインだ、俺より強し下敷きになっても余裕で大丈夫なはず!
そう言えば伯爵家を購入したらこの住んでる家の扱いはどうなるのか、話し合うのを忘れていたな。三人で決めれば良い事だし、王城で決めれば良いかと開き直る。
そして翌日、アリサとカーラに手伝ってもらい冒険者としての出で立ちに身支度を済ませ、クインを抱いて王城へと出向くのだ。
そして案内された部屋では、対応に来ていたのはローズさん一人のみ、他は事後処理に忙しいのだろう、一国の主だしそうそう俺にばかり時間を割く事は不可能なのだろうな。
「ようこそいらっしゃいました、テリスト様、カーラ様、アレサリア様、指輪印章も出来上がり預かっております。屋敷の販売に関する書類も署名するだけの状態に仕上げておりますので、先ずはご確認をお願いしますね」
「ローズさんお早うございます、魔物の対応も重なり大変でしたでしょうに、ありがとうございます」
「分担しての作業ですからそれほどでもありません」
「またまた御謙遜を、それでは拝見させて頂きますね」
書かれているのは至ってシンプル、住所と土地面積、現存する建物の詳細、売却代金、譲り渡す者と譲り受ける者の署名欄だ。
「ふむふむ、いたってシンプルですね。ローズさんだから話しますけど、あちらではもっと複雑でしたよ。土地を測量した詳細、家の間取り、築年数を表記するのは当たり前でしたから」
「そうだったのですね、確かに築年数程度は書いた方が良いかもしれません、陛下にお伝えしておきましょう。宜しければ代金の支払いから署名と参りましょうか」
元ギルドマスターから取り上げた現金の中身を見ていなかったのでどっさりという感じに取り出して改めて中を拝見してみる。
「ブフッ、な、なによそれ。どうしたの、奪って来たの?」
奪うって誰から奪うのよ。四六時中一緒にいるんだからそんなことできないの知ってるくせに、それはないよ。
「違うよ、人聞きの悪い。決闘で受け取ったお金だよ、それと魔石の代金」
大半は金貨だったがちらほらと白金貨も混ざっている、どんだけ稼いでいるのだか。
白金貨二十枚を取り出して提示し、残りは仕舞うのだった。
そして署名と指輪印章による捺印をして取引の完了だ。
「滞りなく販売譲渡が完了しました。土地建物、そして家具込みで全てテリスト様の所有物となります」
「はい。話は変わりますが、今回の恩賞、貴族の方も選定に参加されるのですよね?」
「上位貴族数名を参加させての選定となっております。前回の様にはなりませんのでご安心を」
また反対者が出てもめるとか、最悪の事態は避けたいからな。それなら大丈夫そうか?
「ふむふむ、それなら安心ですね」
「左様ですね。
此処だけの話となりますが、今現在も取り調べの真っ最中です。そして統治していた町の名はプレストリア、此方にも手が入り屋敷を調査中となります。
そういう事ですので、しばらくは向かわれない方がよろしいでしょう」
面通し程度は必要かと思ってたが、向かわれる前に挨拶するか、長期休暇でもあればそれに越したことはないけど、どうなるかな。
行き当たりばったりになるけどその時に合わせるしかなさそうだな。
「なるほど、早めに面通し程度はしておかないとと思ってたのですが、在学中に向かう他なさそうですね」
「ご不便をおかけしますが、その方がよろしいでしょう」
「それではあの屋敷、調べ尽されたのですか?」
「家具はございますが、中身は全て押収させて頂いております。まず、大丈夫だと判断を下していますね」
それは穴が有りそうだな、だけど売却可能な損傷で抑える為に、あえてそこまでしなかったんだろうな。
「ふむ、一応虱潰しに調べてみますかね、隠し部屋程度なら調べるのは簡単ですからね」
「あの、その方法をお教えして頂く事は?」
おや、こっちでは一般的ではないのかな?
「誰でもできますよ、ハンマーを使っての打音検査です。同じ壁でも詰まってる場所と空洞の場所では音の響きが違うんですよ。
詰まっていれば音が重いですね、ドスドスといった感じでしょうか、空洞であれば厚みが無いので音が軽いんですよ、コンコンとね。
だから怪しい部分だけ壁を剥がせば良いんです。これなら破損も抑えられますから後の処理が楽ですよ」
「その様な手があるのですね、検証も簡単そうですね、一つの壁を作り、厚みの違う部分を作れば……」
「ハンマーが無ければ武器の鞘でゴンゴン叩けば良いですよ、音の差を探すだけですからね。
さて、そろそろお暇させて頂きますね、引っ越し前に調べてみます、怪しい場所があれば開ける前に連絡に来ます」
こうして王城を後にして新居となる屋敷に到着したのだが、騎士二名が立ち会い、玄関のカギを交換中であった。
俺が燃えてるナイフ突っ込んでダメしたからな、当然だろう。それより、今まで修理してない方が問題っだな、誰かに侵入されたらどうするのだか。
身分証代わりに指輪印章を見せ、取り交わした販売証明を見せて屋敷に入るのだった。
そして上層の階から打音検査をしていく訳だが、家具をどかして壁も床も叩いて行く、そして発見した隠し部屋と思しき場所は二ヶ所だ。
二階にある執事用と思われる部屋とメイドの部屋の間の壁、外から足の幅で計ってみるとあからさまに壁の厚さが厚すぎる。
そして案の定とも言うべき地下部分の一角に空き空間がある事が発覚したのだった。
「やっぱあったな、見つけちゃったよ二ヵ所も、これって中身が金品なら俺の物?」
「テリもせこいわね、証拠品なんだから陛下に渡しなさいよ」
せこいって……証拠なら提出するけど金品は俺に所有権が移ってるのですが……。
「まぁまぁ、とりあえずおっちゃんを呼んでこようか、開けてみてからお楽しみといこうよ」




