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34:恩賞授与

 そして翌日。ハンターとしての身支度を済ませた俺たちは宿を出たのだが、隊長が待ち伏せしていた。さて今回は魔物関連の報告か、それとも恩賞の件か、どちらだろうね。


「待たせてもらったぞ坊主、突然ですみませんがお越し頂けますかな、御三方」

 前回の時は姫様と呼んでいたが今回は呼ばないのか、理由はわからないが指摘するべき事でもないか。

「丁度良かったですよ隊長、なるべく早めに宿を変えようと思ってたんですよ」

「俺からは何も言えんが、そうだな、とりあえず恩賞が決定したからな、それを先ずは聞いてくれ」

 そうなると防具姿で良いのかな? 大勢の貴族が立ち会うのならこれでは不味い気がするが。

「この格好で良いですか? それとも着替えた方が良いですか?」

「そのままで大丈夫だ、公式ではあるが謁見ではないからな。

 恩賞授与の後騎士たちで相手するから。どれほどの腕なのかを、それ次第で騎士に混ざり訓練はどうでかな?」

 にゃるほど。それなら技術面をアリサに教えてもらえたら俺が楽になるな。後は若干俺の知識で修正すれば良い。

「それ良いね! 俺も相手してもらおう、そういう訳でこの格好で行こうか」

「あはははは! これで堂々と模擬戦が出来るな! さてさて、お乗りください。早速向かいましょう」

「おっちゃんの事、今から戦闘狂と呼んだ方がいい?」

「喧嘩っぱやい坊主には言われたくないな」


 いやいや、あれは相手が悪いんですって。


「それでどうしたのさ、坊主って呼び方復活しちゃったね」

「今しか呼べないからな」

 呼べないって事は立場が上がると考えて差しつかえなさそうだな。

「なるほど、恩賞に貴族位が混ざってるのは確定ですか」

「隊長、ここでお教えするのは非常に不味いのですが」

「今のは忘れてくれ……」

「ふむ。貸し一つに合わせて弱みを一つゲットしたと、いや二つかな、宿屋引っ越しは聞いてからと言ったって事は屋敷も含まれてるのか」

「テリも止めなさい。隊長さんが凹むわよ、それに陛下をお待たせしてる事も忘れないで」


 正論ですな。

 とぼとぼと同じ馬車に乗り込み陛下の元へ向かうのだった。

 ちょっと突っ込み過ぎたかも、だけどほいほい重要な情報を漏洩するのは良くないと思うんだよね。

 その点では引き出しやすい人なのかも。

 そして陛下の待つ部屋へと通されるのだった。


「本日はお招きに預かり恐悦至極に存じます、陛下」

 そう、謁見の場では無いので目下の此方からご挨拶するのが礼儀なのだ。ほんと面倒だよね貴族社会って。立場や会う場所でコロコロ対応を変える必要があるってのがね。

「まずは其処に座れ」

「はい。失礼いたします」

 ついでに言うとこの場には俺しか来ていません。恩賞を与える相手は俺に、だからです。

 そしてこの場には陛下を除けば王家の方は王妃がいるのみ、兄弟がいるそうだが此方にはいない。並びにあの時反対した御仁とローズさんと隊長も同席中だ。


「恩賞の件が纏まり準備も整ったので呼び出させてもらった。ではローズ読み上げよ」

「はい。陛下に代わり代読致します。

 先のカーラ様連れ出しの罰も考慮されている事をはじめに伝えます。

 一つ:恩賞ではありませんが罰として現金の恩賞は省かれます。

 一つ:男爵位を授ける。

 一つ:男爵規模の屋敷を与える。

 これに合わせ、家財道具一式、箱馬車一台、御者二名、メイド三名、六年分の給与、食料六年分を与える。

 一つ:六学年学費を三名分与える。以上となります」


 ふむ。現金を削り利便性を高める方向へ舵をきったのね、そして学校は六年確約か、相談する手間が省けた形だが……学生全員が貴族の子供なんだよな。大丈夫かね、新参者にはかなりきつそうなハードルに見えるのだが。


「恩賞の事に関しての説明をせよ」

「はい。

 学費を恩賞として与えますので、現時点で入学を認めます。ですが試験は受けて頂きます。

 寮生活をするのであればメイドを連れて行くようにしてください。通学するのであれば馬車のご利用をお願いします」

「次だ。二名ともハンター登録したと聞いておる、そこで追加する事にした。お金や物の類ではない、ギルバード説明せよ」

「魔物討伐のみでは技術は学べん、そこで近衛騎士の訓練に参加する許可を与える。

 日の昇っている時間帯ならば交代で訓練している。何時でも受け付ける。場所は王城敷地内にあるので入り口にて要件を伝えれば良い」

 なるほど。先に隊長が言っていたが、恩賞の一部としてか。それなら堂々近衛騎士に混ざる方が効率が良いな。それでもきつそうなら一度レベルを上げてから再度来ればいい。期間は定めてないようだからな。


「これらは此方にいるファーメル侯爵が直々に決められた事だ、以上となる」

 反対していた本人に選定させる事で他を黙らせたか、良い手だな。

「謹んでお受けいたします。

 国王陛下並びにご家族の方々、ファーメル侯爵閣下、並びに色々な準備をされた方々に深い感謝を。ご再考頂き有難うございました」


 公爵か侯爵か。言葉ではわからないがどちらでも良いだろ、目上には変わりないし。


「では今後男爵となる訳だが、決めねばならんことが二つある。先ずは家名を考えよ、そなたを鑑定した際に家名が無い事が判明しておるからな、補足すると現存する家名は付けられん。

 もう一つは家紋を作り指輪印章を作ってもらう、わかるか?」

「家紋はわかります、指輪印章の方は家紋を彫り込んだ指輪でしょうか」

「それで正解だ。利用法は手紙などを封蝋する訳だが、その際に押す事によって密閉された証拠でもあり他の者から見られていないとの証明にもなる。貴族には必須の品だ、此方も作らねばならん、紋章官を後でつかわそう」


 使えなってことだけど、お嫁さんになる人のはダメなのかね。


「一つお尋ねしてよろしいでしょうか」

「何かわからない点があったか?」

「補完です。おねえさ……アレサリアの家名は使えないのでしょうか?」

「テリストは家長となる為婿入りできんが例外があったな。あの者は対象となりえるか? ローズ」

「血縁者は皆無であったはずです、ご本人の許可さえあれば使えましょう」

「そう言う事であればテリストが望んでいると伝えてやれ」

 それなら堂々と使えるな、アリサ次第だが。

「はい。行ってまいります」


「これで決める事は決めたな、後は騎士に面通しと屋敷の案内だけだな」

「陛下。カーラ様のハンター登録の件、お止めせず宜しかったのでしょうか?」

「側に寄り添いそなたを支えると考えたのであろうな、その決意は止めはせんよ、十分に配慮しているようであるしな。

 恩賞の件は終わりだ。決闘に際し押収した品を渡しておこう、と思ったのだがな、何分量が量だったのでな、先に屋敷の一部屋に詰め込んである、現金のみはこの場で渡す。

 同じく魔石中の代金も入れておいた、ギルバード」


 その出された袋のデカイのなんの、どんだけ稼いでるんだよあの爺さん。

 俺が一抱えしなければならないほどの大きさ、邪魔なのでさっさと収納しておいた。


「決闘に際し過分なご配慮いただきました事、ありがたく存じます」

「大変興味深い決闘が見れたんだ、何も問題無い。無いがな、騎士との訓練はスキル禁止を言い渡す、これは守れよ、騎士が死にかねん」

 魔術はわかるが、それだとスキルが余り育たないんだよな。一部認めてほしいな。

「あのー縮地程度は使用許可を頂きたいのですが」

「という事らしいがどうだ?」

「あの踏み込みの速さに対応する訓練ができる事から騎士たちの訓練に弾みが付きましょう、ぜひ使って頂きましょう」

「なら問題無いな、会見はこれで終了する。

 ギルバード。分れた二名と合流し訓練場に案内を、その後は訓練するもよし、屋敷に戻るもよしだ。屋敷に赴く際は同行しろ」

「陛下、皆様方、お先に失礼いたします」


 こうして部屋を後にした。



___________________________

 部屋に残りし者たち。


「これでひと段落だな、後はテリストたちに適度な手柄を立ててもらい、引き上げるだけだ。その下地が出来た。それで、ファーラル卿、どうであった?」

「正に驚愕の一言に尽きますな。

 まさかあれほど恩賞を削られたと言うのに嫌な顔するどころか、よくやってくれたと言わんばかりの顔でしたな。

 言葉使いもですぞ、九歳であれほど陛下の恩前で話すとは、どれほどの胆力があるものか」

「理解してくれたようで助かる、かならず我が国の中心的人物に育つであろう」

「はてさて、どの様な成長を遂げますかな、楽しみな事です」


「そうですね、先日早朝から来たかと思えば、貴方にでは無く私に会いに。

 それもカーラを前面に出さず自ら名をつげての来訪。

 それも貴方とカーラのしでかした事のしりぬぐい、それで堂々と自分の罪だと言い放ち罰を下さいと。

 カーラを幸せにする様にと言いましたが納得しませんでした、それは褒美だと。

 恩賞を大幅に削る事を知っていましたので便乗して納得させましたが」

「そ、そうだな。俺が一番悪いな」

「その様な事まであったのですか、いっそカーラ様の伴侶である事から伯爵位を与えたい所ですな」

「出来ない事を知ってて言ってるだろファーラル卿、周りの貴族が反発するわ、テリスト本人も反発するわで取り返しがつかん」


___________________________

 俺たちはと言えば、二人と合流したのだが、家紋と家名の事を話し合っていたのだった、そこへは紋章官を連れたローズさんも同席していた。


「アリサの家名使ってもいい? 聞いてるよね?」

「問題無いと言えば問題無く使って良いわよ、それより折角自分でつけ放題なのにその権利を捨てて良いの?」


 とてもじゃないけど付けれないのを言えば、使ってくれと言うだろうな。


「うーん、猫人族とその華麗なる一族とか、王女殿下にぞっこん家族とか、アルテトラスツブシタイとか、勇者は被害者、勇者を救い隊とか、駄目よね?」

「あ、あんた、どれだけ酷い家名を名乗らせる気なのよ……私の家名を使いなさい!」

「おし! 本人が良いよ、じゃなくて、使ってくれと断言なら問題なーい! これからはテリスト・ファーラルと名乗るよ」

「……はめたわね……」

 睨まれているがスルーだ。次だよ次。


「次だね、紋章官さん、此方の要望でデザインとかしてもらえます?」

「可能でございますよ、中には武器を模されたり、特徴的な魔物を模した家紋を作られている方も少なからず存在してます」

 グリフォンやらドラゴンとか似せるのもかっこいいからな。たぶんだが重複しそうだ。

「なら丁度良いな、猫の顔を正面から見た感じにデザインしてほしいな」

「ご自身の種族を模される訳ですね、承りました」


 貰った恩賞を伝えると屋敷を見たいという話になり、訓練場そっちのけで向かう事になるのだった。



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