33:修行
王城を後にした俺たちは、流石にこのままの姿で武器購入へも魔物ハンターギルドへの登録へも行く訳にいかず宿屋へと戻って来ていた。
「はぁ~疲れた~~、もう今日は出かけなくて良いや。寝とく」
初対面で尚且つ、相手が王妃様だった事もあり気疲れしたのだ。
「だらしないわねぇ、まだ九歳よ、老け込むには早いわよ」
そうかもしれないけど神経使うんだよ、如何も無いならアリサは行って来い。
「んじゃ行ってらっしゃい」
「嫌よ!」
「ほら一緒じゃん。アリサさん、老け込むには早いわよ、まだ十台よ」
「テリ、喧嘩売ってる? 売ってるわよね?」
「同じことを言っただけでしょうに、それなら先に俺へ喧嘩売ったって事でしょ?」
ただでさえ神経する減らした所に、追い打ちをかけないでほしい。
「はぁ、本当に隙が無いわね、何時か論破してやりたいわ」
いやいや、対抗心持たれても困るのですよ……。
「まぁまぁ、召喚前は散々口喧嘩してたからね、嫌がおうにも慣れちゃってきてさ」
「もういい、こっち来なさい」
「はいはい、今日も揉ませて頂きます」
「そこ! そんな言い方しないで!」
悪い。思わずに投げやりに言ってしまったな。俺の為に言ってくれたのに、ごめんよ。
「ごめんなさい」
「わかれば良いのよ」
「あの、仲間外れは良くないと思うのです」
「え?」
「ですから、仲間外れは……」
この日から例の行動にカーラが加わる事になる瞬間だった。
狐の尻尾モフモフ最高! なのであった。起きて身支度する際に髪と同様にブラッシングしているので本当にふわっふわなのだ。
翌日。真っ先に向かうは武器屋さん、魔物ハンターギルドは早朝だと混雑しているからだ。そして三人共に購入した防具を着こんでいる。
俺だけマントも外装も購入していない為体の線が出まくりだ、購入しておくべきだった。
武器屋にアリサとカーラを預け、俺一人で防具屋に突入して取って返し、武器屋に戻るという選択を取る。武器の説明するのに本職がいるから問題無いだろうとの魂胆だ。
そして購入していた武器だが、特注で作ってもらったスピアタイプで尖端はミスリル製、そして柄はダマスカスだった。それで若干オーバーの七万リル。尖端のみなのでミスリル使用量が少なく安く出来たのだろう。
所変わり魔物ハンターギルトへ出向いた俺たち。
かなりハンターの姿が減った受付で登録を済ませ、もうすぐ西門だという場所で、またもや元兄と遭遇してしまった。
「テリストー、こんな所で会うなんて奇遇だね」
「お? リンズハルト殿ヴァロッサ殿、数日ぶりです。今から魔物討伐ですか?」
「そうだよ、慣れるまでフロッグ討伐しようと思ってね、今から行くんだ。テリストもどうだい?」
そう、今二人は荷馬車の上に座り俺達を見下げる形で話しかけて来たのだ。しかし、大物が出たのにあえて行くとか命知らずだね。
「こっちの二人と一緒に近場で訓練するんだよ。背の高いお姉さんがアリサ、で、こっちがカーラ」
「また美人さんを連れてるね、元弟がお世話になりますね」
「紹介にあったアリサです、どちらかと言うと逆です」
「カーラと申します、よろしくお願い致します」
「このまま話し込むと邪魔だからね、僕たちは行くよ。それじゃまたね、御者さんお願いします」
そう言い残して去って行った。
「いたって普通の方でしたね、少し警戒してしまいました」
「まぁ、あれを見た後じゃね」
「そんなに酷かったの?」
「聞くに耐えない程度には、と申しましょうか」
「そんなこと良いよ。最悪な奴、この認識で統一」
「言いきっちゃうんだ、聞いてる内容があれだし、そうなのかもね。それより母親の行き先を聞かなくてよかったの?」
「良いの良いの、またこっちの都合で振りまわすのは忍びないからね。このまま関係が消滅した方が後の為でしょ」
門を抜けて王都の外へ、門から二百m程度離れた位置で訓練だ。
的は永続化した【エターナルエンチャント/ファイアブレードLv1】を附与した錆びたナイフを地面に突き立てておいた。
アリサはひたすら突きの訓練、左手は添える程度で力をいれるなと言ってある。力よりまず正確さを身に着ける様にと、そこから徐々に速度を乗せる様にと。
カーラの方は成れたもので的へ射るのはすぐに止めて俺に向かって放たせる、動く標的を先読みして射る訓練だ。
一定距離を保ち一定速度で横歩きに歩くだけ、切り払うと勿体ないので掴み取る。慣れてきたら速度を上げたり下げたりだ、それだけだ。
そして肝心の俺の訓練だが、矢に魔法を込めている。【インパクトエンチャント/ファイアボール】 着弾程度の衝撃が加わればファイアボールの魔術が発動する爆裂の矢、これを量産していた。作っては鑑定、作っては鑑定なのである。
今の鑑定Lvではスキルそのものの鑑定が出来ない、固定スキルの付与魔法だが、はっきり言ってこの世界の理から外れている事は明白の理。そこで早急に上げて鑑定したいのだ。
普通一般には空きスロットに付与するらしいのだが、俺はそれを無視しての付与が出来ている。
このスキルの鑑定結果次第で出来る事が判明する為、今後の装備強化も含めて再検討が可能って訳で、なるべく早めに鑑定したいのだ。
「テリ、いつまでさせるのよ、いい加減次を教えてよ」
飽きちゃったらしい。型を教えるのも良いが、そうなるとカーラがフリーになってしまう。カーラが初心者なら射かける訓練をさせる所だが。既にその領域は越えている。なら、俺の訓練も兼ねて連携してもらうかな。
「それじゃカーラと連携の練習な、カーラの射線軸を塞がない様に注意しながら俺へ攻撃、とりあえず対人戦は考えてないけど、急所である首から上と、移動力を削ぎ落す為に足を狙え。
注意するのは後ろからカーラが射るからな、突然射線を塞ぐなよ、頭に当たると死ぬぞ。
カーラもいいか?」
「はい、よろしくお願いします」
「俺は武器を払うからな、重心を崩すなよ。力をいれすぎると持っていかれるからな」
「わかったわ」
二人相手だとほんと、気が抜けない、しかも矢を掴むどころじゃない、ソードブレイカー二刀流でも完全に追い込まれる始末、本来ならバックステップで一旦距離を取り体勢を立て直す所だがそれをしては今の技量だとアリサが危険なので却下なのだ。
食事休憩を長めに取り、また再開だ、そして体力の限界手前で終了する。
「はぁはぁ、テリ、どんな体力してるのよ、こっちはへとへとなのに息一つ乱してない」
「体力はそうだけどさ、ずーーっと回避ばっかりで集中するのって気疲れするからしんどいんだよ、次は攻撃も混ぜるんで気を抜かない様に。その前に槍で相手の攻撃を捌く訓練が先かな。それと同じく懐に入られた際の対応を覚えてもらう。
それと今回はカーラとの距離はつめなかったけど次はつめるんで、自分の立ち位置を常に考えるように、接近されたら弓兵は最後だからね」
「一気にハードルを上げるのですね」
「本来なら攻撃のみで倒し切れれば良いけど、数が多かったり格上相手だとそうはいかない、それを考えると防御は重要だ。そちらがおろそかだと、攻撃に回られた瞬間殺される。
そちらに一日使って次は実戦してもらう。それで自分の欠点を見つける事、無いと判断したならそれはそれでいい、そういう事で帰ろうか」
「あー、帰りながらでいいわ、その技術こっちで叩き込まれたの?」
「いや、召喚される前だね、結構な種類の武器を扱えるように親父から叩き込まれた。ま、ブランクが結構あったけど、体動かすとけっこう覚えてるもんだね」
懐かしいほど経過した訳じゃないけど。元気してるかね。突然行方不明になったらか相当な事態になっていそうだ。警察官を繰り出しての捜査も行われただろうな。
「そんなに物騒だったの? ここも物騒なのは変わらないけど」
「いやいや、魔物いなかったから、技術の継承と護身術の為、程度だよ。普段武器を持ち歩いてたらこっちでいう牢屋に放り込まれるよ」
「そうなのですね、魔物がいないのですか、想像できませんね」
こうして一日が過ぎ去って行った。
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テリスト
レベル:53
年齢:9歳
種族:猫人族
状態:健康
HP:947
MP:438
力:B-
体力:B-
敏捷:B+
魔力:C-
抵抗力:C-
固定スキル:<付与魔法Lv4>
レアスキル:<取得経験値増加Lv10>
パッシブスキル身体系:<体力強化Lv4><敏捷強化Lv4><腕力強化Lv4><魔力強化Lv4><自動MP回復Lv5><自動HP回復Lv4><斬撃抵抗Lv1><打撃抵抗Lv1>
パッシブスキル魔法系:<無詠唱_><同時詠唱Lv1><火抵抗Lv2><風抵抗Lv1><土抵抗Lv1><氷抵抗Lv1><雷抵抗Lv3><光抵抗Lv1>
アクティブスキル物理系:<剣術Lv3><刀術Lv1><槍術Lv3><棒術Lv1><鈍器術Lv1><短剣術Lv3><二刀流Lv2><変則二刀流Lv1><弓術Lv1><投技術Lv1><盾術Lv2>
アクティブスキル魔法系:<火術Lv4><風術Lv4><土術Lv1><水術Lv3><氷術Lv1><雷術Lv2><光術Lv3>
その他技能系:<縮地Lv4><気配探知Lv5><気配遮断Lv5><魔力探知Lv5><魔力操作Lv5><鑑定Lv3><収納Lv3><生活魔法_><魔道具製造Lv1><鍛冶Lv2><速読Lv1>
装備品:ダマスカス製ソードブレイカー×二本、サラマンダー製皮鎧・ズボン・小手・ブーツ
資金:1630000リル+金貨多数銀貨少数銅貨少数
予備武器:鉄製エストック(刃渡り40cm)、ラージシールド(小円形盾、直径30cm)、ダマスカス製フランベルジュ(120cm)、ショートボウ、木の矢(尖端鉄製)200本、爆裂の矢40本




