3:プロローグ3
そして現場に到着後すぐに降ろされて、戦闘準備をさせられた。なんでも平原にいる魔物を討伐せずに突っ切ったらしく、後ろから追いかけてきているらしい。
馬車を後方に俺たち四名で半円形に陣取り、後方は騎士に任せて相対した。
「まずは鑑定しろ、それである程度の力量は計れる」
なるほど。店を回らされ延々商品説明を聞かされたのはそのためらしい、そして追ってきた魔物はこれの団体さんだ。
そして、使用制限の掛かっていた鑑定を使うことを許されたのだった。
ウルフ
レベル:3
種族:ウルフ
状態:健康
HP:32
MP:3
強いのか弱いのかはっきりいって良く分からんが、犬系であることから敏捷は高めのはず。アルファベットが若くなるほど能力は上がると考えればGが一番低いはず。ま、犬が魔術に長けるなんてありえないからな。
それにしても犬はウザイ。グルグル唸るわバウバウ吠えるわ、俺は大嫌いだ。
近所に飼われていた犬が夜中に吠えるという最悪な環境だったせいもあり、一mmたりとも好感が持てない。
そしてある程度数が揃った所で一斉に飛び掛かって来た。ちなみに俺の位置は一番左だ。丁度いい位置とも言える。
なにせ盾を使った訓練はしておらずこれは絶好の機会でもあるからだ。
一人二匹は当たり前で三匹同時もあり得るし、その三匹が俺の方にもきていた。
一番右にいる奴に対しては剣先で牽制する。犬に向かって剣を向けるだけの簡単作業だ。誰も刺さるとわかってる中に飛び込もうとは考えないわけで、左右に体を振りフェイントを入れているつもりのようだが体全体を使うためにフェイントにすらなっていない。
そして残り二匹だが、こちらは同時といっていいタイミングだ。ここで取る方法は一つ、右足を半歩斜め後ろに引き重心を下げる。
先ずは中央の犬の顔めがけて盾の半分程度当たるように振り抜くと左の犬には盾全体がクリーンヒットした。
そして怯んでいる隙に右手の剣を反らして、わざと攻撃を誘発させる。飛び掛かって来たところを串刺しにする。いやぁ、嫌いな奴が相手だと躊躇せずに済むのはいいな。
そして死んだかと思うと塵になり、霧散して一つのアイテムがその場に残った。当然拾う時間はないが。
後は同じことの繰り返しだ。数が2匹に減ったことからシールドバッシュの相手が一匹に減り、タイミングを計る手間が省けた分楽になる。
右の犬が攻撃しやすい様に隙を作り飛び掛かって来たところを突き刺す。新たに追加される犬だったがこれの繰り返しであっさりと全滅まで持って行けた。
他の三人は魔術を使い牽制し、タイミングをずらさせることで同時攻撃を避け、その間に倒していた。
魔術一発では倒せないらしい、この場合牽制のために使うのは正しい行為だ。無理に魔術ばかりに頼ると魔力切れを起こして気絶コースだからな。そうなれば死への螺旋一直線だ。
そしてドロップアイテムの牙や皮を拾い集めていると例の騎士が声を掛けて来た。
「オウカだったか、四人の内ただ一人の初陣だったが危なげもなく戦えたな」
適当に言っておくか。こいつらに情報を渡す意味はない。それが元で窮地に陥るなんて馬鹿のすることだ。
「元々犬が嫌いだしな、躊躇せずに済んだのはそのおかげかな。それに、直線的な動きで飛び掛かって来る相手なら動きを予想するまでもなく対処しやすい」
「ふん、言われてみればそうだな。武器も持たずにリーチは最低、ジャンプさせれば空中回避の手立てもなくその間は攻撃し放題。半端な速度の分、余計に攻撃を合わせやすいか」
そうなんだけどね、ただ、ドロップが残るっていうのが何よりも良かったかな。さすがにあれを解体して皮を剥げとかいわれてもさ、好き嫌いの問題じゃなく、はっきりいって気分が悪くなると思う。それも確実に。
「しかし、馬車を引く馬より遅いって、走るの遅すぎだな」
パンパンと手を叩き五分休憩を言い渡され、そして俺が先頭で森に入るのだった。
そして森で遭遇したのはこれだ。
ライトゴブリン
レベル:2
種族:ゴブリン種
状態:健康
HP:23
MP:2
いい所なしである。ステータスは最低、そして武器は持っていてもリーチは短く切れ味は悪い。もしかして破傷風狙いか? それならある意味殺傷能力があるな。
人間の様に二本立ちの姿だが、とてもじゃないけど躊躇するってレベルではない。
身長百二十cm程度、体は深緑色、耳は尖っていて頭は辛うじて毛が生えているほぼ禿げ頭、顔はブルドックより少しマシな程度、腹は突き出て太ったおっさんぽい。手足は細く脚は短い、いい所が全くなく人間とはとてもじゃないけど思えない。
躊躇せずに済むからアリと言えばアリか。
警戒もなにもない、気配探知で距離から、いる数まで丸わかりなのでそのまま突き進み相対する。
攻撃されれば盾で弾き飛ばし、ついでに腕の骨を折りつつ剣で首を刎ね飛ばす。
ちなみにドロップ品は魔石極小だった。
そしてもう一種類出てきた魔物がこちら。
ゴブリン
レベル:4
種族:ゴブリン種
状態:健康
HP:37
MP:3
ステータスがちょっと上がっただけで見た目はまんま、こちらも苦労する事無く殺す事が出来た。ドロップ品に錆びたナイフが加わった。
順調だったのも途中までだ、討伐の途中に雲息がかなり怪しくなった。
森の奥から奥からこちらに向かって大量に魔物が向かって来るのだ。異変に気が付いたザックの指示の元、バックアタックを受けつつも馬車の元まで帰還に成功した。
そして突如現れた巨大で奇麗な鳥、ではなく、巨大で奇麗な色合いの飛んでる魔物、その名もガルーダ、赤を基調とし緑や黄色の羽根で着飾りなんとも優雅ではあるのだが、その実力はとんでもない代物だ。
ガルーダ
レベル:58
種族:鳳凰種
状態:健康
HP:692
MP:328
なんでこんな場所にいるのか、魔物を追い立てていたのはこいつで間違いないだろう。
そして理不尽な命令が下された。
「トウカ以外は馬車に乗り込め! 貴様はここで魔術を使い牽制して時間を稼げ!」
「俺に死ねってことか! ザックのクソ野郎! お前も責任者なら責任者らしく、お前も戦え!」
文句を言いつつも弱点そうな水術、【アクアアロー】をガルーダに向かって放つ俺。体が言う事を聞かず攻撃の手は止めれず逃げる事も不可能だった。
なぜ俺が真っ先に切り捨てられたのか、見当もなにも簡単なことだと思う。送還できませんよと暴露されて面子は丸つぶれ、その報復でレベル一を強要されている次点で御察しだ。
俺の運用は付与魔法が使えることから、そちらでこき使う予定だったのかもしれないが、この状態となれば真っ先に切り捨てられるわなぁ。
ここで俺はリタイヤするが、次に危機に瀕した場合、次点でポニーテールの子が対象だと予想する。俺ほどではないが、オブラートに包みもせず強烈な一撃を与えたからな。
ガルーダの方はというと、超が付くほど低レベルの魔術だが攻撃されてはそりゃ怒るわ。俺の放つ魔術は障害にもならず、こちらへと一直線に突撃して、俺を頭からぱっくりと啄ばんだ。
そして鳥らしく咀嚼もせずに丸のみに、俺は意識を手放したのだった。