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28:今後の予定

 三人は宿に帰り大部屋の一部屋を借りた。六人用だが問題無い、三人部屋が無いからだ。そして夕食には若干早く、それまでに今後の事を話し合うのだった。


「ただいま、お帰りなさい」

「テリ好きねそれ。それよりも、カーラ様をこんな宿屋に連れて来て本当に良かったの?」

「はい。わたくしの事でしたらお気になさらずに、こういった宿に泊まった経験が御座いませんので楽しみだったのです。

 それで一つお願いがございます、わたくしの事はカーラとお呼び下さい、アレサリアお姉様」


 お姉様か。ま、年上なのは合ってるが、種族が違うし違和感があるなぁ。


「今後の事もありますのでカーラと呼ばせて頂きますね。そして、私の事はアリサでお願いします」

「改めてアリサ、カーラよろしくお願いします、そして今後とも良しなに。で、アリサの事だけと外でもこれで良いの?」


 狙ってた連中は全て捕まったし、今後は大丈夫かとは思うが、少しの期間程度は警戒すべきかね?

 その点は本人に聞くのが確実だ、判断を仰ぐに限る。


「良いわよ、あれは見つからない様に用心の為だもの、その相手がいなくなったから気にしなくて良いわ。

 それよりも今後の事よ。私にはギルトの仕事で留守にしがち、そうなるとテリが常に一緒にいる必要があるわ。

 でも今後の事も考えると狩を疎かにするべきでもないでしょ、そこが問題なのよ」

 カーラを狩場に連れていき引っ張りまわすのも問題だよな、かと言って宿に缶詰でもよくない。

 どうするかね、妥協点を考えなければいけないが、あるのか?

「わたくしはテリクンと呼ばせて頂きますね。

 その事でしたら問題ありません、わたくしもテリクンと同じく魔物ハンターギルドに登録致します」


 温室育ちかどうかは分からないが、王女様がハンターとして魔物と戦う宣言はどうなのよ、命のやり取りって理解してるのか?

 そうでなくとも王女が魔物と戦うって、なんだか場違い感が凄いんですけども。


「命のやり取りだよ、それは危険だ」

「こう見えて弓には自信がありまから、明日にでも証明致しましょう」

「それなら負けられないわね。私も退職してハンター登録するわ」

 流石お姉さん、即決か。それにしても気軽に就く職業じゃないと思うだけどねぇ。

 死と隣り合わせなのを理解してるのか不安だな。

「あ、あのね、釣られて気軽にするもんじゃないんだよ、本当に分かってるの?」

「そうね、初心者にお勧めの武器は何かしら?」

 はぁ、仕方ないか、言い出したら聞きそうにないしなぁ。

 それなら割り切って最善に持っていくように努力するだけだ。


「まずどの距離で戦うかだね、カーラが選択してる弓が一番距離はあるけど相手は常に動いているから、当てるのは至難の業だよ」

「それでも初めから最接近するのは怖いわね、それなら槍かな?」

「中距離で戦う選択なら槍が適当だね。

 槍も色々とあるから、一番短い短槍で一,五mほど、長槍で二,五mほど、馬上槍、言い変えるとランスで三mから三,五mほど、パイク兵用の槍だと五m程度かな。これは騎士団とか集団戦用だけどね。

 長さはそれぞれだけど刃先の形状でも違って来るからそこは現物確認だね」

「それなら長槍で良いわね、勿論教えてくれるんでしょ」


 その選択だよな普通、突く動作を徹底的にたたき込み、懐に入られたら石突き部分をも使って殴り飛ばす方法を教える。

 そして相手が最接近してきた場合、自らの足を使った攻撃もマスターすれば相当な実力差がなければ対処は可能だろう。

 そこまで覚えれば一人前だ。後は自信を持たせて動きが小さくならないように指導すればいい。

 コンパクトな動きは大事だが、ここ一番での思いっきりの良さが勝敗を分けることもある。

 そこまでできるようになれば一流だろう。


「勿論だよ、長い分懐に入られたら不利だけど、その場合のさばき方もね。だけど、突然やめると迷惑でしょ、明日は働いて調整する時間を作って上げた方が良くない?」

「それもそうね」

「俺とカーラは武器と防具に小物類と外で使うテーブルとか椅子、それに食器とかを買い出しかな。外で食事するのは確定だし、俺は武器と防具は特注で作ってもらわないとあり合わせでは装備が無理、たぶんカーラも防具が特注だよね。

 時間が掛かるから一足先に注文も兼ねて買いに行こうか」

「それでしたら訓練の際にお世話になってますお店をご紹介しますよ」

 それは良いな、王家御用達(ゴヨウタシ)とか、めっちゃ腕が良さそうだ。悪ければそもそも利用しないからね、信用の面では最高だろう。行かないという選択肢は存在しないね。


「おー、王家御用達(ゴヨウタシ)とか腕が良さそうだね、是非行ってみたい。

 それはそうとちょっと聞きたいんだけど、此方の人たちでも全員全属性の魔術って覚えられるものなの?」

「適性が必要だと聞いた事があります。ですが、訓練した事はございません」

 ハンターたちの身形からだが。魔術方面に特化したような人ってあまり見かけないんだよな。元兄二人もだが。使うつもりは無さそうだし。使いたいならそもそも俺に教えを乞うとかしても不思議じゃ無いが、その素振りすら無いもんな。重要視されてないのかもな。

 二人には覚えてもらうかな、攻撃手段は複数あるほうが良い、特に無詠唱まで極めたら移動砲台になれる。

「調べる方法は?」

「それなら初級の魔術を放ってみればいいのよ」

 ああ、なるほど、俺も魔導書読んだ後はぶつけ本番だったな。それなら実際に詠唱してもらって発動するのか試せば良い訳か。

 適性があるなら発動するし、逆なら然りってね。


「火よ還元し刺し貫け ファイアアロー とかだね、言わないでね、魔力操作が無いと本当に発動しちゃうかもしれないから。

 闇だけは教えられてないけど、頭一文字部分をそれぞれの属性に変えて、アローの前を適正な言葉にするだけだね、ファイア、アクア、アース、ウィンド、アイス、ライトニング、ライトだね。

 もっと砕くと、還元は魔力からそれぞれの属性へ変える為の言霊、刺し貫けで形状とその用途を表してるのよ、それらの組み合わせで効果が変わって来る。当然スキルレベルが足りないと発動さえしないけどね」

「テリクンはそんな事まで覚えされられたのですね」

「覚えさせられたと言うより、魔導書を丸暗記させられた。文字の形が違って読めないはずだけど読めたんだよね、それを属性ごと何冊も読んだから嫌でも覚えちゃったよ、それで今では不自由なく書ける」

「丸暗記なんて正気の沙汰じゃないわね、だけど利点もあったのか」


「近場の事はそれで良いよ、俺は来年学校に行かなきゃこの国、いや、世界か、常識も身につけないと駄目だから行かないって選択肢が取れない、それでメイド枠が一人分しかなくて、どうしようか?」

「カーラは十二歳よね、勉学はどうだったの?」

 あれ、何時の間に年を聞いたんだろ?

「専属の家庭教師を付けてもらえて六年の学校分は既に習得済みですよ」


「あー、帝王学を学んだのね。それはきつかったね」

「帝王学? なによそれ」

「短期間で必要な勉学を全て詰め込まれるんだよ、いうなれば一年間で三年分を覚えるとかね。

 なぁ、アリサは勉強したのか? してないなら受けろよ、歴史に関しては完璧だろ?」

 年齢制限はどうなのかね、そのあたり聞いてないが、提案だけなら問題ないだろ。

「あ、あんたねぇ、無茶言わないでよ、この年で行けって言うの?」

「それも良い選択かも知れませんよアリサ。特にハンターになるのであれば基礎から学べます。

 命に関わりますからマスターすべきです」


 大丈夫なようだな、このまま進めるか。


「決定だな、ちょっと立場が逆になるけどアリサのメイド役でカーラが入れば問題無く三人行けるね」

「待ちなさいよ、そもそも恩賞次第で貴族でしょ、可能なら六年の学校も視野に入るじゃないの」

 それは可能ではあるが、質の問題だよな。教師の能力がどの程度かで行く価値が変わるからな。

「うーん、確かにそうだけどさ、内容はどうなのよ、それと質は」

「次回王城に行った際にローズさんに聞いてみましょう、それから判断でも遅くありません」

「そうなると金額が跳ね上がって白金貨三枚って事は三十万リルか。俺が単独で狩りに行けば余裕で稼げるな」

「それならあれを数えなさいよ、もらってるんでしょ」


 この一言でもらって来た巾着をひっくり返して数えてみた。

 相当な額だった。白金貨十五枚と金貨数百枚ありそうだ、後は少数の銀貨と銅貨。

 無理に稼ぐ必要が無くなった瞬間だった。

 そして宿の一階に降りて食事をしていると声を掛けられた。


『すげー別嬪さんが二人もいるぞ、そんなガキほおっておいて俺と楽しく飲もうや』

『良いね、俺にお酌してくれよ』


 あーやっぱり現れたか、近いだけで選んだような宿だからなぁ、もちっとランクの高い宿に引っ越さんと駄目だな。

 自分に釣り合うのを探せよなおっさん。へたに絡むと不敬罪でとっ摑まるんじゃねえの。カーラがいるし。


「うぜえぞおっさん。目障りだ、消えろ」

『お、こんなちっさいお坊ちゃんが粋がってすごんでるぞ、おお怖い怖い』

『ちげえねえ、お子様は寝る時間だよ、さっさとお家に帰りな』

「図体がデカいからって俺が偉いとか勘違い君だな、馬鹿丸出しだからそれ位で止めとけ、見てて哀れだ」

『おい、喧嘩売ってるか? 買うぞ、買っちゃうぞ』

「なら買ってくれ、今から決闘しようや。賭けるのはお互いの全財産な、見るからに貧乏そうだけど」

『ガキんちょが粋がるなよ、良いだろ、受けてやる。表へ出ろ』

「はぁ、あんたね、その性格治らなの? もうちょっと穏便に解決しなさいよ」

「そんなに言うならお姉さんが突っ込めばよかったじゃないか」

『グダグダウルセエぞ! さっさと出て来い!』

「ほら、怒られちゃったじゃないか」

「行ってらっしゃい、私たちはこのまま食事しとくわね」


 結果、縮地で接近、掌底を鳩尾に打ち込み決闘終了。殺してはいないが、ゲロって失神している。

 懐を弄り金品は回収、服は全て剥ぎ取り、使う気はないのでその場で焼却処分。そのまま放置して食事を済ませ、部屋に戻るのだった。

 全財産だからね、服も資産に入るのだよ。

 観客はもちろんいたよ、同じく食事をしていた客とその場を通りかかった通行人が。

 ひ、ひでえ、あそこまでやるのかよ、とつぶやいていた。これで下手に喧嘩を売るアホはいなくなるだろう、そういう意味でも見せしめは必要なのだよ。

 ただ、冷え切ったシチューを食べる羽目になったのだった。


「話忘れていたけどテリ、家を捨てたと言ってもご両親は健在なのよね。私は兎も角、王女殿下と婚約した事は報告した方が良いと思うわよ」

「え? テリクンは家出したのですか」


 そりゃしたよ、あれは見限る以外の選択肢がない。


「相当に酷い人らしいわね、テリの実家は雑貨店を経営しているの。

 それで収納スキルをバッグに付与する事でマジックバッグを作れる事を知った父親がここにずっといろ、お前に常識は必要無い、学校へも行くな、と言ったらしいのよ。

 それも事前に学費は自分で工面するからとの言葉も添えてる状態でね」

「そのお父様もテリクンの事を知らないのですよね」


 おー、流石姫さんだな。批判部分には乗らずにすり替えるか。


「家族誰一人として知らないよ、記憶喪失で押し通したから。

 そもそもあれが知ったらお金儲けに利用しようとするんじゃないの?

 騎士さんが使う雑貨類を俺のとこに卸させるように便宜を図れとか平気で言いそうだよな。

 あー耐えられないわ! 確率がある以上却下、どうしても言うなら元母さんだけに言えば良いかな」


「……無い、と断言できないかもしれないわね、それなら近日中に私が出向いて話してみようかしら」

 はぁ、それはお勧めできないけどな、俺の名前を出したとたんに切れて口論になるんじゃねえの。

「お勧めしないけどね、不愉快になるだけかもよ」


 そして就寝するのだが裸で寝る癖があるらしくカーラは素っ裸、俺も素っ裸で素っ裸のアリサに抱かれて寝るとカーラに乱入され三人で寝た。尻尾モフモフしたかったのだがやめておいた。

 婚約したとはいえ、初日にモフルのは躊躇したのだった。


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