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25:もぎ取り

 王城の貴賓室へ通された様だ。最初に来た時の部屋より備品が豪華で、この場に似つかわしくない。そう、俺たちの格好がこれではマズイと言う事で着替えさせられたのだ。俺の場合は燕尾服ぽい、後ろの生地が長いのだ。

 たぶんだが、陛下へ挨拶する際にお尻側が見えないようにする為だろうと勝手に想像している。

 何故かアリスもドレスへと着替えわせられていた。上はバックリ胸が強調され三割は見えてそう、そしてスカートは下に行くほど広くなっている。言うなればラッパの様だ。

 うーむ、エロイ。胸が大きいほど協調されてしまう、このドレス選んだ人の感性は最高だな。ナイスチョイスである。


「すごいねアリサの格好、似合い過ぎてるけど胸元が凄い。他に無かったの?」

 見せつけると言う意味では完璧だろう。

「これが流行りらしいの、他のをお願いしても聞き入れてくれなかったのよ。

 それより、何故か私も謁見の間に行く事になってるのよ、テリの暴走を止めるためかしらね」

 暴走って、貴方ね、あれは彼方が悪いんですよ、対応したのは俺だけどさ。

「信用無さそうな感じではあるけど、全部あっちが悪いんだって」

「まぁ、きっかけはそうね、受け流さずに受け止めたからああなった。自覚ある?」


 自覚は勿論あるよ、前世? の事もあって口喧嘩は相当に慣れてるからね。

 言い合いには負けない自信があるのですよ!


「あれを受け流すのか……無理だね」

「お楽しみ中申し訳ありませんが謁見の際の諸注意など、お教えしなくても宜しいでしょうか?」


 突然会話に割って入るメイドさん。だが、断る訳にはいかない。

 それは最重要! ぜひお願いしたい、粗相があって顔に泥を塗らせた日には命がいくつあっても足りないからな。

 どんな態度で接すれば良いのか知らなければ、周囲の人からの批判を受けかねない。

 ワザと嫌われる覚悟を持って接すると言う選択肢もあるにはあるが、それを選択するとアリサにまで飛び火するからな、この手は使えない。ここは教えて頂くのが最良なのだ。

「ぜひお願いします」

 こうして注意事項などを教えて頂いた。


 先ず入室。赤いカーペットがひかれているのだが、色の切れ目がありその手前で特定行動をとる事。

 男性は右手手の平を左胸へ、右足前で左足の膝を地に付け左手は握り拳で地に付ける。その状態で頭ごと斜め下を見る、この時目線をブレさせない事。

 女性はスカートの腰部分を持ち少し上げながら上げた分だけ腰を落とし頭を下げる。二秒間ほどホールドして奇麗に立つ。

 そして陛下への挨拶だが、勝手には出来ない。先ずは頭を上げて良いと言われて初めて頭と同じく目線も陛下へと向ける。発言の許可も陛下が出す、勝手にしゃべってはいけない、会話が始まれば、相槌打つ感じに話してよいとの事だった。

 何とも面倒である、貴族社会はこれがあるから面倒くさい。やっぱり嫌だよねぇ。


 騎士に呼ばれ後を追い、入室許可と共に騎士が扉を開け、完全に開き切って入室開始。後はそのままだ。


『双方面を上げよ。余が獣王国国王アーノルド・グラグロス・ガロンラルド十六世である。発言を許す』

「陛下の仰せである、挨拶をするが良い」

 招いてくれてありがとうと言ったらどんな扱いをされるんだろうなぁ。

「Bランク魔物ハンターのテリストと申します、この度はお招き頂き恐悦至極に存じます」

『うむ、そちを呼んだのは他でもない。お主の活躍により暗殺者集団、並びにその後ろ盾をしていた者を捕獲出来た事への褒美を与える為だ。ローズ読み上げよ』


 ありゃ、やっぱりアリサの発言権は無いか。男性重視の男社会だもんな、この場に呼ばれたこと自体が異例と言って良い事態だし。


「陛下に変わり代読致します。

 一つ、捕らえた者たちの資産に代わり白金板五枚を与える。

 一つ、男爵位を与える。

 一つ、捕らえた者たちの屋敷を与える。

 以上、三つになります」


 うむ、予定の通りに爵位がきっちり入ってるのね……それも予定の一番上のが。


「陛下、それは成りませんぞ。功績と釣り合わず与え過ぎです」

『卿も知っておろう、あ奴らは私腹を肥やす為に多数の貴族を含め殺しておる。

 この者がいなければこの先も多数殺されていた事は想像に難くない。よって、対価として十分である』

「それならば金品のみで十分ではありませぬか」


 だよな、爵位だけ外してくれないかね。家は欲しいとは思うけど、大きすぎるんで身の丈に合ったのを別途くれれば良いですから。


『命の代価が金品のみで良いと申すのか、卿は余を愚王と呼ばれよと申すのか』

「そうは言っておりません。活躍に相応しい代価とすべきですと提案しております」

 はぁ、めっちゃもめてるな。もしかして陛下の周囲の人のみで決めて、根回ししてなかったのかね。

 ある意味ラッキーではあるんだよな、この人が頑張ればおれは貴族にならずに済むのかも。応援してるぞ、誰か知らないけど頑張れー!

『諄い、卿は余の決定に不服と申すのだな』


(これ不味くないかね)

(知らないわよ、陛下の御判断を皆にお伝えしてなかったのでしょ)

(あの人頑張てくれないかな、そしたら貴族がもれなく外れる可能性がある)

(立場が低いんだから無理でしょ、良いから黙ってなさい)


 小さい声とは言え、ばれたら不味いってか、確かにそうだ。少し様子でも見とくか?


「その様な事は申しておりません、もう一度ご検討を」

『頭の病気の様だ。この場から連れ出し看病しろ』


 あっさりと警備の騎士たちにより強制退場させられたのだった。

 あかん。これは不味いぞ、どうにかならんのか。

 再考まで待って行きたいな、ちょっと発言させてもらおうかな。


「申し訳ありません、発言の権利を頂きたく存じます」

『ふむ。許そうでは無いか、何なりと申せ』


 言ってみるものだな、それじゃ、説得してみますかね。

 今回の決定のごり押し、本来ならすべきではないからな、気が付いてくれれば良いが。


「今回の恩賞の内容ですが、お決めになられた方々は何方なのでしょう」

『余と余の家族、文官のトップでローズ、騎士のトップでギルバード。以上だ』

 貴族のほぼ全員が抜けてるのか。それじゃ反対者も相当数いるだろうに、ごり押ししたらどうなるのか理解してないのかね。

「追加で質問をお許しください。今回の件ですが、今言われた方々のみで決めて良い案件でしょうか」

『どういう意味か申してみよ』


 当然聞き返すか、これじゃ触り部分で分からないだろうからね。


「今回。首謀者がどの様な地位の方であったのかは聞いておらず存じませんが、貴族様であったのだと確信しております。

 このような案件の場合、今述べられた方々でこれまで全て処理されてきたのでしょうか」

『同じ案件というのは存在せんが、時と場合によっては他の貴族も交え判断を下す事もある。そちは何を言いたいのだ』

「今回の案件、先ほどの方も当然貴族様だと確信しておりますが反対しておられました。

 他の貴族様は発言されておりませんが、反対の貴族様もきっといらっしゃる事でしょう。

 そちらの考えは今回不要と仰せでしょうか」

『なんだ、そちも釣り合っておらぬと判断しておるのか?』


 あかん、気が付かないのか。強制的に決めた場合どんな感情が生まれるのか、その程度理解してないと国が割るぞ。ただ、俺が心配する事かね?

 内紛になれば巻き込まれるから避けたいと言えば避けたいが、その時はアリサと隣国にでも逃げるけど。


「そうは言っておりません。陛下は再考なされず一蹴されました、反対された貴族様もご自身の尺度で判断し提案しております。そう言った方々の意見も吟味して判断を下すべきだと愚考しております」


『ふむ……筋は通っておるな。よかろう、先ほどの者も加え再度検討する事にしよう。謁見はこれにて閉幕とする』


 再度頭を下げてご挨拶した後立ち上がり、謁見会場を後にした。

 はぁ、何とか再考まではもぎ取ったな、俺ではこれが限界だ。後はどうなるか任せるのみ。


 


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