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24:決闘

 形状としては楕円形か、最長で五百m、最短で三百mそして外壁を含め総石材製、そして魔法で補強が成されている。

 魔力感知がかなり狂う、中に入ると周囲一帯から魔力が感じ取れるために、強弱程度しか判別が出来ないのだ。

 観客と運営側、並びに選手は別々の入り口が併設されている。混雑を避ける為と、無用なトラブルを避ける狙いだろう。

 そして王家専用の通路と観覧席も設けてある。

 観客席は最低地上三mあり、そこから階段状で上がり、後ろからの視界も良好である。一般席と貴族席に分かれ、例え貴族席が空いていようとも一般の市民はお断りなのである。

 選手待機室は概ね二種類、多数が入れる大部屋に、特定の人気選手用なのか個室も完備。

 選手入場口は二ヵ所、お互い最も離れた位置にある。


 俺のみ個室の選手待機室へ案内され、先に資産の提示、それから時間が測られそこから身支度という流れだ。

 剣帯を腰に巻き左右にソードブレイカーを下げ、背中にフランベルジュを担ぐ。そして時間ギリギリにマジックバッグ経由で鉄の短槍を持ち出して準備完了。

 案内される時に注意されたよ。あまり近くに寄らないでくれだってさ、意味は分かるんだけどね、ちょっとショックだよ、子供に対して言うセリフでは無い。

 そして決闘の場とも言うべき中央には正方形に切り取られた一枚板の様な石板の上に促される。その広さ、一辺が五十mほどだ。

 対戦相手と相対した、動きにくいだろうにヘルム込みのフルプレートメイルを着ていやがる、それも鉄や鋼鉄では無い。武器と同じ色から総ミスリル製の特注品だろうことが窺える。

 武器は大型両刃のバトルアックスだ。武器は重く重量で叩き切るタイプ、防御面は全て鎧任せだろうな。

 その分動きが遅いだろう事から、此方としては好都合だ。速度で圧倒すれば良いだけである。

 威力や防御よりも速度による回避と正確な攻撃が何より優先されることをその身をもって教えてやる。


「けったいな武器を持って来たようだな小僧」

「そっちこそ、老体のくせにそんな鎧着てたら自重で潰れるんじゃねえの」

 嫌味には嫌味で応酬だ!


「私語は慎め! 今回は国王陛下の御家族もご覧になられる。無様な決闘を双方ともしない様に心がけろ。

 審判は近衛騎士隊長であるギルバードが行う。ルールなどは以前説明した限りだが、台より落ちた場合も敗者とする。これよりカウントする、0で開始だ。

 三・二・一・0」


 縮地+バックステップで距離を取り一気に縦回転の大車輪から自身の回転を同時に行う。以前はレベル二十七だったが、レベルもスキルも上がった今では桁違いの速度だ。

 相手も走り込んで来るが此方の準備の方が早い。

 距離が詰まる前にぶん投げて自身の回転力を全て槍に乗せて回転力を相殺、フランベルジュに手を掛ける頃には既に相手へ槍は着弾していた。

 横に向ければ覆う面積が広いバトルアックスで受けてはいたが、電撃による発熱と直接的な熱とで柔らかくなった鉄は変形して張り付き後方へと吹っ飛んで行った。それでバランスを崩して仰向けに転倒する。

 転倒する頃には既にフランベルジュを抜き終え、縮地を使い接近する。そこに前宙を行い前進速度、回転速度、体重を全て込めたフランベルジュでの上段からの一閃を食らわせるが流石のミスリル製、起きようとしていた所の肩に当たり鎖骨までしか切断できずにポッキリ折れた。

 完全に真っ二つに切り裂く予定だったがあまりの硬さに武器側が負けたのだ。

 起きようとしていた所へ槍より重い一撃により完全に相手は寝てしまい、これはやりたい放題だ。

 負傷した肩の逆側、左手で相手の右腕を抑え込み、右腕でフランベルジュのグリップ側を投げ捨て、ソードブレイカーを抜き、切り裂いた肩口にもう少しで刺さると言う場面。


「そこまで! 勝者テリストー!」

 刺しそこなった。たぶん開始から十秒も掛かっていないと思われる。

 準備していたソードブレイカーが役に立たず、槍はこいつに張り付いて曲がってる。フランベルジュはポッキリ折れた。どう見ても俺の戦力ガタ落ちである。それで思わず叫んでしまった。

「俺の武器がああああああああ!! くぞ! どんだけ固いんだよ!」

 ついでだが俺の左足の革製ブーツ、槍を投げる時に踏ん張ったせいですり切れて足底に穴ほげた、焦げた匂いが臭いですハイ。

「追って沙汰があるまで部屋で待機せよ、ガラハルトには治療を、急げ」


 折れた武器は持ってかないで良いだろ、そのまま放置して戻ったのである。

 部屋に入ってつかの間、待っとけと言った本人の御登場だ。これじゃ待つ必要無いんじゃねえの?


「頼みたい事がある。あの張り付いてる槍を外してくれ、あれは誰も触れん」

 電撃と発熱の二重だしな、だけどレベルが結構高いなら外せるんじゃ?

「え? 隊長でも無理なの?」

「負傷する覚悟があれば可能ではあるが、お前が適任だろ? 使ってた本人だし」

 適任と言えば適任か。少々痛くてHPにダメージ入る程度で、感電も火傷もしないからなぁ。

「ふむ」

「早くしないと死にそうなんだ、頼む、助けてやってくれ」

「仕方ないですね、貸し一つです」


 それは無いだろと後ろで言ってるが無視だ、急いでくれと言ってたからね、話すより急務でしょ? で押し通すつもりだった。

 貸しは大きいよ、どんな無理難題を吹っ掛けようと一つは一つだしね。

 外してポイして戻って来て休憩だ。お預けしていた資産は全て回収させてもらった。

 そして改めて隊長さんがやって来た。治療は終えたが意識が戻らない事、戻ったら騎士同伴で責任を持って資産を回収するとの事だ。

 そして俺たちだが王城へと戻り謁見を行うそうだ。過分に時間オーバーなのだとか、余計なイベントを入れちゃったからね、全部あれが悪いんですよ、文句が言いたいのならあちらへどうぞ。


 馬車に乗り込むとアリサも合流して一緒に王城へ、だ。

「最初のあれ、槍を準備していたから絶対にすると思ってたわ。当たったわね」

 一度見せてるからね、その予想も当然か。

 あの鈍重そうな装備だと受け切れないと思ったよ、あれを回避するには速度と反応速度が物を言う、それを徹底的に下げる装備だから当たって当然だ。

「距離があれば確実に当てれるからね。あれが張り付くとは思わなかったけど、千切れ飛ぶかなとは思ってた」

「鉄は柔らかい分粘りがあるから折れなかったのね」

 そこは予想外だったよね、そのおかげであっさり決着ついたし。

「そっちは想定外だったんだけど、フランベルジュが……二日でダメになっちゃった……あれ、手に馴染んで物凄く使いやすかったのに。最悪だ」

「ミスリル相手じゃね、あれだけ切り込めたのを褒めるべきよ、折れたけど」


 あれだけの厚みのある武器がポッキリだもんな。ミスリルの凄さが証明された訳だが、今回の勝者としてあれらも俺の手の内に入る事は確定だ。持ち込んで加工してもらおう。そうすれば早々と折れるって事態にはならないだろう。

 武器は命だからな、魔物との戦闘中に駄目になれば一手攻撃手段がなくなる事に繋がり、此方の命が危うくなる。

 それを考えればあの鎧は良いな、潰せば結構な量になりそうだ。


「う、ショックなんだよ何気に。それもだけどさ、この足見てよ」

 人に足を裏を見せるのは流石に馬鹿にする行為だとは思うが見せてみた。

「な、なによ其れ。お腹が痛いんですけど……クククっ、あはははは!」

 めっちゃ爆笑された。それもお腹を抱えて……。

「あの回転で踏ん張ったからすり切れたんだよ、仕方ないんだよ……はぁ、やる気落ちた。ちょっと胸貸して」

「はいはい、いらっしゃい」

 正面から抱き着いて仮眠した。騎士がドアを開けた際に驚いたのは言うまでもない。



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