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22:ギルドマスターの馬鹿っぷり

 元兄にアドバイスした訳だが何を偉そうにと思われようと知った事では無い。

 耳が痛くなる話だろうけど命を大切に、と考えるなら比須事項だ。あえて嫌われようが指摘する。

 この指摘で怒り出すようなら話もしなくて良い、命を粗末にするような輩と行動を共にしたくないからだ。

 特に、俺は爵位を貰う事がほぼ決定事項、家を捨てたと言っても生まれた家には違いない。血筋上ではだが少なからず影響は与えるだろう。


 二人と別れてある程度の距離を取る。獲物が重なっては俺が狩りすぎて獲物がいなくなるからな。

 ここからは感知二種と遮断二種を全開で行く。縮地を使い時間短縮する訳だが、この縮地、HPを削るのよね。

 強引にスキルの力で短距離から長距離までを、瞬間とはいかないが走るよりはるかに素早く移動ができる。その代償がHPな訳だ。

 そして俺の抵抗力を上げる為にも魔法剣状態で運用する。今回は水系の魔物って事で雷だ【エンチャント/ライトニングブレードLv1】を附与して更に攻撃力を高める。

 二重の意味でHPが削れるために定期的に{ヒール】を掛けながらガンガン切り倒していく。あれだ、音をバチバチと放っているが気配遮断と魔力操作で気が付かれにくい。その為か相当な距離をつめなければ相手は気が付かない。気が付いた時には舌を伸ばすも俺に斬られている状態ですでに遅しなのだ。


 昼食を済ませて結構な時間が経過した頃、助けを呼ぶ声が響いた。まぁ叫んでるだけなのだが。

 方角としては例の小屋の方面だ、馬が襲われたら最悪歩きで帰る羽目に……そんな訳で放置は駄目だ。

 これまた縮地の連続使用で一気に接近すると、壊れた小屋を踏みつけたまま、逃げ惑う御者目掛けて舌を伸ばして絡め取ろうとしている二階建てサイズのでっかい蛙が鎮座していたのだった。

 当然此方へは無警戒、この絶好の機会を無駄には出来ない。

 その襲っている巨大蛙に対して横腹へ下から切り上げる逆袈裟切りからついでに大上段からの真っ二つ斬りを食らわせた。簡単だ、腹側が柔らかいのでそこから切り込んだだけ、そしてその切れ込みを利用して上段からの切り込みだ。

 傷としては大した損傷では無いだろうな、体の大きさからしてほんの僅かだ。

 当然とも言うべきか攻撃対象が俺へと切り替わる。バックステップ+縮地で一気に距離を取りながらフランベルジュを収納して槍を取り出す。

 舌の攻撃を回避しながら【エンチャント/ファイアブレードLv1】を掛ける。

 そして更にバックステップ+縮地で距離を取り跳躍を誘発、縮地でジャンプしている蛙の下に入り込み、倒れながら蛙の腹目掛けて槍をぶん投げる。

 完全には刺さらないが着地の瞬間に地面と接触して根元まで突き刺さる。これで自動加熱器が体内に入った訳だ。

 後は逃げるだけでも止めを刺せるから脅威度は下がったと見て良い。

 さっさと立ち上がり距離を取る、そして鑑定してみた。


 ジャイアントフロッグ

 Lv:48

 種族:両生類

 状態:麻痺弱、燃焼弱

 HP:153/612

 MP:241


 強いな、あの時のガルーダとあまり遜色がない。麻痺が入っていたのは良いな。だけどそれならあの槍には電撃入れたが良かったのか、まあいい、時間の問題だな。

 だらだら逃げ回るのも時間の無駄だし、もういちょ攻撃すれば終わるだろ。またも距離を取ると馬鹿の一つ覚えの如く跳躍する。

 前回は左側を切り込んだから右側にする、その方が相手の勢いも利用できて簡単に切れるはず。

 縮地で着地点に先回りすると、空中にもかかわらず舌で攻撃して来た為に予定の変更。

 その場から蛙の横を通り過ぎる角度でジャンプしてすれ違いざまにフランベルジュで舌ごと切り込んだ、これで決着だ。ドロップアイテムは魔石中、勿論頂いておく。

 そして、辛うじて生きている御者に声を掛けた。


「御者さーん、無事かい!」

「何とか助かった。馬は無事だが待機所と一緒に荷馬車が大破した、すまんが帰りは歩きだ!」

 おいおい、結局歩きか? 先に帰って迎えを呼んでくれないかね。

「それなら先に馬に乗って帰ってくれ! そして迎えに来い!」

「それで良いなら了解だ。行って来る!」


 先に帰して待つ事二十分ほど、元兄二人とも無事で合流できた。背中に担いだリュック式の荷物がパンパンに膨れている事から結構な数を倒した様だ。怪我もした風では無いので順調だな。

 説明すると此方からも歩きで帰るべきと判断になり帰りながら話をする。

 今が何時なのかは不明だが、此方からも距離を詰めれば予定の時間からさほど遅れずに帰れるだろうとの魂胆だ。

 そもそも帰り道にはウルフしか出ず、それが現れようと物の数ではない。


「それにしてもあの蛙はすごかったね。二階建ての家位の大きさだったよね、良く倒せたもんだ」

 フロッグを結構な数倒してなかったら倒せていたか微妙な所だな。到着早々に出会っていたら、フロッグ倒しながら引き回して、ある程度レベルを上げなければ対処すら無理だっただろう。

 舌で絡め取られたら即死決定だからな、慎重にしなきゃ命がいくつあっても足りない。


「大きさもだけど、あれほどのレベルの敵って初めて見たよ。Lv四十八もあった」

「はははっ、僕たちが相手をしてたら死んでたね。それでフランベルジュは収納中?」

「今は何と言いますか、ちょっと危ないから」

「ちょっと見せてくれる?」

 はいと取り出して見せる。バチバチと雷光を光らせているのだ。武器は違うが雷神剣のようだ。

「げっ、こんなの良く握れるね」


 雷抵抗があるからこそ麻痺は受けないが、HPは少なからず削られる、ビリビリじゃなくてはっきり言って痛いんだよね。

 その程度で済んでるのは抵抗のスキルのおかげだけど、今後の事も考えるなら上げるべきか……痛いんだけどね。


「雷抵抗があるからね、でも絶賛HPを削られてるよ」

 握るか? 雷抵抗を取れるかもよ。

「魔法剣にあこがれていたけど、実物を見ると、はっきり言って握る処じゃないね。ある意味拷問ってこの事だったんだね」

「だね、耐性を取るなんて地獄の耐久レースだよ」


 ヒールを掛けるから取得するか尋ねたが。拒否されたのは言うまでもない。

 御者が出発してからその迎えと合流したのが一時間二十分後、それから馬車で約四十五分ほど、早く帰途についたので予定の時間とトントンだった。

 二人も魔物ハンターギルドへ卸すそうなので一緒に行き、報告は別々だ。

 ぼちぼち混みだす時間だが構うまい、俺の番となりお姉さんに頼む事にした。


「ただいまー。お姉さんにお願いがあるの、聞いてくれる?」

 いや、量が多いのよね、この場で渡すのはちょっと不味いと思うのよ。出来れば他の人が見てない場所で渡したいと思う願望からの要望なの。

 また注目の的は嫌だしね。避けれるなら避けるのが無難だから。

「お帰り。お願いの内容によるわね。それで、言ってごらんなさい」

「個室を希望、多いのよ」

「そう言う事ね。買い取り担当も連れて来るわ、正面通路で待っていて」

 察してくれたようで何よりだ。二日間で金貨十枚分ほど稼いだって話したから直ぐにピンと来た様だ。

「後ろの皆さん、申し訳ありませんが別の担当の者にお願いします」

 そう言って席を外した。待つ事五分程度で合流し、例の狭い部屋に案内された。


「こちら買い取り担当のコリンさん、とりあえず全部出しなさい」

 俺と同じく猫人族の女性で真っ白い髪に猫耳だ。当然俺より背が高く頭一つ分飛びぬけている。

「よろしくお願いしますねコリンさん。はい皮、皮、皮、皮、皮、皮、皮、皮、皮、皮、皮…………」

 と一枚ずつ丁寧に取り出して積み上げて行く。

「ちょっと待ちなさい、どれだけ倒して来たのよ」

「まだまだだよ。えと、全部で二十八枚分」

「アリサちゃん、この子本当にBランクなのよね」

 疑問形は良くないよ。ほら、身分証のハンター章もBランクなんだから見間違えない様に!

「数日前にBランクとして登録したばかりね」

「あのー、出して良いの? 買取拒否?」

「まぁ出さない事には買い取れないから出しなさい」


 面倒なのでどっさり出す。一枚一枚状態を確認しながらマジックバッグに回収し、蛙の皮の回収が終る。

「次は肉、肉、肉、肉、肉、肉、肉、肉、肉、肉、肉、肉、肉、肉、肉…………」

 こちらも数えながら回収、総数三十二塊。

「次は魔石小」

 ざらざら取り出すのを数えながら回収、その数二十四個。

「それで最後にこれ」

 唯一、一個だけ取れたでっかい蛙のドロップ品。

「あのね、あの場所で何でこんなバカでかいのが取れるのよ」

 魔石小でも直径五cm程度だ。この一個は十cmはあるのだ。

「でっかい蛙が出て来た。ジャイアントフロッグって奴」

「何ですって!」

 ? 叫ぶほど大ごと?


「そもそもレンタル馬車屋さんの御者さんが狙われたんだけどね、あそこの建物と荷馬車を破壊して一応は御者さんと馬は無事だったの。

 そして元兄だけど、リンズハルトとヴァロッサって名前のハンターも見てるよ」

「ちょっとそこで待ってなさい、ギルドマスターを連れて来るわ」

 猛ダッシュで向かって行ったアリサだった。


「そんなに大ごとなの? レベルは高かったけど同じ蛙でしょ。それならいても可笑しくないんじゃ?」

「あの辺りはフロッグ専用の支配圏なのよ、他は全く出ないの。それが頻繁に起こる様なら適正レベルを上げなきゃならないのよ、その調査が必要って事になりかねない事態なの」

 あー、狩場レベルを上げる必要があるかもしれないって事か。

「ああ、なるほど。下手すると死人が出るのか」

「今回はテリスト君が倒したから大丈夫だったけど、本当ならその三人は死んでたでしょうね」

 そんな感じで会話が進み、アリサが一人の男性を連れて戻って来たのは十分ほど経過した頃だった。


「突然すまんな、マスターの職に就いてるガラハルト・ガイラスだ。

 すまんが時間がないから手短に聞くぞ、相手の大きさはどれくらいだ?」

「二階建て位の家の大きさですね。名前はジャイアントフロッグでレベル四十八、スキルは二つで跳躍と舌術、完全には覚えてませんけど、スタータスはC辺りが多かったですね」

「合ってるな、間違いない。他の者への確認は必要無いだろ、証拠にドロップ品まであるからな。

 それでどうやって倒した? 武器は持っていないようだが、そのマジックバッグか?」


 魔法付与状態を維持してるからなぁ、この場に出すのはどうかと思うけど、下手すると燃えるよ、建物の中身が。

「危ないですけど、やっぱり見たいですか?」

「危ない? 武器はどれも安全な品は無いだろ。とりあえず見せてくれ」

 マジックバッグに手を突っ込み、収納スキルから取り出してフランベルジュを見せた。

「おい! こんなもん使ってたのか! 直ぐに終え!」

 マスターのおっさんはオカンだし、アリサはやっちゃったな感じで額を手を当ててるし、コリンは目を開けたまま固まってるし、あーやっちゃったか。

 俺は悪くないぞ、見せろと言ったマスターが百%悪い!


「あのね、そこのマスターさん。俺は見せろと言われて見せただけ、理解してる?」

「で、あれはなんだ?」

 そんなもん聞くなよ、ハンター間でも所持スキルに関しては口頭のみで、完全に手を晒す事は無いそうだし、それを聞く行為を強要などするべきじゃないだろうに。

 それじゃ鑑定されるのとまったく変わらんがな。

 マスターの肩書があろうと統一認識なら、マスターが権力ごり押しで聞き出すのは、余計に立場的に悪いだろう事は明白。馬鹿かこいつは。

「あのね。攻撃手段をほいほい聞くのは勝手だけどさ、教える訳無いでしょ、なんで手の内晒さなきゃならんのよ」

「もう一度言うぞ、お・し・え・ろ」

 威圧して来やがったなこの爺。それならこっちもそれなりの対応で答えてやるよ!


「言う訳無いだろボケ! 寝言は寝て言えよおっさん! 聞きたきゃ力尽くで来い!」

「チッ、何て図太い神経していやがる。俺の威圧を受けるどころか掛かって来いか」

「もういい。さっさと料金を渡せ、協力は拒否だ」

「待ちなさいテリ、攻撃手段を聞いたマスターは馬鹿としか言いようがないけど、他のハンターたちの安全にもかかわる事なのよ、拒否は許されない」

「だったらその馬鹿を何とかしてくれよ、これじゃ協力する気なんておきないだろ」

 ビシっと指をさして言い放つ。


「あ、あのな、お前ら。人の事を馬鹿馬鹿言って、俺はギルドマスターなんだがな」

 ギルドマスターだからこそ質が悪いんだろ。権力ごり押しして慣例を破りました。そんなレッテル貼られたいのかこの馬鹿は。

「あんた、俺に喧嘩売ってるか? 馬鹿な事をしでかすから馬鹿呼ばわりされるんだよ。嫌なら馬鹿な真似は慎むんだな。

 ああ、それとだ。あんたがいかに権力を振りかざそうと馬鹿な真似をしたことに変わりはないぞ、そもそも権力を盾にしてるあたり、余計に質が悪い」

 言ってやったぞこん畜生が。誰が遠慮するかよ、顔が赤くなってまっせ爺さん、ちょっと突っ込みが鋭すぎたかね? 根が正直なものですみませんなぁ。


「……確かに少しは言い過ぎたと反省すべきかもしれんが、お前はそれの上をいくほど俺を馬鹿にしてるな、今なら許してやる。謝れ」

 おーおー。とうとう馬鹿を極めたなこいつは。

「本当に救いようがないな。馬鹿な真似をして、それを指摘され、権力で揉み潰そうとして、それを指摘された。そしたら逆切れして俺に謝れってか、殺すぞボケ爺!」

「殺せるものなら殺してみろ! 決闘だクソガキ!」

「上等だ! 大観衆の前で殺してやる、明日早朝に城の前に来い。準備する時間だけはくれてやる」


 魔石中は回収して、納品した代金を回収した。アリサに武器屋に行って帰って来ると伝えて宿屋の代金を手渡し、魔物ハンターギルドを後にした。

___________________________


 テリスト

 レベル:53

 年齢:9歳

 種族:猫人族

 状態:健康

 HP:947

 MP:438


 装備品:ダマスカス製フランベルジュ(刃渡り90cm)

 防具:ハードレザーアーマ一式

 資金:335280リル(白金板3枚、白金貨3枚、金貨5枚、銀貨2枚、銅貨8枚) 中身不明の巾着

 予備武器:鉄製エストック(刃渡り40cm)、ラージシールド(小円形盾、直径30cm)、鉄の短槍(150cm)




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