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17:壊滅

 これから向かう先は言わずと知れた監視者が入り込んだ、例の貴族の屋敷だ。

 相手に気取られない様に【ライトボール】を消して向かう。<気配探知><気配遮断><魔力探知><魔力操作>を全力使用でだ。

 相手からの察知を避け、此方からは確実に相手を察知する。

 魔物狩りに赴く際に常時使用していた為、相当な高水準で運用が可能であり、今回のカギとも言えるスキル。相手の無防備な状態に最高の一撃を食らわせる。

 無論何の問題も無く例の屋敷に到着すると、監視者三名が屋敷内におり、そこに居合わせる者が他にも四人ほどいる。

 肝心の屋敷内に、いや、言い変えれば敷地内にいるのは二十五名程度だ。屋敷に到着する頃には目も暗闇に慣れ、戦闘になっても問題無い。

 この屋敷は地下一階、地上三階建ての四層構造、その分相手が分散していて丁度良い。地下には誰もいないが……。

 侵入場所は勿論正面だ。鍵が掛かっているが問題無い、燃えてる錆びたナイフを鍵穴に突っ込み強引に柔らかくして鍵を破壊しての侵入だ。屋敷が石材製で本当に良かった。木造なら匂いが漂いバレかねないからな。

 徐々に力を入れて鍵を変形させ、派手な音も出ずに開錠に成功した。そのまま音をたてない様に静かに素早くだ。

 真っ先に狙うのは当然監視者たちのいる部屋に居る者だ、殺して証人が減るのはなるべく避けたい。その為武器は盾とエストックを使用する。

 そして襲う場所は三階の一室だ。いる場所もわかってる為、ドアを蹴り破って突入と同時に、手近な者から順番に腕と太腿にガンガン突き入れる、腕も太腿も数ヵ所は当たり前だ。移動阻害、武器使用の阻害、完全無力化だな。

 最後の仕上げに盾で頭をぶん殴り気絶させて完了。

 後は蹂躙だ、殺しはしない。執事だろうがメイドだろうが子供だろうが何一つ差別はしない。

 こいつ等はこちらの命を奪う為に全力を尽くしている。ならば、命を奪いはせずとも無力化するのに手加減は不要だ。


 そして最初の部屋に戻る。資料を見ていたようでテーブルに乱雑として放ってある。三人掛けのソファーに座っている者を横にぽい。

 真ん中にふんぞり返って座り、乱雑に放り出されている資料を一まとめにして見てみる。

 今回の襲撃に人員を何処から調達するのか、その総資金、何処から捻出するか、そして襲う日取りと場所。

 そして今回失敗の反省点の網羅。まだあきらめていないようだが、もう終わりだ。騎士団がそこまで来ている。

 隊長のおっちゃんが先頭で百名ばかりの集団だ。

 やっと落ち着けるな。この部屋に来るのは確定なのでそのまま待つ事二十分弱、この部屋へは隊長自ら騎士を十名連れて入って来た。

 証拠を確保した所に来るとかナイスなタイミングだ。


「おー、おっちゃん昨日ぶり。まだ夜中なのにちゃんと寝れた?」

「はぁ、心配して飛んで来たってのにどんだけ大物なんだよ。それで、死んでないよなこいつら?」

「手足を動かせない様に複数個所刺して頭をぶん殴っただけ、一応生きてるよ」

「ならよし! それで、その手にもってるのが証拠品か? 見せてくれ」


 どうぞーと手渡すと顔色が会話をしていた時の顔から鬼の形相とも言うべき程変わるのが手に取るようにわかる。

 嫌でも分る証拠だからね、他に証拠が必要無いほどの。


「これは、物的証拠など必要無いほどの証拠品だな」

「証拠品になるかどうか分からないけど、こいつがずっと付け回してた奴ね。そしてこいつとこいつが宿を襲った時に監視してた奴ね」

 とエストックを入れてる鞘でこんこん頭を叩いて教えた。

「ふむ、役割がはっきりしているのなら聞き出す項目が選定しやすいな」

「それで、おっちゃんがここに来てるって事は宿の方も騎士さんが行ってるんでしょ?」

「此処に来る前に少し寄って、二十名に調査させているが、そうだな。

 昨日捕らえた者からも一応ここの名前が出たんだがな、書類関連は何一つ出なかったから躊躇していた。盗賊の言葉一つで貴族の屋敷に踏み込む訳にはいかんからな。

 今回は助かった。確実に国王陛下との謁見が確定だな」


 げっ、また注目されちゃうのかよ。隊長にも目を付けられたし、更には国のトップからもって、どんだけ拘束される羽目になるか分かったもんじゃない、逃げれないのかね? できれば逃げたいなぁ 願望だけど、基本無理そう。

 国王からの謁見の要望を断れないよね? 是非に断りたいのですが。


「あ、あのー、ご辞退申し上げますって可能。じゃないよね?」

「もれなく騎士のお迎えが来るから無理だな。体調崩しましたって言われたら、その手の使い手を派遣して治療を施して謁見だ」

 げ、治療可能な者まで派遣するのですか……そこまでしなくても良いでしょうに……。

「そうだと思ったよ。陛下の御所望で断る事の出来る人なんていないとは思ってたんだ」

「理解してくれたようでなにより、この場は俺たち近衛騎士が引き継ぐ、彼女が待っているぞ、ギルドに行って今日は休めと言いたい所だがな、調書を作るのを手伝ってくれ。

 場所と時間はそうだな、昼の食事が済み次第城の入り口にいる衛兵に名前を告げろ、俺の所まで案内するように伝えておく」


「では、昼食済み次第、お伺いいたします隊長殿」

「如何したんだ? 改まって」

「別れ時ぐらいはきちんと挨拶した方が良いかと思いまして」

「いやいや、正式の場でない限り普段の口調で構わん。その場その場で合わせれるだろ?」

「努力します、では今度こそ失礼しますおっちゃん」

 挨拶も済んだ事だし、馬鹿貴族の屋敷を後にするのだった。


「隊長をおっちゃん呼ばわりする子なんて初めて見ましたよ。大物になりそうですね」

「大物にはなるだろうさ。だがなぁ、騎士にはならんだろうなぁ」


 出て行く俺を見送りながら話してた事の一部だった。

 あ、そう言えば宿屋のベッドをかっぱ……収納してたんだったな、返しにもいかないと。

 宿屋へ立ち寄り、騎士たちが後処理していた中で返しておいた まる


 ギルドに入った俺は言葉を交わす訳にもいかず、と言うのも毎度のラッシュ時間帯だからだが、無事な姿を見せて手を振りギルドの隅っこに移動して盾を枕に仮眠をむさぼった。

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