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100:訪問

 翌朝。普段着ではなくハンターとして活動する際の正装にと指示を受けた俺たちは防具を着こむのだった。うらやましい! 真っ黒欲しい! サーシャの着替える姿を眺めている俺だった。

 肉付きの良い体で凸凹激しく女性らしい魅力的にあふれている。ついで俺たちの中ではダントツに白い肌だ。アルビノかと疑うほどに。


「テリ。お嫁さんだからってそんなに女性の着替えを見るものじゃないわよ」


 容赦なくガン見してますからなぁ、当然注意される訳ですが反省しないのだよ。


「わかってる、分かってるんだけどね。やっぱあれ良いよね、真っ黒、つやっつやで良いよね。交換しない?」

「あの、それは無理です」

「だよねぇ、絶対ぶっ倒して確保してやる!」

「それよりテリクンはする事が山積みですよ」

「だよねぇ」


 時空魔術と召喚の取得か、どうなる事やら。

 食事の案内にとメイドが現れ案内される俺たちだった。相変わらずの豪華な食事を平らげてその方の元へサージが案内するのだ。

 大層な場所に住んでいるのかと思いきや、なんて事はない。皇宮の敷地内にこんじまりとした一軒家を建てて住んでいるようだ。考えてみればそうか、ほぼ居ない継承者である為に重要な人物だ。そんな方を守るなら敷地内が一番安全なのだ。そして扉をノックするサージだった。


「(コンコンコン)サージです。ヴァルサル様。お客様をご案内致しました」


 当然の事ながらヤヨイは居ないがクインは来てる、何だろうねこの差。


(サージか。お主が客を連れて来るとはの、継承してもよい人材なのじゃな?)

「左様です。サーシャ様含め、六名ご案内致しました」

(やけに多いな。まあよいわ、入って来るが良い)


 サージが入るかと思いきや、ドアを開けると脇に避ける。どうやら俺達が先に入れと言う事だろう。

 最敬礼が順当か、ちと、背負っている太刀が邪魔だが仕方ない。

 嫁達が全員入り切れる程度に中へと入り挨拶をする。謁見では無いので此方からで良いだろう。


「お初にお目にかかります。Bランクハンターのテリスト・ファーラルと申します」


 サーシャ含めて全員が挨拶する。


「堅苦しい挨拶は必要ない。その事が嫌で此処に住んでいるようなもんじゃからの。

 ……身形から実力も十分、資産も十分、悪さをする輩でも無いとの判断か? のうサージよ」

「はい。此方の方々は獣王国からの亡命の方々です。その際に我らの悲願である遺品を持ち出され、皇国へと譲渡されました」

「何! それは誠か!」

「はい。ヴァルサル様に一目見て頂くようにと一部持参しております。此方です」


 取り出すや否や飛びつかんばかりに手に取るこの方、若干白くなっているが金髪だったのだろう。薄らと金色がかっている、顔は中年か、相当な齢だろうに背筋が奇麗で齢を感じさせない。


「おおおお! 間違いない、間違いないぞ! 死ぬまでこの目で見る事が叶わぬと思っておったが、この様な形で御目に出来るとは。皆様、このヴァルサル感謝いたしますぞ」

「お喜び頂き光栄です。それも獣王国国王が馬鹿やらかしたおかげとも言えますが」

「どう言う事じゃ?」


 俺たちが説明せずともサージが説明してくれたのだった。


「齢ににそぐわぬほどの危機を突破されて来られたのじゃな、それを知らず御見苦しい姿を晒し申し訳ない」

「いえいえ、心の拠り所である貴重な品だった事は既に承知ですのでお気になさらずに」

「すまんの、これほどの方々であれば何の憂いも無く伝授できる。サルーンにこれほどの方とめぐり合わせてもらった事を感謝すると伝えてくれんかの」


「はい、必ずに。それともう一つお伝えすることが御座います。サルーン様、並びにサーシャ様、お二人がこちらのテリスト様の伴侶となる事をお決めになりました」

「何と! よいぞよいぞ、これほどの方なら願っても無い良縁じゃ。テリスト殿、姪を頼みましたぞ」


 なるほど。二人の爺ちゃんだったのか。

「此方こそ、十歳の身では何かとご迷惑かも知れませんがよろしくお願いします」


「……その事じゃがな、もう傷は癒えておるぞ。分離しても良かろう」


 は? 分離? 何と? 腕か? 先月治したばかりだし元の腕に戻せるとか?


「あ、あのですね。言ってる意味がさっぱり分かりません」

「ふむ。本人に自覚無しとなれば無意識に、それもオーバーマジックで使用したか。テリスト殿は既に時空魔術を取得してないかの?」

「へ? 何度も鑑定してますが、表記は一切ありませんが」

「あの、テリスト様が少々ブレて見えるのは」


 ブレて見えると、分離とか、それって俺がこの体を乗っ取ったのと関係あるのかね?


「間違いないの。レベル10で会得する秘術中の秘術じゃな、双身一体を使用しておるからじゃな。

 それでもスキルとして体得してないとなれば、何らかの枷をされた状態で使用したかの?」


 枷ってあれだよな。首輪と腕輪、共通点が有りすぎるんですけども……。


「ちょっと確認したいんだけどさアリサ。あれが関係してるような感じがしないか?」

「間違いないんじゃないの? 相談してみたらどうなのよ?」

「それもそうか。えーとですね、俺って一度死んで他人の体を乗っ取ったと言いますか。良く分からなくてですね」

「本人の弁も取れたな、やはり重なっておるの。ここは正確に伝えねば分らぬな。

 時空魔術には禁術とも言えるダブルボティーオブコンバインドという魔術が存在しておる。

 発動条件がいくつもあり簡単には成功せん。失敗すれば死ぬからの、数度しか成功例を知らん。

 条件とは魂の波長が合う者、使用者が死の淵にある事、対象者も同じく死の淵にある事じゃ。

 対象者は自動で選定される。距離の概念さえ無いがの。

 使用者が対象者に憑依し、お互いに助け合う事で生き延び、その憑依している状態でお互い治療を進める事で完治を目指す術じゃ。

 本来であれば使用者本人が分離すればええ話じゃが、何かの制限でテリスト殿は会得出来ぬまま憑依しておった。という訳じゃな」


 そ、それって……もしかしなくても元の体に戻れるのか!


「それって。もしかして、分離出来たら元に戻れると?」

「そう説明しておるが、理解できたかの?」

「ええ、何となくですが、それでは会得した後にスキルレベルを十まで鍛えればいいんですよね?」

「そこは儂がおるからの、分離してしんぜようぞ。その前に一つ言っておくことが有る。

 憑依対象者にも適性のあるスキルを取得していた場合じゃがな、経験として等分される。

 レベルも然りじゃ。例外は上位スキルじゃな、此方は等分されん。実行すれば若干体に違和感が残るかもしれんが時間で解決できよう。理解できたかの?」


「ええ、なんとか。テリストを殺したのじゃないかと思っていましたが助かります。お願いします」

「ええんじゃよ。それよりもおぬしの本来の姿の服が必要じゃな、防具は増えんからの」

「テリクンの本当の姿でお会いできるんですね!」

「楽しみね。テリの素顔を拝ませてもらおうじゃないの」


 拝むってあのね。そんな大層なもんじゃないですから、期待しないでくださいよ。


「それでしたらフリーサイズの防具がありますのでそちらを一時着ますので大丈夫です。

 それともう一つお聞きしますが、これまでの事をテリストにどうやって説明しましょうか?」

「共有しておったのじゃから問題無く理解しておるよ。それよりその防具を全て脱げ、流石にその防具が相手では失敗しかねんからの」


 なるほど。生きてるから感覚とかも常に共有してるからこれまでの経緯含めて全て知ってるのか。

 サラマンダー製ハーフプレートメイル一式を取り出して俺も下着姿へとなるのだった。

 



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