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愉快な勇者たち。その2。

マイペース。当初の予定が全くうまくいっていない。

何回も書き直すので二週間くらい音沙汰ないかも。

店を出た俺はとりあえず全速力で人ごみの中を走っていた。


犯人が逃げた方向なんざ全く見当もつかないが、人が多いほうになんとなく居そうな気がした。

まあ理由としては単純で人間という生き物は好奇心旺盛だから野次馬居るかなと。俺も例外なくあてはまるし。


暫く走り続けるとなんだか人を避けるのが楽しくなってきた...右左右左、上上下下左右LRB、っと危ない危ない、目的を見失うところだった。


そんなこんな人を避けつつ進んでいくと、どうやら大通りから横道にそれたらしく段々と人が少なくなってきた。ついでに道がわからない。つまり迷子。


「うーん、どうしようかなぁ?」

道に迷ったから帰るに帰れないし、さっきの食い逃げ事件の手がかりも完全にわからなくなっちゃたし。

「そうですねぇ」

「へ?」

独り言を聞かれて恥ずかしくなる経験は何度かあるけど、独り言に返事が返ってくるのはそうそうないことだと俺は思うんだが...と思いながら声がした背後を振り向くとそこには鬼が。否、鬼のような形相のシズハが居た。あれ?俺なんかしたっけ?


「先輩...後輩を置いて先に行くとはどういう了見ですか?」

うわこれやべーよまじやべーよ。これ絶対語尾にゴゴゴってついてるよ。


「待てシズハ。これは違くてだな、あー、あれだお前のその先輩っていう呼び方のせいで俺が悪く聞こえるかもしれんが、学年一緒だろ?つまり呼び方を変えれば平等で平和になれると思うんだが、いかがでございましょうか?」

俺が話してる最中にどんどん怖い顔になってくのもうほんと勘弁してほしい。おかげでおかしい言葉になっちまったし。


そのあと、いかにも怒ってます風の雰囲気に耐え切れなくなった俺が頭を下げて許してもらえました。

でも俺は多分悪くない。


口には出さないけどな!殴られるから!



「それで、これからどうしましょうか?お茶という気分ではないのですが」

「そいつは激しく同意するが、今の現在地わかる?」

これでわからないとか言われたらお手上g「そんなのわかるわけないじゃないですか、先輩を追ってきただけなのに」お手上げだよチクショウ!

お手上げなのは置いといて帰る手段を見つけないとな。

「歩き回るのは非効率的だし、そこらの壁をよじ登って大通りへの道を探すかなぁ」

「それはそれで体力使いそうですが...」

大真面目な顔で返された。え、俺ってそんなことしそうに見えるのか...?


そんなこんなで結局歩いて帰り道を探している最中。

「キャー!その人捕まえて!!ひったくりなのですよー!」

狭い路地を切り裂くような甲高い悲鳴が聞こえた。今日は運がいいなぁ。

「シズハ追うぞ」

俺が声のした方向に走り出すのと同時にシズハにもついてくるよう伝える。

「はい先輩」

本人もそのつもりだったようでタイムラグなく返事が返ってきた。


幅5mくらいの狭い路地裏を二つの靴音が響き渡り、反響する。

非常に聞き取りづらいが今だに、さっきの悲鳴と同じ声が何かを叫んでいる。

「東の方へ逃げたわ!誰か!」

そこまでわかっているなら自分で行けよ、とも思わないこともないがひったくりが冒険者だった場合、命に関わるため追いかけられないのだろう。と推測する。


「分かれて挟撃、俺前から行くから追い詰め任せた。」

早めに捕まえないとそろそろ日が暮れて、夜の帳が降りてしまう。よって、手っ取り早く捕まえる為に挟撃を提案してみた。本来なら女の子を路地で孤立させるのは気が引けるんだが...

「了解です。先輩。」

普段はスカートで見えていない内側にある2つのホルスターから銃を二丁引き抜く。この動作を見ると、どうしてもスカートが翻った瞬間の太ももに目が行ってしまう...いかんいかん。そうじゃなくって

「散開!」


そんな出来事から十分ほど。連絡を取る手段がないので長年連れ添ってきた勘でシズハの動きをなんとなく読むのと同時に、犯人の靴音から位置を割り出してどうにかして先回りする。


十字路の差し掛かり、最後の仕上げで

「ここを左っと」

ズザァっと靴裏でブレーキをかけると15m先ぐらいに犯人らしき人影が見えた。


「よっし、止まりなぁ!」

近所迷惑にならない程度の大声で犯人らしき人影に話しかけた。すると意外なほどあっさり足を止めた。大体俺から10mの位置。


「ハッハァ!この若い声、さてはてめえ学生だな?」

距離は変わらず、野太い、いかにも男!って感じの声が薄暗い路地に響いた。

さて、ここは...

「いや、残念ながらそれは外れだ、そんなことより自分の身を心配した方がいいんじゃねぇのか?」

正確には今日から学生じゃない。あと後半ははったりだ。大抵こう言っておけば時間が稼げる。シズハが来るまでおそらく2.3分


「いやいや、甘いねぇ。美少女の汗ぐらい甘い。他人の心配より自分の心配をしろって習わなかったのか?」

「習わなかった。というか余裕ありまくりだな」

美少女の汗とか普通の汗だろうに。

つーかこいつ構えがなんかプロっぽい。あと今思い出したんだけど俺得物持ってねえ、つまりピンチ。

一応それっぽく構えとくか。


「余裕があるのは経験の差だろう。あとな、




もっと相手見とかねえと死ぬぞ?」


俺の「は?」という言葉が口から出ることは叶わなかった。それどころか口の中が血の味だ。知らない間に足が浮いてる。ひったくりを見ていたはずの視界はいつの間にか空を見ている。おでこ辺りが焼けた鉄を押し付けられたかのように熱い。


一瞬何が起きたのかが全く分からなかったが、吹っ飛ばされて背中の痛みを感じた瞬間に攻撃されたと直感的に把握した。

把握したとはいっても、なすすべもなく慣性に従って地面を転がるのみ。転がり続けて10m、地面堅いなぁ。あと全身が痛い。うつ伏せだから顔も痛い。

「おっと、死んじまったか?なあ坊主」

うっさい、こちらとて頭攻撃されて視界がぼやけて耳が聞こえにくいんだよ。

足音で男がこっちに近づいてきているのがわかる。死んだふりしてたらこいつどっか行かねえかな。


「返事がないな、ただの屍かどうか確かめさせてもらうぜ」

あー、こっちくんな。俺の視界の端に映る木刀っぽいものを振るんじゃない。ビュンビュン音が鳴って怖いだろうが。

死ぬのかな。怖いなぁ。死ぬのだけは怖いなぁ。他の物は怖くないのに。なんで死ぬのだけはこんなに怖いのかなぁ。


足音が俺の近く辺りまで来たところで止まり、上の方から男の声がする。

「遺言は聞かねえぜ。俺が聞いても誰にも話せねえしな。」

そらそうだ。

「じゃあ、あばよ。不幸な学生さんや。」

だからちげえっつうの。俺は...


男が木刀を振りかぶった音がした。死ぬときは目をつぶると怖くないらしい。でも嫌だなぁ。


振り下ろす音と同時に俺の頭は砕け...


ない。


何故に?と思った瞬間頭の上の方から声がした。

「それはさせませんよお兄さん」

さっきまで聞いていた野太いオッサン声とは一転、どう聞いても若いさわやかな声。

それと石に何かがぶつかる轟音。


「さて、そこで寝っ転がっている学生君も共犯かな?」

違うと言いたいところだけど、あいにくもう意識が持ちそうにない。

「ふむ、とりあえず君も連れて行こうかな」


そこで俺の意識は途絶えた。










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