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第87話「ひよそのおかし」

 昔、給食で出たひよそのおかし。

 あれって頭から食べましたか? おしりから?

 頭から食べるあなたは残酷さん!

 おしりから食べるあなたはエッチさん!

 そ、そんなお話なんですよ?(ちがうから!)


「手を合わせましょう」

 黒板の前で音頭をとっているの、千代ちゃんとみどりです。

「いただきます」

「いただきま~す」

 今日は配達の帰りに、学校給食お呼ばれなの。

 わたしとミコちゃん、給食を前に手を合わせます。

「今日はミートソースです」

「ポンちゃん、ミートソース好き?」

 わたしがこたえる前に、

「ミコ姉、ぼく、すきすき~」

「ボクも好きです」

「オレも好きだぜ」

 レッド・ポン太・ポン吉、嬉しそうに言います。

 みんな先割れスプーン止まりません。

 千代ちゃんとみどりも戻ってきて

「ワタシも好きなんだからっ!」

 みどり、なにもツンツンしながら言わないでいいですよ。

「ミートソースとカレーは人気あるから」

 千代ちゃんは冷静ですね、子供のくせに~

「ねぇ、ミコちゃん、わたし、ミートソース好きだけど、子供っぽいかな?」

 って、わたし、言ったんだけど……

 ミコちゃんの様子が変です。

 先割れスプーン止まったままなの。

 どうしたのかな?

 ミコちゃん、千代ちゃんに目をやって、

「ねぇ、これは?」

「デザートですよ」

「うん……それはわかっているけど……」

 そう、今日の給食にはデザートあるんです。

 ミコちゃん、紙の包みを開けながら表情暗いの。

 デザートって嬉しくないのかな?

 包みの中から出てきたのはひよこの形のおまんじゅう。

「これは……」

「ミコちゃん、どうしたんですか?」

「こ、これは……」

 ミコちゃん、固まってます。

 なんだか話しかけにくいから、千代ちゃんに聞きましょう。

「あれ、おまんじゅうですよね?」

「うん、ポンちゃん知らない?」

「うん……ひよこの形をしてるんだよね? あひるかな?」

「ひよこでいいよ、おかしの名前『ひよそ』」

「ふーん」

 レッド達、もう食べ終わってて「ひよそ」を開けてます。

 みんな、ひよその姿に喜々として食べてますね。

 わたしもひよそをいただきましょう。

 ふむ……白いあんこのおまんじゅうなんですね。

「ポンちゃんはエッチ」

「は……千代ちゃんなに言ってるんですか!」

「ポンちゃんはエッチ」

「そ、それはわたしは『エロポン』なんですけど……千代ちゃんに言われる覚えはないですよ!」

「いや、その……ひよその食べ方なの」

「は?」

「ひよそをおしりから食べるとエッチで、頭から食べると残酷」

「そ、そんな事言ってたら食べられないじゃないですか!」

「遊びだよ、遊び」

 千代ちゃん、おしりから食べています。

 ふふ、ひやかしちゃうんだから!

「千代ちゃんのエッチー!」

 わたしが言っても、千代ちゃん澄まして食べてます。

 つまらないな~

「ちよちゃ、えっちさん?」

「ボク、別にそーゆーの、信じませんが……」

「オレもびっくりだぜ」

「アンタ、みんなに言われて平気なのっ!」

 机を付けているみんなが「やーやー」言うの。

 千代ちゃん、ひよそを全部食べて、口元をぬぐいながら目を細めて、

「試して……みる?」

 みんなに視線を送るのに、男どもは真っ赤なの。

 みどりは赤くなるところじゃない気がするけど、赤くなってますね。

 レッドは飛びついてきて、

「ちよちゃ、すきすきー!」

 って、もうキスしてます。

 千代ちゃん、レッドを膝に乗せてニコニコ。

 わたし、ちょっと千代ちゃんに悪女、感じました。

「千代ちゃん、もしかして本当にエッチさん?」

「え~、テレビドラマの真似だよ」

「そ、そうなんだ」

「みんな赤くなってかわいい~」

 男ども、恥ずかしくなって退場です。

 そのままドッチに行っちゃいました。

「やっぱり千代ちゃん、大人さん?」

「男子が子供なだけと思うけど」

「あー、それはあるかもー」

「でも、ポンちゃんもっと子供だよ」

「えー! わたし、設定じゃ中学生で千代ちゃんより大人!」

「わたしの事、真っ先に冷やかしたの、ポンちゃん」

「だ、だって先に冷やかしたの、千代ちゃんじゃ……」

「私は子供だからいいの」

 こ、この娘はっ!

 ニコニコしてわたしを見てます。

 千代ちゃん、もしかしたらどっかの名探偵と同じかも!

 体は子供で心は大人とか!

 って、千代ちゃんもレッドとみどりを連れて行っちゃいました。

 くっつけた机の島で残っているのはわたしとミコちゃんだけ。

 でも、ミコちゃん、ひよそを見て難しい顔をしたままなの。

「ミコちゃん、どうかしたの?」

「う、うん……」

「ひよそ、おいしいよ」

「そう……うん……そうなんだ」

 ミコちゃんはエッチか残酷か?

 あ、割って食べてます。

 こーゆー場合はどーなんですかね?


「ポンちゃん、ミコちゃんどうしちゃったか、わかる?」

 店長さん、不安がってます。

「そうじゃ、ポン、何か知らぬか?」

 コンちゃんもめずらしく心配してます。

 でも……わたしもちょっと、気になってるの。

 ミコちゃん、最近なにか悩んでいるの、わかるもん。

 いつもむずかしい顔してるし。

「ちわー、綱取興業っす」

 って、そんなお店に目の細い配達人登場。

「あれ……今日、配達でしたっけ?」

 わたし、カレンダーを見ます。

 そんな予定はないですよ。

 配達人、への字口で、

「電話あったんですよ」

「そう……って、誰が?」

「ミコちゃん……俺だってポンちゃんがいるところに来たくない」

「叩いちゃおうっかな~」

「こわーい!」

 えい、配達人をポカポカ叩いちゃうんです。

「ハズレとか言ったら本気で叩きますよ」

「早く帰りたい」

「どーゆー事ですか!」

 って、コンちゃんが手招きして、

「ほれ、配達人、お茶くらい出すのじゃ、こっちに来るのじゃ」

「じゃ、お呼ばれしま~す」

 配達人、荷物をテーブルに置いて座ります。

 店長さん、そんな荷物を覗き込んで、

「ミコちゃんからの電話で配達なんだ」

「ええ」

「でも、何?」

 店長さん、荷物を開けます。

 なにか鉄板みたいなの、出てきましたよ。

「たいやき……人形焼き?」

 配達人、もう一個出します。

 これは知ってます、たこ焼き器。

 駄菓子屋さんに置いてあるの。

 あと「ひよそ」もあります。

 店長さん、首を傾げて、

「お祭りとか、ないんだけど」

「俺も何でかなって思ったけど、お願いされたから」

 って、ちょうどいい感じでミコちゃん登場。

「あら、配達人さん、いらっしゃい」

「お届物、持ってきましたけど……」

「待ってました~」

 ミコちゃん、久しぶりに笑顔です。

 たいやきの鉄板見ながら、

「ふふ……ふふ……」

 すごいニコニコ、ニヤニヤ。

「ミコちゃん、どうしたの?」

「あ、ひよそもちゃんと持ってきてくれたんですね」

 ミコちゃん、たいやきの鉄板、持って行っちゃいました。

 配達人、ミコちゃんを見送りながら、

「あの……何かあったんです?」

 みんなも首を傾げます。

 とりあえず「ひよそ」をみんなで食べていると、

「みんな、たいやき、食べてみて」

 うわ、あっという間に作っちゃったみたい。

 テーブルにたいやきが並びます。

 みんな、ともかく食べますが……

「ねぇ、どう?」

 喜々として言うミコちゃんだけど、普通にたいやきです。

 あんこが入ってるから、アンパンの味と同じかな。

 みんなが普通の顔をしていると、ミコちゃんシュンとして、

「これじゃダメかしら」

「ミコちゃん、なにがしたいの?」

「ポンちゃん……この間、一緒に給食、ごちそうになったでしょ」

 ああ……あの日……

「み、ミコちゃん……」

「なに? ポンちゃん?」

「まだ引きずってるの?」

「う……わかる?」

「いや……配達人が一緒に『ひよそ』持ってきたから」

 ミコちゃん、ひよそを手にして、

「みんな、おいしそうに食べていたのよね」

「そ、そだね」

「わたしもこんなお菓子、作りたい」

「み、ミコちゃん……ミコちゃんのお菓子や給食、もう、充分おいしいよ」

「もっとおいしくしたいのっ!」

 あ、あれ以上ってあるのかな?

「このひよそ……私もこんなの、作りたいっ!」

「そ、そりゃ、ひよそはかわいいし、おいしいけど」

「作りたいのっ! 作りたいのっ! 作りたいのっっ!」

 めずらしくミコちゃん、熱いです。

「無理じゃ」

 コンちゃん、冷静に言い放ちます。

 わたしもミコちゃんも固まっちゃいました。

「ミコ、おぬしの作る料理やお菓子は確かにうまい」

「……」

「しかし、じゃ……」

「何……コンちゃん……教えて」

 詰め寄るミコちゃん、コンちゃんはひよそを手に、

「確かにミコは長く生きておるゆえ、料理もうまいしお菓子もうまい」

「だから?」

「しかし、発想とは経験や時間ではないのじゃ」

「!!」

「このひよその『のほほーん』とした愛らしさは『あいであ』なのじゃ」

「わ、私には無理と?」

「まぁ、ちょっとはあがいてみるのじゃな」

「コンちゃん……」

「たいやき、人形焼き……ミコはその程度かの?」

「こ、コンちゃん……」

 わたし、コンちゃんにあんな事言われたら激怒するところですよ。

 コンちゃん何もしないくせに、語る時はいちいち立派なんだもん。

 でもでも、ミコちゃん、すごいショックを受けてるみたい。

「わかったわ、コンちゃん、私、頑張ってみる」

 ミコちゃん、ショックな顔で引っ込んじゃいます。

 わたし、小声で、

『ちょっとコンちゃんっ!』

『なんじゃ、ポン!』

『もうちょっと言い方あったんじゃないのっ!』

『ミコは真面目ゆえ、あれくらいがちょうどよいのじゃ』

『そ、そんなもんですか?』

『そんなものなのじゃ』

 って、コンちゃん、ニヤニヤしてます。

『どうしたんですか、二ヤついて』

『ふふ……わらわの作戦、成功なのじゃ?』

『え……作戦ってなに?』

『ミコが本気になったのじゃぞ』

『?』

『できるお菓子が楽しみではないかの』

『!』

 むう、コンちゃん、ちょっと尊敬しちゃうかも。

 いつもミコちゃんにやられてばっかりって思っていたけど……

 ミコちゃんの事、よく知ってます。

 これでもうちょっと仲がいいといいんだけどなぁ~


 今日はコンちゃんと一緒に給食にお呼ばれなの。

 実は……ちょっと楽しみ。

 ミコちゃんのお菓子のお披露目らしいの。

「ねぇねぇ、コンちゃん、どんなお菓子かな」

「うむ、ミコのヤツめ、もったいぶりおって、教えなんだ」

「だよね、めずらしい」

「まずかったら口撃なのじゃ」

「返り討ちにあうよ」

 って、デザートのお菓子、もらいます。

「わくわくするね」

「ミコのお菓子ゆえ、のう」

 席に着いて……って、わたしもコンちゃんもどん引き!

 みんな、お菓子の包み、開けちゃってます。

 出てきたのは「お稲荷さま」の形のお菓子なの。

「おおおおお……」

 コンちゃん、真っ青です。

 なんでかって……わたし、すごくわかるの。

「お稲荷さま」の形のお菓子、コンちゃんのご神体そっくり。

 みんな、喜々としてお菓子、食べちゃってます。

 ごはんから食べないとだめなんですよ~

 って、みんながお菓子を食べると、コンちゃんどんどん青くなります。

「コンちゃんコンちゃん!」

「あわわわわ……」

「あ、あれはお菓子だから」

「わ、わらわのご神体そっくりなのじゃっ!」

「そ、そうだね」

「す、すぐに帰ってミコをやっつけるのじゃ!」

「行けば?」

 そうそう、わたしは関係ないです。

 ケンカ、二人でやってください。

 大体ミコちゃんとコンちゃん戦ったらミコちゃんの勝ちです。

「ちょっと待つのじゃ……」

「どうしたの?」

「ポン、おぬし、わらわのご神体、直しておったであろう」

「あ……山に放置してる」

「ゆるさーんっ!」

 ああ、なんだか山の頂上にご神体回収に行かないといかなくなりましたよ。


「ミコ、覚悟するのじゃ」

 コンちゃん、髪がうねりまくり。

「ブウン」なんて音がして、コンちゃんの手に光る弓矢。

 って、ミコちゃん見向きもしないで「パチン」って指を鳴らします。

 すぐに雷がコンちゃん直撃、すすまみれ。


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