第91話「山のペットショップ」
今日のおやつはすごい大勢なの。
わたしに店長さんにコンちゃん・ミコちゃん。
シロちゃんにレッドにみどり。
ポン太・ポン吉。
目の細い配達人もいますよ。
今日のおやつはすごい大勢なの。
わたしに店長さんにコンちゃん・ミコちゃん。
シロちゃんにレッドにみどり。
ポン太・ポン吉。
目の細い配達人もいますよ。
にぎやかでいいですね。
ふふ……実はポン太・ポン吉・配達人は「呼んだ」んです。
今日のおやつは昨日の残り。
「ちょっと」だったらよかったけど、「たくさん」なの。
ポン太・ポン吉はパクパク食べてます。
レッドとみどりもそれにつられて食べてるの。
これならたくさんあった「残り物」もあっと言う間に消えちゃいます。
『ふふ、どうじゃ、わらわのアイデア』
『コンちゃん、ナイス!』
『あの量ではたまらんかったでの』
『でもでも……』
『なんじゃ、ポン』
『レッドとみどりの頑張りもびっくり』
そうです、レッドとみどり、いつもの二割五分増の食べっぷり。
『ポン、おぬし、わかっておらぬのう』
『は?』
わたし、レッドとみどりを見て首を傾げます。
どうしてたくさん食べられるの?
わたしが考え込んでいると、店長さんが肩を叩きます。
『ポンちゃん、わかる?』
『わからないから首傾げてるんです』
『レッドもみどりもわかりやすいけど……』
『えー?』
『ポン太・ポン吉もわかりやすかも……』
『は? ポン太たち?』
『うん……よく見て』
『はぁ……』
店長さんの話っぷりだとポン太・ポン吉が……
ああ……わっかりました。
『ポン太はコンちゃん、ポン吉はシロちゃんですね』
『ピンポーン』
『ふむ……ではでは、レッドとみどりは?』
『レッド達はポン太ポン吉』
『?』
『友達と一緒だと食が進むんじゃないかな』
『ああ……そーゆー意味だったんですね』
なるほど……そう言われるとわかる気がします。
レッドもみどりも食べながら、ポン太たちに話しかけてるもん。
ポン太・ポン吉はコンちゃん・シロちゃんをちらちら見てるの。
『なるほど~』
『ポンちゃんわかった?』
『わっかりました~』
って、わたしも店長さんに腕を絡めるんです。
『な、なにをっ!』
『わたしもワクワクしたいです』
『むう~』
店長さん、わたしをグイグイ押し返し。
わたしはしっかり捕まえて放しませんよ~
『たまにはわたしにも!』
『今夜ダンボールがいい?』
『おどしですかっ!』
『うん!』
『ダンボール確定なら、思い切り甘えちゃいます』
『えー!』
店長さん、あきらめ悪いですね。
まーだわたしをグイグイ押し戻してます。
あきらめてわたしのものになるんですよ!
「はいたつにん、あそんでー!」
「おお、レッド、遊ぶか?」
「ちょっとアンタ、ワタシも遊んであげるわよっ!」
「そうかそうか~」
目の細い配達人、レッドとみどりに引っ張られてるの。
配達人、二人を抱っこして、
「しっかし……」
テーブルを囲んでいるみんなを見ながら、
「俺、前から思ってたんだけど……」
配達人、レッドの頭をなでながら、その手がしっぽをさわります。
「ここってさ……パン屋だよね」
「配達人……なにを言い出すんですか」
「ポンちゃんやコンちゃん、レッドにみどり」
って、配達人、ポン太・ポン吉を見て、
「ぽん太王国に配達に行ってる時もさ、タヌキばっかりって思ってたんだ」
「それがどうかしたんですか?」
「いや、でさ」
「で?」
「ここってタヌキにキツネにイヌだよね」
「なんですか、今は人間なんだからっ!」
「いや……でも、しっぽ丸出しだし」
「だからなんですか、叩きますよっ!」
わたし、店長さんを放して配達人に迫ります。
レッドとみどりがいなかったら襟首つかまえてるところです。
「これ、配達人、何が言いたいのじゃ」
コンちゃん、髪がうねってます。
「はっきり言うでありますよ」
シロちゃん、銃を手に言います。
「俺、思ったんだけどさ~」
って、配達人、全然気にしてないみたい。
あの細い目は本当に節穴じゃないんでしょうか?
今のコンちゃん・シロちゃんは殺気プンプンですよ。
どーしてこの殺気わからないんですか?
「ある意味、ここって動物ばっか」
ああ、コンちゃんの髪、うねりまくり、本気で怒ってる。
シロちゃんも微笑みながら配達人に銃口向けてるの。
でも、配達人、今度はみどりの頭をなでながら、
「ある意味ペットショップみたい」
ああ、コンちゃんの手にゴットアロー出現。
シロちゃんも引金に指、かかりました。
「はいたつにん、ペットショップとは?」
レッドがうれしそうに言います、わかってないかな?
「ちょっとアンタ、ペットショップとはなによっ!」
配達人、レッドとみどりにもみくちゃにされてます。
でも、子供慣れしてるのか、ニコニコしてるの。
配達人、レッドのほっぺにほおずりしながら、
「うーん、一番人気はレッドかな?」
「わーい、ぼく、いちばん?」
「そーだね、レッド、いちばーん」
「わーい!」
って、この会話で空気が張りつめます。
でも、コンちゃんもシロちゃんも得物おろしました。
「配達人、何が言いたいのじゃ」
「いや、ここ、パン屋じゃなくてペットショップって話」
「ふむ……それでランク付けしようと言うのじゃな」
「うーん、まぁ、そんなところ」
しれっと言ってますよ。
「配達人のランク付けを言うでありますよ」
「シロちゃん、銀玉鉄砲置いてくれたら」
「場合によるであります」
「むー!」
配達人、言いたくないみたい。
「ちょっとアンタ、気になるじゃないっ!」
「みどり……」
「続きをちゃんと言いなさいよっ!」
「そこまで言うなら……」
子供にゆさぶられて、配達人口を割ります。
「一番はレッド、子供だし」
「わーい」
配達人、みどりの頬にほおずりしながら、
「次はみどりかな~、子供だし」
「ふん、アンタにしては、いい答えね」
緊張はここで途切れます。
「ねぇ、配達人さん」
「なに、ポンちゃん」
「子供だと売れ筋なの?」
「だって子供の方が躾やすいからね」
「ぺ、ペットの話ですか?」
「その話じゃないの?」
「むう……続けてください」
そうです、子供がいいのは、わたしも知ってるんです。
だからここから先も「2つ」はわかるんですよ。
「ほら、次を言ってください」
「ポンちゃんもわかってるとは思うけど……」
配達人、ポン太とポン吉を見ます。
二人も配達人をじっと見つめ返しているの。
「子供」って条件なら二人を選ぶのは仕方ない事です。
わたしはポン太とポン吉、順番どっちでもいいけど……
ポン太とポン吉は真剣な目で配達人を見つめていますよ。
「うーん、ポン吉かな」
「やったぜっ!」
ポン吉、ガッツポーズ。
ポン太に勝てたのがうれしいみたい。
「ねぇねぇ、配達人さん」
「何、ポンちゃん?」
「わたしはポン太の方が断然いいと思うんだけど」
「ああ、その事ね」
ポン太はちょっと落ち込んではいるみたいだけど……黙々とおやつを食べてます。
ポン吉は超うれしそう。
配達人、何度も二人を見てうなずいて、
「ポンちゃんはポン太の方が出来がいい……って思ってるんだよね」
「そーですよ、わたしならポン太です」
って、わたしの発言にポン吉にらんできます。
『ポン姉嫌い』
『なに言ってるんですか、本当の事でしょ』
『配達人の意見を聞こうぜ』
『そうですね……気になるところです』
急にポン吉も神妙な顔をして、
『そうだよな……なんでオレなんだろ』
『あ、ポン吉も冷静ですね』
『オレ、うれしかったけど……普通なら兄貴だよな』
配達人、ニコニコしながら、
「ポン太もポン吉もどっちもどっちかな」
「でも、ポン吉なんですよね?」
「うーん……俺ならポン太、しっかりしてるし」
「どっちなんですかっ!」
「俺は手がかからない方がいいからポン太」
「ポン吉は手がかかるんですよね?」
「うん……だから人気ありそう」
「はぁ?」
「ポン吉は手がかかるかもしれないけど……躾はいいから」
「はぁ?」
「ほら、元気だけど、飼い主の手を噛んだりしなさそう」
「まぁ、それはそーでしょうね」
「ペットは元気なのも重要な要素って思うしね」
ポン太とポン吉はほぼ同率みたいですね。
一般的にはポン吉……元気だから。
配達人的にはポン太……しっかり者だから。
「配達人よ、続きを言うのじゃ」
「そうであります」
「ここからが本番です」
コンちゃん・シロちゃん・わたしが配達人に注目。
子供たちも黙っちゃいます。
「コンちゃんだよね」
って、タメもなにもなく「コンちゃん」かよっ!
「まぁ、そうじゃろうなぁ」
わたし、納得できません。
「ちょっと配達人さん、目、腐ってませんかっ!」
「だ、だってさ……」
「だって……なんですかっ!」
「コンちゃんって手、かかんないよね」
「女キツネですよっ!」
「まぁ、女キツネだけど……」
「でしょ」
「でも、手、かかんないから」
「……」
「餌やったら、いつもゴロゴロしていそうだしね」
「ま、まぁ……そうですね」
「毛並みもいいし……」
「さっきポン吉は元気がいいって……」
「ペットは癒しも必要なの」
「癒し……」
「コンちゃんなら、いるだけでいいかなってね」
って、配達人、コンちゃんのしっぽをつかまえてなでながら、
「キツネのコンちゃんもきっと奇麗と思うしね」
コンちゃん、配達人を叩いているけど、配達人は笑ってます。
「見た目と癒しですか」
「そう」
まぁ……コンちゃんがポイント高いのは分かってました。
さて、シロちゃんとわたしのブービー対決です。
この座だけは譲れませんっ!
シロちゃんもわかってるみたい。
わたしと視線で火花散らします。
「次はシロちゃんだよね」
ズコッ!
即ですかっ!
タメなしかよっ!
「ちょ、ちょっと配達人っ!」
わたし、レッドとみどりを押しやって、配達人をゆすりまくりです。
「さっき子供の方がいいって言ってたですよねっ!」
「う、うん」
「わたしの方がシロちゃんより子供っ!」
「そ、そーだけど……」
「訂正しろーっ!」
もう、わたし、配達人を100チョップ。
「どうですか、考え、変わりましたか」
「うんにゃ」
「こらーっ!」
もう、これでもかってくらいゆすっちゃうの。
ちらっと……みんなが見えます。
ポン太とポン吉、コンちゃん・シロちゃん涼しい顔してます。
「もう一度聞きます……わたしとシロちゃん、どっちですかっ!」
チョップの準備OK。
配達人、冷や汗でじっとり。
「シロちゃ……」
「いいですか、配達人さん」
「は、はい……」
「シロちゃんは犬ですよ」
「そ、そうだね」
「わたしはタヌキですよ」
「だ、だから?」
「一般的にタヌキの方がめずらしいでしょっ!」
「……」
「あっちは警察の犬ですよ、撃ちたがりの!」
「ポンちゃんはタヌキ……確かに……」
ふう、ようやく順位変更みたいですね。
わたし、配達人を放します。
「大丈夫でありますか?」
シロちゃん、すぐに配達人を介抱。
しまった!
配達人、シロちゃんに守られた途端、わたしを見て、
「タヌキでも……ハズレ」
「ハズレ!」
発言と同時に、みんながうつむいて肩を震わせます。
わ、笑いを堪えてますね~
「コロスっ!」
って、ダッシュしようとしたわたしを店長さんが羽交い絞め。
「ポンちゃん、やめやめっ!」
「店長さん止めないでくださいっ!」
「殺したらダメだっ!」
「わたし、今だけタヌキ、人間、コロスっ!」
「ポンちゃん頭冷やしてっ!」
「わたしのプライド、ズタズタですっ!」
「どんなプライドだよ」
「わ、わたしだって……頑張ってるのにっ!」
くく……悔しくて涙出てきました。
そりゃ……シロちゃんに負けてもしょうがないって思う。
シロちゃんの方がお姉さんだし、奇麗だもん。
普段はミニスカポリスで撃ちたがりだけど、コンちゃん級だし。
でもでも「ハズレ」はあんまりですっ!
許せないっ!
「ポンちゃん……ポンちゃん最後まで残ったら……」
「店長さんまで言うんですかっ!」
「ポンちゃん最後まで残ったら……ずっと一緒だね」
「!!」
羽交い絞め……しっかり抱きしめてくれてるの。
店長さんの「一緒だね」って囁いた唇。
今は息使いさえ聞こえます。
「店長さん……」
「お店で人殺しはナシだよ」
「は、はい……」
抱きしめていた腕がほどけます。
わたし、振り向いて店長さんを見つめるの。
微笑んでいる店長さん。
わたし、そんな店長さんをつかまえます。
「店長さん……わたし売れ残ったら……」
「ずっと一緒だね」
「好きっ!」
わたしが抱きついたら、店長さんも受け止めてくれました。
店長さんの胸に顔をうずめて、まるで少女漫画みたいなの。
おおっ……7クールめにしていよいよHAPPY・ENDっ!
長かった。
今までやられてばっかりでした。
今回は「ハズレ」まで言われたの。
みんな笑ってたし。
「店長さんっ!」
ここはキスですよね、絶対。
昔、逃げられました。
今日はしっかり店長さんに腕をまわして、逃がさないんだから。
「店長さんっ!」
わたし、店長さんの顔を見つめます。
優しい微笑み。
今日はいけるっ!
「店長さん……」
「ポンちゃん……」
あれ……なかなかキスしませんよ。
その優しい微笑みはキスしかないでしょ?
早くしてくださいっ!
今日は7クールラストでまとめとしても最高ですから。
「店長……さん……」
店長さん、まぶたを閉じました。
眼尻にキラリと涙。
そんなにうれしいんですか、この間はタメで……
「ずっとポンちゃんと一緒なんだ……はぁ~」
「ちょっ! なんですか今のため息」
「ポンちゃん残っちゃうんだ……とほほ」
「店長さんっ!」
わたし、店長さんをポカポカ叩きます。
「い、痛いよポンちゃん」
「ここは慰めたりするところじゃないですかっ!」
「……」
「ねぇっ!」
「残り物には福がある?」
「慰めになってなーい!」
店長さんをゆすりまくっちゃうの、えいえいっ!
「キスでもして慰めて……」
レッドが飛びついてきました。
「チュウ!」
「!」
「チュウチュウ!」
「……」
レッドにキスされても全然うれしくなーい!
わたし、最後の最後までこんなのばっかです。
がっくし。
「ねぇねぇ、ポン姉~」
「なんですか、レッド?」
「トレードして~」
弟分のレッドのトレード…
ここは姉らしくトレードに応じるべきですが…




