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第二話

 この小説はフィクションです。実際の人物、団体、国名および作者の中二病とは一切関係ありません。あと、今回は少しグロいかもです。読む際はお気をつけください。

 音も無く駆抜ける、三人の人間。


 その動きは、いずれも幾重もの死線をくぐってきたと感じさせるには十分なもので、足元も殆ど立てずに、無明の闇の中を走り続ける。


 一人は、無駄のない引き締まった身体をさらけ出すランニングのTシャツに、目立つ白虎柄のバンダナの似合う、長身の大男。三人中最も慣れた動きで走るその体は、無数の血飛沫で真っ赤に染まっている。


 「なあ、このまま走っててホンマに大丈夫なんか?」

 「私に言ってるんですか?私の『異能』、なんていうか覚えてますか?コウさん?」


 見向きもせず質問した男……コウにこたえるのは、後ろにぴったり追走する、細身の青年。にやけた笑顔が張りついた様な顔で、センスのいい眼鏡が光る。吐いた毒舌に、コウの表情が、露骨に歪む。


 「……あんさん。もーちょい思い遣りとか言葉遣いとかあらへんのや?」

 「まあまあ。シンさんはこういう方でしょ?コウもいい加減慣れないと。」


 ぶつくさと文句を言うコウを、最後尾を走る女性が慰める。薄いブラウンの髪の毛と完璧な卵方の顔。三十路を迎えたとは思えない若造りだが、目元に並んだ三つの泣きボクロは、年相応の色気を醸し出している。


 「流石にチユさんは理解が速くて助かります。コウさんの質問に関して言えば、この階層……一階を動き回るのがベストでしょう。」

 「それにしても、なぜ今なんです?潜伏はもう少し長いのかと思っていましたよ?」


 走りながらも、全く息が切れていない三人。ただし、一番余裕がないのは、シン、と呼ばれた眼鏡の青年。その動きは (常人を遥かに凌駕する速さではあるものの)どこかぎこちなく、走りにくそうだ。だが、その顔は相変わらず笑顔を絶やさず、質問にも流暢に応えている。


 「あの爆音。遠かったですが、あの音には少々金属音が混じっていました。恐らくあの無駄に大きな正門でしょう。あれが破られた、ということだとしたら、十中八九ゼツの仕業です。合流するのが、『最善』です。」

 「ああ。あの音なのですね?了解です。」

 「理解が速くて助かりますねぇ、ホントに。」


 納得、というふうに頷く、泣きボクロの女性……チユ。その表情ににっこりと笑顔で (ここまで笑顔以外の表情を一切していないのだが)シンが頷き返し、


 「っ!」

 「ちょいやっ、と!」


 コウが右腕を突き出し、シンの右手が動く。

 曲がり角から突如出現した二人の警備兵が、接敵に気付く暇も無く吹き飛ばされる。一人は凄まじい力に跳ね飛ばされ、もう一人は礫の弾を額に受けて昏倒する。


 「まったく…。こんな『異能』無し、なんつー縛りやったら、やっぱ一撃で殺せへんねん。敵を生かしとく意味なんてないんやし、殺ってもーてもええんちゃうん?」

 「言ったはずです。殺しは最小限に、と。ただでさえあなたは『姓無の終末』に近いんですから。自重を覚えてほしいものですねぇ。加えて、敵が分からない以上、あまりこちらの力を曝け出すものではありませんよ。」


 二人を即座に昏倒させながらも、三人の動きは全く変わらずに、迷路のような城の内部を奔走する。

 と、


 「おっと。」

 「大丈夫ですか?シンさん?やっぱり、まだその足では、」

 「いえいえ、だいぶ慣れてきましたよ?やっぱり車椅子では何かと不便ですしね。いい義足を用意していただいて助かってますし。」


 唐突にバランスを崩したシンを、チユが支える。


 ―――彼の、動きにくそうにしていた、理由。


 微妙に、本当に微妙にだが、左右で違う足音。

 礫を指ではじく際も、動きにくそうにわざわざ重心を右足によせている。

 走るときも、若干だがストライドに差がある。


 「ちょっとバランスを崩しただけですよ。この速さで動くのであれば問題ありませんよ。まあ、足を引っ張っているのは確かですから、申し訳ないですがねえ。」


 そう、彼の左足は、義足だった。

 そのあたりの説明 ―― なぜ殺人衝動を持たないシンが、殺人衝動で繋がる『姓無』に居ることにも通じるのだが ―― には、少々長い時間がかかるため、割愛させてもらおう。


 とりあえず。


 「まあ、とりあえず。目的は果たしましたし。」


 階段を前に、どこか苦々しげに佇む黒ずくめの男を見つけ、三人の顔がゆるんだ。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 どこにでもいるふつーの男。

 それがコウの、自分に対する評価である。


 だが、彼を知る人に聞けば、ある一つのワードが必ずと言っていいほど浮上する。


 ―――「正義感」。


 あの夜も、そうだった。


 「っ!」


 いつも通り、ちょっと嫌な奴に、絡まれた……いや、説教垂れようとしただけだった。幼いころから曲がったことが許せず、小学校ではいじめっ子としょっちゅう殴り合いの喧嘩をし、中学校では教師との言い争いが絶えなかった。社会人となっても、その性格はなおらず、上司や社長とよく衝突していたが、概ね普通の生活だった。


 「ぐっ!」


 ――なんだよぉ、サラリーマンがなにヒーロー気取っちゃってんだよぁ

 ――ぎゃははは!ばっかじゃね!?

 ――何をしているんだー、だもんな!?見て分かれっつーの!?

 ――カツアゲだよ、カ・ツ・ア・ゲ!ぎゃはは!


 地面に転がって、蹴りを入れられる。


 喧嘩は初めてでは無かったが、一対四なんかでは勝てるわけがない。漫画のヒーローとは違うのだ。四人の、年齢的には高校生程度の若者に囲まれ、いいように嬲られている。


 いつも通りに、会社から帰る途中の、ふと見た路地裏。

 気の弱そうな一人の女の子が、四人の男女に掴みかかられている、暴行現場。


 (助けを呼ぶとか、路地に入らず叫ぶ、とか。いろいろあるだろーに…)


 頭と腹を交互に蹴られながら、心の中でぼやく。

 頭ではいい解決策が分かっていたが、実際に取った行動とそれは絶望的なほど不一致だった。「何をしているんだっ!」と路地に駆け込み、殴ろうと手を挙げていた一人の腕を取り、怒鳴りつけようとした。


 (アホか、て感じだよな…、っ!)


 背中に走る激痛は、恐らく全体重をかけて踏みつけられたのだろう。あまり痛いと人間は感覚がマヒするらしいが、まだそこまでは至っていないようで、痛みはしっかり脳に響く。視界の端の方で、自分の会社カバンが漁られているのが見える。


 (あー…、今月分の外食代が…、)


 妙に、脱力した思考で考える。あるいは、その日が、上司に叱られて減給処分を言い渡され、やるせない気持ちになっていたせいかもしれない。


 (っ!)


 再びの衝撃は、何かが投げつけられたもの。バシャ、という音と、湿った感覚からするに、中身の入った缶ジュースか、それともビールか。粘つくそれは、肌にこれ以上ない不快感を与える。


 (スーツ、クリーニング代馬鹿になんねーな…、チクショー…)


 今月の生活費。クリーニング、いや、買い換えの費用。カバンの中の書類。

 とりとめも無く考える思考。

 目に映る、女の子がぺたりと座り込んで泣く姿。頬には痣があり、服も乱れている。


 (なんでだ…。)


 諦めていた思考の中に、一つの炎が宿る。


 (なんでだよ…。)


 幼いころから、長いことため込んでいた、鬱憤の炎。


 (なんでなんだよ……。)


 それは。

 理不尽に甚振られる少女を助けたい、という願い、では無く。


 (なんでお前らみたいなやつが、生きてるんだよ……っ!)


 目の前のクズどもを、ぶち殺したいという、怒り。


 (だったら…)

 ―――ダッタラ…


 「っ…。」


 その殺意が。

 宿る異能が。


 ―――コロシテシマエヨ。ソノ、ハガネノウデデナ。


 とある場末の路地裏の一角で、覚醒した。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 「成程。その『左眼』の少年の話は、非常に興味深いですね…。「異世界」、ですか…。」

 「やはり、予想外、か?」

 「いえ。まあ正直認めたくなかったのであんまり深く考えていませんでしたが。まあ、召喚された中にゼツが居てくれたのは助かります。恐らくは『異能』を召喚する儀式だったのでしょうし、あなたのような『突然変異ミュータント』が呼ばれているかは不確定でしたしね。」


 壁にもたれかかるようにして、ゼツと情報を交換し合うのは、シン。最強の殺人鬼集団『姓無』のトップたる四人は、話し合いをしながらも全員が警戒を緩めていない。が、


 「シン。警戒はワイらがやっとくから、」

 「『最善』に専念してくださいな。あなたの指示は、早い方がいいでしょうし。」


 コウとチユに促され、シンが周囲の警戒を解く。

 その眼が、まるで世界の深淵を見つめるかのように、薄く開かれる。


 それは、彼の『異能』の、覚醒する合図。


 誰にも追いつけない速度での高速思考展開で、無限に枝分かれする行動の中の、『最善』を一瞬で選び抜く。彼が『姓無』に加入して以来、その最善に不満が述べられたことは、一度としてない。


 だが。


 「どないした?」


 コウが、眉をひそめて尋ねる。シンの表情が、笑っていない。いや、笑ってはいるのだが、もう一日二日の付き合いでは無いのだ。笑っていても、なにかが引っかかっている。その顔にあるのは、『最善』を選べなかったのではなく、その『最善』が気に食わない、といった、いわばプライドを傷つけられた様な表情。

 笑顔にすこしの苦渋をまぜた、難しい表情のまま、シンが呟く。


 「うーん、やはり情報の絶対量不足ですね。まあ、いいでしょう。作戦を説明します。異論があればその場で申し出てくださいね。まあ参考程度にはお聞きしますよ?」


 そう言って、眼鏡の位置を直しながら、にっこりと笑う。


 結論から言えば、彼の『最善』は、初めての猛反対にあった。

 ただし、その猛反対すら、いつもの笑顔で押し切ってしまったが。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 「全く…、シンさんがあんなに強情な人だったなんて…。」


 ブツブツとつぶやくのは、シンの意見に猛反対した、チユ。

 まあ、それもそうだ。いきなり「足手まといなのでさっさと安全なところに出ていけ」と言われれば、誰だって怒るだろう。加えて、シンがそのあたりの空気をこれでもかと言っていいほど読まず、超ストレートに言ったせいもある。


 「私が、子供たちを見捨てて行け、なんて、…全く……全然分かって…もう…」

 「まーまー、目くじら立ててもしゃーないっt」

 「あなたもよコウ!なんであなたはそんなにあっけらかんとしてるの!?どう考えても厄介払いじゃないの、少しは怒りなさい!」


 ダークサイドに落ちそうな空気を醸し出すチユを慰めようとして、全力のとばっちりを食うのは、コウ。かみつかんばかりの表情で詰め寄るチユに、完全に気押されて目をそらす。


 二人に与えられた指令は、「この町の外で、『姓無』数人をかくまえそうな場所……後ろ盾があればなおよい……を探すこと」。意訳するならば「とりあえずこっから出ていけ足手纏い×2」。チユが怒るのも無理はない。


 「まったく。コウは『姓無』の父親なんだから。しっかりしなさい!」

 「いや、ワイはいつから父親になったんや?これっぽっちも記憶にないんやが…。」

 「しなさい!」

 「はいぃ!」


 叱るチユと、叱られるコウ。父親の自覚が全くないコウに対して、チユは過剰なほど母親を自覚している。他の姓無にあれやこれやと世話を焼くのはもちろん、事あるごとにクリスマスやらなんやらのイベント事を開くのも彼女なのだ。

 そんな自分を、問答無用で蚊帳の外に置かれているのだ。怒りたくもなろう。


 だが。


 「まあ、言われたからにはやるわよ。しっかりこの世界に『姓無』の皆の居場所をつくっちゃうんだから!」


 一度引き受けた役割を、簡単に放り出すほど、チユは子供では無い。例え無理やり押し付けられた役割であったとしても、だ。見え隠れする「厄介払い」は気にしないでおいて、「居場所を作る」という役割に奮起する。「居場所」という言葉が気に行ったのか、嬉しそうにうなずいて走り出す。


 「ワイ、怒られ損やんけ…。」


 その後ろを、コウが追う。

 なんだかんだいって、いいコンビな二人だった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 二人が出会ったのは、まだ『姓無』が作られる前の話だ。

 いや寧ろ、二人が出会ったから『姓無』が作られるに至ったのだ。


 二人は、全てが対極に位置する者として出会った。

 精神的に、一人は不安定で、一人はもう安定しており。

 社会的に、一人はしっかりしており、一人は根なし草の放蕩人で。


 そして。


 一人は、まだ人間で。一人は、もう殺人鬼だった。


 「あ、ああ、アア、……」


 まるで幽鬼のように、雨の夜の街を徘徊する一人の女性。その眼は、溢れ出さんばかりの恐怖と、抑えきれない恐怖。


 「う、ふう、ううう、ウウ……」


 その手にあるのは、メス。医者である彼女にしては、比較的簡単に手に入るものではあるが、勿論、こんな場所で振り回すものではない。


 ―――ああ、また、殺してしまった……


 急患で訪れた、三人のうちの一人…一人の、救えなかった人間に思いを馳せる。

 元々助かるはずのない大怪我だった。だからこそ、トリアージに黒いタグを付けたのだ。


 だが、助けられたのだ。

 彼女の、『異能』の力をもってすれば、不可能ではなかったのだ。


 ただ、使えなかった。


 周囲で駆けまわる同僚のナースや他の医者達に、化物と見られるのが怖かった。


 そして何より。

 その一人を死なせることで、自分の殺人衝動の、代わりにしなければならなかったから。ずっと、そうやって抑えてきた、この人間にあるまじき衝動を。


 「うわああぁっ!」


 だが、もう限界だった。

 そんな代替手段では、堪えられない。

 この力を、試してみたい。自分は『異能』者だ。普通の人間ではない。進化した者だ。だったら、劣化物を刈るのになんの遠慮がある?


 「おおっ!?なんや、ねーちゃん!?」

 

 辿りついた路地裏で、人間は、獲物にめがけて襲いかかった。


 偶然そこにいた、殺人鬼に、襲いかかった。


 衝動が、抑えられなかった。寧ろ彼女がここまで抑えきれたのが不思議だったと言えるだろう。殺人鬼の青年のように、『異能』に目覚めると同時に殺人を犯してしまうタイプが圧倒的に多いのに比べて、彼女は目覚めて数年単位で「殺人衝動」を抑え続けていたのだ。


 そして迎えた、限界。


 「あああぁっ!!!」


 手に握りしめた、手術用のメス。医者……この時点では……である彼女にとっては使い慣れたその道具が、本来の用途とは違う、しかし切り裂くという意味合いでは本来より更にその用途を全うしようと煌めく。


 人体を知りつくした医者の、的確に急所を狙う攻撃。

 『異能』者特有の身体能力での、人間には不可能な速度での攻撃。


 「あああぁぁっ!!!」

 「おおっと!」


 だが。


 それでも、初めての殺人には、変わりなかった。

 この段階で既に何回もの戦闘を経験している殺人鬼にとっては、そこまでの脅威ではない。彼の異能の力たる、『硬化』。刃物に対する絶対の効用を持つそれは、貧弱なメス一本で貫けるそれでは無い。


 切っても切っても傷一つ付かない殺人鬼に追い込まれ、徐々に彼女の顔が歪んでいく。


 しかし、その歪みは、殺せないことへの苛立ちでも、自身の危険に対しての焦燥でもない。


 正気を取り戻して、自分が、人を殺そうとしていることへの、恐怖。


 「に、逃げて…、は、早く…っ!」

 「?なんやねーさん、刃物振り回しながら言う台詞やあらへんで?」

 「お願い、逃げてえぇっ!!!」


 彼女の涙声に、殺人鬼の表情が困惑したものにかわる。

 それは、疑問。

 この者は、自分が殺してもいいタイプの人間なのか?それとも、普通の ―― 悪い事を悪いと考えられるような、普通の人間なのか?


 彼の中には、なんとなくだが、殺していい人間とそうでない人間は区別されていたのだ。彼は殺人鬼だが、世にも珍しい、正義感をもった殺人鬼だった。自分は悪人だが、何の罪も無い一般人を殺すことの無いように、常にその衝動に気を配っていた。そして彼が旅をするのは、その「殺していい人間」を探すため。まるで獲物を探す猛獣のように。


 (どないしたもんやろかー…。)


 もう、彼女の手は半ば動きを止めている。


 (まあ、話くらい聞いてから、そっからでもえーか。)


 そう結論づけて、攻撃を『硬化』で受け止める。

 もう涙でぐしゃぐしゃになった顔が、まるで懇願するように自分を見つめる。


 「あ、ああ……。っ。あっ。」

 「ねーさん、あんた、なんなんや?やたらスピードはよーて、正確な狙いやけど、動きはシロートや。」

 「う、うわああぁぁっ……。」


 身体を、抱きしめるようにして拘束された彼女は、とうとう声をあげて泣きだしてしまった。そのまま、カクンと膝から力が抜ける。話を聞こうとした殺人鬼は、訳が分からず途方に暮れてしまうが、それでもしっかりと彼女を支えてやる。なかなかいい殺人鬼だ。



 ともあれ。


 泣きやんだ人間と、途方に暮れた殺人鬼は、その夜、色々な事を話した。

 人間が、自分の境遇を。苦しみと、『異能』と、絶望と。

 殺人鬼が、自分の境遇を。『異能』と、旅と、殺人と。


 そして。


 人間の彼女は、人間から鬼となり。

 二人の殺人鬼は、一つの家族を作り上げた。


 『姓無』という、遺伝子ではなく、魂で繋がる、家族。

 人ならぬ鬼である殺人鬼が、せめて少しでも、ぬくもりを味わえるように。



 ただし、そこには、二人の間に大きな意識の差があったことを、付け加えておこう。


 彼の方は、殺人鬼が何とかやっていくための互助組織のような集まりとして、『姓無』をつくったと考えていたのに対して、彼女の方は真剣に「家族」として『姓無』をつくろうと……つまりは、そういう意味合いを兼ねての、である……言ったのだ。


 まあ。


 今現在に至るまで、その祖語が解消されることはなかったが。


 

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