ヌヴェル19 無頓着先生
休日、無頓着先生は街ブラを愉しむ。
服装は、その名のとおり無頓着で、腰に手ぬぐいを引っかけ、下駄履きという出で立ちだ。
天然パーマの髪はもうそろそろ散髪に行く方がいいんじゃねぇっていうボサボサ感いっぱい。
生徒想いの熱血漢であり、背格好も見た目も悪くはないのだが、どうも恋愛には無頓着なようだ。
齢三十路半ば、未だ独身。
そんな無頓着先生のとある休日。滑稽な場面に出くわしたので報告しておく。
結構人通りの多い××通り。
街ブラをしている無頓着先生を見掛けたので声をかけようとしたら、先生の表情がおかしい。
どこか驚いたような顔。
物陰から様子を伺うと、手を挙げて振っているような感じ。
だれか知り合いにでも会ったのかと先生の視線の先を伺うと、そこにはなんとかというグループのセンターでもできるのではないかと思えるような美女。
えぇーとびっくりしていると、その女性が先生に近づいていくではないか。
そして次の瞬間、見事にスルー。
その女性、先生の後ろにいた若い男性のところへ行って、なんとも楽し気に会話を始めた。
先生はと言えば、挙げた手のやり場に困っている様子。
結局、ボールを投げるような真似をして、肩をグルグル回しながら、その場を立ち去って行った。
もうそれが可笑しくて可笑しくて。
まあ人出が多かったので、そんな先生の挙動に気づいて噴き出す人がいなかったのは、よかったかも。
あとで思ったのだけど、ちと寂しい。
<数日後>
あれから分かったことを報告する。
あの女性は、どうも来学期から我が校に赴任する音楽の先生らしいということ。
で、若い男性は、弟のようだ。
そこで相談。
無頓着先生と音楽の先生、くっつけてみないか?
<数か月後>
今日も無頓着先生は街ブラだ。いつものように美女先生と一緒。
まだまだぎこちない二人だが、結構いい線いってるんじゃないかな。
俺たちの計画どおりだね。
計画どおりでないのは、無頓着先生が無頓着から頓着に変化してきたことか。
髪型も服装も洗練されてきたのはいいが。
勉強しろよ、勉強しろよの声がちょっと煩くなってきた。




