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戦利品確認と、初めてのLEVEL UP

ワイルドハウンドとの戦闘を終え、ルーファウスは腰を落として深く息を吐いた。

 体の奥にたまっていた緊張がようやく解ける。


「……とにかく、街だ。どこかで休まないと」


 最初の目的は変わらない。

 安全圏にたどり着くこと。

 それ以外は後回しでいい。


 だが、立ち上がろうとしたとき、ふと手のひらの感触に違和感が走る。


(……あ、そうだ。魔石)


 獣や魔物を倒すと、体内に宿った魔力が結晶化する――

 そんな知識が、ワンテンポ遅れて頭の表層に浮かんだ。


 風間の記憶が入り混じったせいか、

 当然のように覚えていたはずの“狩猟者としての習慣”が抜け落ちていたと気づく。


「……危ない危ない。素材を逃したら、もったいないところだったな」


 まだ疲労は抜けないが、しゃがみ込み、

 ワイルドハウンドの胸奥から小さな魔石を取り出す。


 だが、その動作も“機械的にできるもの”ではない。


(思い出すまでに時間がかかる……風間の記憶が邪魔してるのか?ルーファウスの記憶はまだ

 わからないことだらけだ。)


 理由はまだはっきりしない。

 ただ、体は覚えているのに、脳が追いついてない感覚が確かにある。


「……まぁ、歩きながら少しずつ取り戻していけばいい」


 街道を目指して歩き始めてから、軽く三十分ほど経っただろうか。

 森の空気は変わり、日差しは傾き、影が伸びていく。


 汗が額を伝う。疲労はゆっくり蓄積していく。


(急ぎたい……けど、焦って道を外すのは危険だな)


 そんなことを考えていた矢先――


 街道の気配は、確かに近づいている。


しかしその手前で、一本の倒木が道を塞いでいた。


根元の折れ方が不自然だ。

自然に倒れたにしては、向きが良すぎる。


(……置いたな)


細く息を吸った瞬間、倒木の影が揺れた。


ガッ、と乾いた音。


黄土色の影が飛び出す。

ゴブリン――一体。


ほぼ同時に、反対側からもう一体。


(二体同時……)


ロングソードを抜きながら、背筋に冷たいものが走る。

ワイルドハウンドとは違う。

こいつらは、考えて動く。


正面の一体が距離を詰めてくる。

剣を振り上げた、その瞬間――


背後。


気配が、跳ねた。


「……っ!」


振り向く暇はない。

ルーファウスは刃を立て、身体を半歩ずらす。


受け止めたのではない。

当てて、力を逃がす。


――受け流し。


衝撃が腕に残り、痺れが走る。

完璧じゃない。それでも、致命傷は避けた。


間合いが崩れる。

その一瞬を逃さず、正面のゴブリンが踏み込んできた。


(近い――!)


迷いを切り捨て、剣を振る。

深くはない。だが、動きは止まる。


続けざまに踏み込み、喉元。


最後のゴブリンが崩れ落ち、地面に転がった。


ルーファウスは剣を下ろし、肩で息をする。




――静寂。



胸が熱く、脚がわずかに重い。

一戦目とは、疲労の質が違った。


「……まだ、立っていられるな」


呼吸が整うにつれ、胸の奥で淡い光が脈打つ。


 世界が静かに告げる。


 ――《LEVEL UP》


淡い光が弾け、身体の芯がわずかに熱を帯びる。

初めての感覚に、ルーファウスは思わず息を呑んだ。


「……今のが、レベルアップ?」


確かめるように、意識の内側に呼びかける。

森の中では周囲への警戒が先で確認できなかったが、

いまは開けた街道。

見通しがよく、ひとまず立ち止まっても問題なさそうだ。


「よし……今なら確認しても大丈夫だな。

ステータス・オープン」



半透明の板が視界に静かに浮かびあがった。

そこには、見慣れない数値と、微妙に伸びた能力が揺らめいている。


==========

◆ステータス(非表示)


名前:ルーファウス

年齢:18

種族:人族(転生者)

レベル:13


【能力値】

HP:214

MP:198

筋力:87

敏捷:84

耐久:80

器用:107

知力:115

魔力:100

運:92


【戦闘スキル】

剣術(3)

受け流し(2)

弓術(1)


【魔法スキル】

■ 属性魔法(Elemental)※全属性魔法(無詠唱)

 火/水/風/土/光/闇


■ 生活魔法

《クリーンアップ(3)》


■ 身体魔法

《身体能力向上(5)》


■ 認識魔法

《鑑定(2)》

《気配察知(1)》

《危険察知(1)》


【GIFTスキル(非公開)】

■《道具融合ツール・インテグレーション

■《残響知識レミナント・メモリー

■《■■■■■■■■(????????)》


==========


「……レベルが、ひとつ上がったな」


街に急ぎたい気持ちは変わらない。

だが初めてのレベルアップとなれば、

確認しておかない理由はない。


「おっとまた忘れるとこだった。」


倒した魔獣の胸元に手を伸ばす。


皮膚の奥、心臓のあたりに、

指先にわずかな硬さが触れた。


「……ここか」


ナイフを使い、慣れない手つきで肉を割く。


血と熱の残る中から取り出したのは、

くすんだ光を宿す小さな結晶──魔石だった。

(冒険者の基本……ってやつだな。忘れないようにしないと)


「さて……街までどれくらいだろうな。

日が暮れる前に着ければいいが」


パネルを閉じ、ルーファウスは街道を北へ進み始めた。


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